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日本の自動車レースの半世紀を明確なアングルで回想している「童夢から」が面白い

 先週に注文した「童夢から」(林みのる)が届き、その分厚さに驚かされました。写真やイラストも収められていますが、382ページはびっしりと本文で埋め尽くされています。Amazonから出版されているようです。

 パラパラと確かめるだけのつもりで文章を追ってみると、これが止まらないんです。レーシングカーコンストラクター「童夢」の創業者である著者が、キャリアと己の人生を振り返っています。3か所引用してみます。

「トヨタとのル・マン挑戦という私の人生で最大の夢がかなって有頂天だった頃も、目線を日本のレース界に移せば、浮き足立っているのは私だけで、レーシングカーを輸入に頼り、自動車メーカーからの支援だけで食いつないでいる箱庭みたいな日本のレース界の閉塞的な現状に絶望しかなかった」

「骨子、技術力を育成していくためには絶えず最前線で戦い続けるしかない。そうすれば、技術力だけでなくレースに関する感性も見識も育っていくから、未知の状況にも対処できる判断力も備わってくる」

「何が間違っていたのかというと、日本では、自動車レースはドライバーのテクニックを競う競技と解釈されていますが、本当の自動車レースは自動車開発技術の戦いであり、ファンはその技術の結晶であるレーシングマシンにより多くの魅力を感じるものだからです」

 面白そうじゃないですか!?
 辛辣な表現も連続しますが、日本のモータースポーツへの真摯な姿勢もまた伺えてきます。続きを読むのが楽しみです。

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金子浩久書店
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