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#53 メタな視点から課題をつくってみる(2)~国語編~
前回「算数」における「子どもが考える問題」のつくり方を紹介しました。
問題や課題の設定には「4つの段階」があるような気がしています。
(1)一つのやり方から一つの答えを導く問題
(2)ある視点や、場面に注目して考える問題
(3)「決まり」を見つけて解く問題
(4)条件を変えて応用してみる問題
(1)~(4)は段階が上がるごとに、教材の捉え方がメタ(=より俯瞰的に)になっていくと感じます。
今回、国語でも算数と同じように、この「4つの段階」をもとに問題をつくってみたいと思います。
①「一つのやり方から一つの答えを導く問題」をつくる
国語では、「ある場面における登場人物の気持ち」を聞くような問題がこれに近いと思います。
例)ちいちゃんは家族と空で再会した時どんな気持ちでしたか。
このような「場面ごとの気持ち」を問う問題は、「うれしかった」「安心した」など意外と同じような答えになりがちだと感じています。
②「ある視点や、場面に注目して考える問題」をつくる
では、少し教材をメタに捉えて、「ある視点」に注目して問題を考えてみます。
「段落構成」「登場人物」「時系列」「語り手」「題名」など物語を構成する様々な視点があります。
この中の一つの視点に注目して問題を作ってみます。例えば…
・題名に注目して問題をつくる
(例)「『ちいちゃんのかげおくり』という題名からどんなことがわかるか。
・登場人物に注目して問題をつくる
(例)この物語の主人公なぜ「ちいちゃん」だとなぜ思うのか。
・語り手に注目して問題をつくる
(例)この物語の「語り手」は「スーホの白い馬」と何が違うか。
このように「ある視点に対して子どもたちの捉え方とその理由を問う」問題にすることで、先ほどの「①の気持ちを聞く問題」より答えに少しズレが生まれます。(道徳でも同様のことが言えます。)
③「『決まり』に気づくと解ける問題」をつくる
先ほど②で注目した視点から、作者の意図(=物語制作に関する「決まり」)を考える問題をつくってみます。
・題名に注目して問題をつくる
例)「『ちいちゃんのかげおくり』が『戦争と少女』という題名ではなぜだめなのか」
→作者は「遊びのかげおくり」「家族の集合写真」「たましいをおくる」などの複数の意味を題名に込めているのではないか
・登場人物に注目して問題をつくる
例)「登場人物のおじさんとおばさんのシーンはこのお話で必要だったか」
→立場の違う大人からの助けを二度とも断るシーンをあえて入れることで、「家族が生きていることを信じたいちいちゃんの気持ち」を作者は強調したかったのではないか
・語り手に注目して問題をつくる
例)「なぜちいちゃんの設定は、物語冒頭であまり語られていないのか」
→ちいちゃんに感情移入をしすぎないように、人物設定を最小限に抑えたのではないか
このような問題を出すことで作者の意図(=物語の制作に関する「決まり」)が見えてくるのではないかと思います。
④「条件を変えて応用してみる問題」をつくる
③の作品に対する作者の意図や工夫をさらにメタに見て「作品そのもの」の意味や在り方について考えてみます。
例)なぜ作者のあまんきみこさんはちいちゃんのかげおくりを「白いぼうし」の後に執筆したのだろう。
例)作者のどのような時代背景がこの作品を生みだしたのだろう。
例)今まで読んできた物語作品と何が違うのだろう。
例)ほかの戦争をテーマにした物語との共通点や違いは何だろう。
国語でもこの①~④のように教材をメタに見ていくことで、問題を作っていくことができます。
これは他教科の社会などでも応用可能です。
①人物や地名といった「知識」
→②地形、気候、人口、伝統…といった「視点」→③複数の地域を比較することで分かる「決まり」
→④この単元を学習する意味、次の単元のとの関連…といったように、材をメタに捉えていくことで「子どもが考える問題」を作ることができそうです。
どうしたら、子どもたちが楽しく、より深く考える問題ができるかこれからも様々な教科で
考えて行きたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。