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人里離れた街の『嘘』の祭りに迷い込んだけど、屋台飯をわんぱく食べできて幸せだった時の話

ある日曜日、午前中にちょっとだけ仕事をして程よく疲れた後に、お昼ご飯を買いに行こうと車に乗りこみました。
時間のゆとりもあったので(せっかくならいつもは行かない、ちょっと遠くのスーパーに行こうかな)と思い、普段は通らない道を運転し、途中にスーパーがあればそこで買い物をすることにしました。
その後、運転開始10分くらいで山道に入ってしまい、全くスーパーの気配も無い道をウネウネ、ガタガタと運転する羽目になりました。

それでもしばらく運転を続けていると、とある小さな町に出ました。街自体はとても小さく、大きめのスーパーも見当たりません。規模感で言うと、初代ポケモンで言うところのハナダシティくらいです。ニビシティからオツキミ山を超えないと行けない町ですね。なるほど、僕はオツキミ山を車で越えて、ハナダシティに来てしまったのだな、と合点がいきました。
ジムリーダーのカスミはどこにいるのだろうなぁ、と思いながら車を走らせていると、町役場と思われる場所の駐車場で、いくつかのテントが並んでおり、人だかりができているのを発見しました。
(こんな山奥のまちで何事か?)きっと、ジムバトルが始まったでしょう。スターミーのバブルこうせんを一目見たいと思っていた僕は、車を近くの駐車場に停めて行ってみることにしました。

ちょっと歩いて会場に向かうと、そこではなんと、町興しのための町役場主催のお祭りを開催していたのです!
これはなんたる偶然。スーパーに食料調達に向かっていた僕は、『祭り飯』という最高の食事にありつくことができました。車に積んであった2,000円を右手に握りしめ、早速お祭りに繰り出しました。

久しぶりの祭り飯にはしゃいじまった僕は、まずは焼きそばを買いました。それをうめぇうめぇ!と食べた後は、別のテントでカレーと串カツを食べました。なんという腕白食べ。脳が10歳くらいに戻った感覚です。体はしっかりと30歳なので焼きそばの段階でお腹は8分目くらいでしたが、知ったこっちゃありません。
10歳の僕は止まりません。その後、地鶏とドライフルーツを買い、川辺をお散歩をしながらパクパク食べました。30分ほどで2,000円を使い果たす豪遊っぷり。脳は10歳、財力は30歳だとこうなります。財力は10歳の時の3倍ですからね。

全て食べ終え、ボウリング球見たいな腹をさすりながら、ふぅっと一息ついている時、ここである疑問が浮かびます。

「…このお祭り、なのではないか?」ということです。
良く考えてもみてください。
季節は5月の中旬。夏祭りや花見の季節とは外れています。そんな中で、街ぐるみで屋台を並べてお祭りを開くでしょうか。しかも会場は、僕の住んでいた人里を一山も離れた、おそらく誰の知らないであろう場所。

ここで僕は、ある物語を思い出しました。
『千と千尋の神隠し』
あぁ、なるほど。僕はきっと、神々の世界に紛れ込んでしまったんだな。美味しい食べ物の屋台が並んでいたわけです。それに我を忘れて貪りつき始める僕。
「お父さん、もう帰ろうよぉ」と確か、焼きそばを食べる僕の後ろで千尋が叫んでいましたわ。

会場の近くに、意味ありげに川が流れていたのも頷けますね。きっと今頃、町役場の中では千尋が元の世界に戻るためにドタバタしているところでしょう。無事に豚に成り果てた僕は、千尋になんとかかんとかどうにかこうにかしてもらい、人間に戻れたので車に乗って自分の家まで帰りました。

冒険をする最中、ふとしたきっかけで別の世界に飛び込んでしまうことがよくありますよね。そんな時皆さんは、美味しそうな食べ物を安易に食べないようにしてくださいね。しばらく待っていれば、少年がでっかいおにぎりを持って来てくれるので、そちらをでっかいの涙の粒を流しながら食べるようにしましょう。あと、一応スターミー対策に、でんきショックを覚えたピカチュウを連れておくようにしましょう。

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