【管理会計】ソフトウェア開発部門のパフォーマンス
私の勤めている会社では、市場販売目的のソフトウェアを制作して販売しています。
会社を経営する立場からすると、各組織のパフォーマンスを図る指標は、非常に重要視されるものです。
パフォーマンスが良ければ、その部門は評価され、賞与を他と比べると多く支給してあげるという選択肢ができます。
そうすることで、頑張った部門には更なるモチベーションがかかり、そうで無い部門は次こそ我が部門が!と発奮材料になるはずです。
そう考えてみると、組織の成果を測るのがとても簡単なのは営業だと思います。
売上が彼ら彼女らの直接的な成果になるからです。
ただ、絶対額を比べればいいのか?というと、扱う商材や、かける人員数や、マーケティングコスト、地域的な問題など、公平に比較しようにも様々なパラメータの違いがあります。
営業の指標はまた別の機会で考えるとして、今回はソフトウェアを作る部門のパフォーマンスをどう測るか、を考えてみたいと思います。
私は、親会社と今の会社で10年管理会計に関わってきました。
親会社では京セラの稲盛さんが作られたアメーバ経営をしていましたので、今の会社にも同じエッセンスを取り入れようとしましたが、上手く現場に浸透しないという課題を抱えています。
開発部門の責任者からも、今の指標では部門の成長やパフォーマンスを測れないことが悩みだと言われている状況です。
これから、現場を巻き込みながら、指標を再整理するにあたって、改めて自分の頭の中をアウトプットしようと思います。
まず、開発チームが褒められるべき事象を決めることから始めようと思います。
お客さんに買ってもらえるソフトウェアを作れれば評価されるのか。
それとも、早く正確にソフトウェアを作れたら評価されるのか。
開発チームに求めることが何なのか、経営陣や部門の方々と会話してみようと思います。
ただ、全くのゼロから会話をするのもいいですが、自分の中にいくつかのアイデアは持っておきたいので、自分が開発部門の責任者なら、自分が経営者ならと考えてみたいくつかのパターンを挙げておきます。
1.いかに売れる製品を作れたか
つまり、作ったものが売れたら、開発部門は褒められる、という仕組みです。
ただし、単純な売上の額ではなく、投資した額とのバランスを見ます。
ソフトウェアを複製して大量に売ることを想定した場合、どれだけマスターを作るのにお金を使ったか。それがいくらの売上に変わったか。これが開発のパフォーマンスを測る一つの指標になると思います。
ROAのように、売上をソフトウェアの開発費用で割る。
プロダクトアウトで販売している製品であれば、これがしっくりくると思います。
開発部門が自ら企画して作ったモノで、いくら売上を稼ぐことができたか。
ただ、これは製品力以外にも営業力というものが影響しますから、厳密に開発だけの成果と言いにくいというジレンマがあります。
また、ある程度正確に原価計算が出来て、ソフトウェア開発にいくらかけたかを把握できることが前提です。
2.いかに効率よくソフトウェア開発できたか
つまり、100万円の価値あるものを、100万円で作るのではなく、60万円で作れたら褒められる、という仕組みです。
算出方法としたら、ソフトウェア開発の価値を、作り出すためにかけた経費や労務費で割る、でしょうか。
この手法に合うのは、マーケットインのように、作るべきものは開発部門とは別の企画部門がある場合だと思います。
開発部門が作るものを決められないなら、プログラムを工夫して、より短時間でバグの少ないソフトウェアを作ることに集中することが求められると思うからです。
一方で、「作り上げたものの価値」の測り方に工夫が必要になります。
原価計算は、単に作るためにかけた費用を計算するだけですから、そのソフトウェアそのものの価値は表現できません。
ここでいう価値とは、100万円かけてつくったから100万円の価値がある、という主観的な話ではないです。
60万円程度しかかけていないけど100万円相当の価値がある、というような客観的な価値を意味しています。
この価値を表現することが、この方法の一番の課題だと思います。
3.いかに資源を有効活用できたか
開発部門の方々の時間の使い方は、極端に言えば ①将来売るものを作る、②作ったものを直す、③売れるかどうかわからないものを作る の3種類に分類できると思います。
開発部門が使う経費や時間といった資源を、①や③に割り当てられたか、を測るというものです。
より品質の高いものを作り、手戻りを減らすと同時に、自分たちの技術を磨いて、次の柱を生み出す時間を作る。これを追求することが開発部門の存在意義だとする考えです。
これは、時間管理をすることができれば、ある程度測定可能だと思いますし、実現の可能性は高いでしょう。
開発部門のパフォーマンスを測る指標として、一旦三つの案を考えてみましたが、おそらく他にもいろいろなアイデアがあるのだと思います。
もし、こんな指標もあるよ、というものをご存知の方がおられたら、ご紹介いただけるとありがたいです。
長文を読んでいただきありがとうございます。