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10年10万kmストーリー

今は無き『NAVI』誌で長期にわたって連載され、4冊の単行本にまとめられた「10年10万kmストーリー」を再開します。
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#アルファロメオ

10年10万kmストーリー 第55回 アルファロメオ155TS1.8 Formula(1994年型) 26年20万km

10年10万kmストーリー 第55回 アルファロメオ155TS1.8 Formula(1994年型) 26年20万km

 偶然にも、SZに続いて2か月連続でアルファロメオに乗り続けている人を訪ねた。
 待ち合わせ場所の駅の出口からロータリーの方を眺めると、すでに155は到着していてすぐにわかった。
 赤いボディカラーが鮮やかだということもあるけれども、最近は走っているところをあまり見掛けなくなってしまった155のカクカクとしたスタイリングが、周囲の現代のクルマたちとは明らかに異なった造形の方向性を示していることも大

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10年10万kmストーリー 第54回 アルファロメオSZ(1994年型) 11年1万km

10年10万kmストーリー 第54回 アルファロメオSZ(1994年型) 11年1万km

 この「10年10万kmストーリー」だけに限らず、クルマのオーナーさんをインタビューしている時に確認を怠ることができないのが、複数台数を所有している場合の前後関係と因果関係だ。
 複数を同時に乗り換えることは稀だし、台数が増えたり減ったりすることもある。一台々々について、いつ、何と入れ替わりに、どんな目論見で入手したのかを確かめながら話を聞いていかないと、こんがらがって全体像というか、オーナーさん

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10年10万kmストーリー 第35回 アルファロメオ156 TS 2.0(2002年型)10年3万4000km 三つもの偶然が重なって

10年10万kmストーリー 第35回 アルファロメオ156 TS 2.0(2002年型)10年3万4000km 三つもの偶然が重なって

 同じクルマに続けて乗る人は珍しくない。 
 同じクルマだというだけではなく、同じ年式で同じグレードの同じボディカラーに乗り継いだという人にも会ったことはある。
 しかし、もっと条件が狭まって、「同じ船で同じ時に日本に輸入された同じ色で同じグレードのクルマ」を乗り継いでいる人というのはかなり珍しいのではないか。
 クルマは、アルファロメオ156 TS 2.0。同じセールスパーソンから買ったというオ

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10年10万kmストーリー第25回 アルファロメオ・スパイダー 1974年型 23年5万3000km   恩人ならぬ“恩車”なんですよ       

10年10万kmストーリー第25回 アルファロメオ・スパイダー 1974年型 23年5万3000km 恩人ならぬ“恩車”なんですよ       

 メールに記された通りに駅から歩いていくと、目的の建物らしきものが見えてきた。間違いない。周囲の家々と明らかに異なった意匠、それもきっと入念な設計が施されたのだろうと思わせる家だ。建築家の自邸なのだから間違いない。建築家には白袴や不養生は当たらないのだ。

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10年10万kmストーリー 第5回 アルファロメオ・アルファ75 3.0 V6(1991年型)23年2万9000km  人間の感覚に忠実な速さ

10年10万kmストーリー 第5回 アルファロメオ・アルファ75 3.0 V6(1991年型)23年2万9000km 人間の感覚に忠実な速さ



 アルファロメオは得をしている。

 まず、名前がいい。語呂と響きがいかにもロマンチックだ。

 シェイクスピア劇を引用して、「ジュリエッタ」などというモデル名で洒落ることまでわきまえている。
 だからと言って軟派なだけではなく、長い歴史は波乱万丈で、折に触れて硬派なモデルやレーシングマシンなども生み出している。

 何の変哲もないように見える4ドアセダンでも、凝ったメカニズムを採用し、走らせ

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