ぜんぶを飛びこすクルマ
「いっちゃーん!」
遠くから、以前より随分と逞しくなった声が聞こえた。スケートボードに乗っているのか体をフラフラさせながら、ゆっくりと小さな影が近づいてくる。
遠くからでもわかる、赤ちゃんの頃のようなむっちりとした姿は見る影もなく、幼児の体になっていた。夏の日差しで眩しいだけではないといったように、いつきは目を細めた。
「いっちゃん、ごめんごめん。お待たせ!久しぶりだね。本当に遊び来てよかった?」
「いっちゃん、見てー!ママが買ったー!」
似た顔の二人が一斉に話しかけてくるも