![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/23371775/rectangle_large_type_2_c02d16dd4c7830300523dbb3c2079e58.jpeg?width=1200)
ウインカーを長く点滅させれば、あおり運転現象はなくせる
クルマを運転する時に、意識してウインカー(方向指示器)を長く点滅させるようにしている。
まず、安全確認をしてウインカーレバーを倒して点滅させてからハンドルを切るようにし、白線をまたいで隣の車線内に4輪がすべて収まるまで止めないから、けっこう長い。
チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ。
8回から10回は点滅することになる。
そんなに長々と点滅させているクルマなんていない。せいぜい、3回か4回だ。ヒドいと点滅させないドライバーもいる。
なぜ、みんなウインカーを点滅させる時間が短いのだろう?
ウインカーを点滅させるのが、そんなにイヤなのか?
世界中を走ったけれども、こんなにウインカーを点滅させたがらないドライバーが多い国や地域を他に知らない。
長めに点滅させるようになって数年経つけれども、同じようなクルマを見たことがない。
なぜだろう?
なぜ、みんなウインカー点滅が短かったり、点滅させなかったりするのだろう。
その理由を考えながら運転している。
長く点滅させると良いことがある。
長く点滅させている分、ルームミラーとドアミラー、直接の目視などでの安全確認の時間もホンの少しずつだけれども長くなった。だから、自分と自分が運転しているクルマを客観視できる。自分が、どこをどう走っているのか?
それに対して、周りのクルマはどう走っているのか?
相対化できるとも言える。
また、追い越しが終わってもいつまでも追い越し車線を走り続けるクルマに、イライラすることもなくなった。
すべて、自分の運転の余裕につながってくる。
さらに良いのは、僕が長めに点滅していることに気付いた、前や後ろや横を走っているクルマのドライバーたちに伝播してくれることだ。
「おっ、そういえば、ウインカーってあのクルマみたいに車線変更する時の初めから終わりまで点滅させるものだったって教習所でそう習った。自分もやってみよう」
そう思ってくれていたらうれしい。
チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ。
点滅が目立つ、夜の高速道路や自動車専用道などを走り続けていると認識されやすいので、伝播するクルマが必ず現れてくる。
そうしたクルマたちは、追い越し車線を走っていても追い越しが終わると速やかに走行車線に戻る。自分の運転を相対化する自覚が強まったのだろう。
そうすると、今度は僕ではなくてその“長め点滅グルマ”に気付いたさらに別のクルマたちに伝播していくのだ。
チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ、チカッ。
ウインカーを点滅させるということは、人間同士に置き換えると“あいさつ”や“声を掛ける”こと、“返事をする”ことなどに相当するのだと思う。
ドアを開けて先に行かせてくれた時などの「ありがとう」、電車内などでカバンや身体などが当たってしまった時の「すみません」、商店や飲食店に入る時に店員から「いらっしゃいませ」とあいさつされた時の「こんにちは」など、口にするさまざまな言葉がウインカーの点滅だ。
ブスッと何も言わずに行動する人がいるけれども、それはウインカーを点滅させずに車線変更や交差点を曲がることと同じだ。行動に伴う意思表示がウインカーの点滅なのだ。
だとすると、もうひとつ効果を期待できる。ウインカーを長く点滅させながら追い越し車線から走行車線に戻るクルマがこれを機会に増えてくれれば、あおり運転現象の解消に役立つのではないだろうか?
あおり運転の少なくない原因は、追い越し車線を漫然と走り続けるドライバーにもある。もちろん、逮捕されるような悪質なドライバーには別の理由が考えられるから論外だ。
すべてのクルマが追い越しが終わって速やかに走行車線に戻っていたら、先を急ぐ後続車は追い越し車線をそのまま走り抜けて先に行ってしまい、あおり運転など発生しない。
追い越し車線を走り続けるドライバーのほとんどには悪気はないのだと思う。教習所でキチンと教えられていないのと、現実の路上には同じようなドライバーが多いから、なんとなくそういうものだと感じているだけなのだろう。
不幸にも、ミラーも見ずに漫然と追い越し車線を走り続けて後続車に追い付かれ、イラ立たせてしまっている。
ウインカーを長く点滅させることで自分がどこをどう走っているのかという自覚が強まり、周囲への波及効果も生まれ、漫然と追い越し車線を走り続ける人が減ってくれることを願う。
追い越し車線を走り続けることで後続車にフラストレーションを起こさせるような道路状況が珍しくないのは、もう中国の地方ぐらいになってしまった。都市部は整然と走っているし、タイ、マレーシア、シンガポールなどはヨーロッパ並み。昨年訪れたスリランカだって粗野なところはあるけれども、漫然と走っているクルマは見なかった。
ぜひ、みなさんウインカーを長めに点滅させて走ってみて下さい。
ここから先は
10年10万kmストーリー
今は無き『NAVI』誌で長期にわたって連載され、4冊の単行本にまとめられた「10年10万kmストーリー」を再開します。
10年10万kmストーリー
一台のクルマに長く乗り続ける人々のルポルタージュ。自動車ライター金子浩久が全国に出掛け、クルマ好きの喜怒哀楽を共有する。
チップは取材費に活用します。