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#55 順序によって意味が変わる
以前、活動の中にある「コツの言語化」と「試行錯誤」の関連について図工の釘打ちゲーム(釘と輪ゴムでビー玉をはじくパチンコのような工作)の授業での出来事を紹介しました。
今回はまた違った視点からこの図工の授業の時に感じたことを紹介したいと思います。
先生方は子どもたちにこの工作の「手順」を説明する時、以下の(1)と(2)どちらを先にやるように説明しますか? ↓
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(1)ゲームの盤面のイラストから考えさせる
(2)どのようにビー玉が動くか仕組みから考えさせる
もちろん正解はありません。
どちらから始めてもよい所があります。
この二つの手順を比較して考えてみたいと思います。
(1)イラストから考えた場合
→イラストを丁寧に納得いくまで描ける。釘をまだ打っていないので着色もしやすい。
(2)仕組みから考えた場合
→ビー玉の動きや仕掛け、ゴールの位置に合わせてイラストを考えられる。
直感ですが、「仕組みから考えた方が面白そうだな」と思ったので私は(2)→(1)の順番で取り組むことにしました。
ただ先に、釘を打ったり仕掛けを作ったりしてしまうと、盤面の色を塗ることが難しくなります。
そのため仕掛けを考える →鉛筆で仕掛けの下書きする →イラストを描いて着色する →釘打ちをする →試しながら釘の位置や絵を修正する。という折衷案にしました。
釘の位置や仕掛けの位置を変えたり、その都度イラストを描き加えたり、効率的なやり方といえませんが、今回私の中で学習ねらいを「イメージ通りの作品をつくること」よりも、「色々なやり方を試すこと」に重点を置いていたのでこのような活動になりました。
結果的に「つくりながら、またつくりかえていくスタイル」は自分のクラスの子どもたちに合っていたようで、2時間近く集中して取り組んでいました。
何が言いたかっというと、この図工の工作のように、子どもの実態や身に付けさせたい力によって作業や活動の順番が変わる(=活動の順番によって身につく力も変わってくる)ということです。
例えば5年生の国語の教材に「たずね人」という戦争をテーマにした物語教材があります。
この授業の研究授業をいくつか見たことがありますが、この時も同じことを感じました。
(1)はじめに広島の平和祈念館について調べてから教材を読む
(2)国語の学習を終えてから、広島の平和記念館について調べる
どちらの流れで授業をするかよって、子どもの「学び方」や「身につく力」が変わってくるのだなと感じました。
(1)の計画で進めれば、知識がある分だけ、作中の単語に対する意味や、内容の理解が深くなりそうです。
(2)の計画で進めれば、物語としての比喩などの表現方法や、文体、語り方に注目して読むことができそうです。
これもどちらがよいやり方という正解はありませんが、子どもの実態や、教師がこの学習でどのような力を身につけさせたいかによって変わってくるような気がします。
一時間の授業でも、活動の順番を変えることよって意味が変わることが結構あります。
子どもの雰囲気に合わせてその場で、授業中、活動の順番を変えることも学校の先生はよくあるのでないでしょうか。
事前に単元計画をする時にも、もし2時間目と3時間目の順番を変えてやってみたらどのような違いが生まれるのかなどを考えながら、いくつかのパターンを想定してみるのも面白いです。
また、色々な教科の授業で気づいたことを紹介していければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回タイトルにみんなのフォトギャラリーからsimeji1039さんのアイスの写真を使わせていただきました。ありがとうございます。
三段アイスも重ねられている順番によって食べ終わった時の印象が違うと思ってしまうのは私だけでしょうか(笑)