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自己承認できない人が抱える「過去の否定」と向き合うために


「自分で自分を傷つけている」——そんな思いを抱えている人は少なくありません。


そして、その多くが親や身近な大人からの言葉を原因として感じているのではないでしょうか。


子ども時代に受けた否定的な言葉は、まるで心の奥深くに刺さる針のようなものです。


そしてその針は、成長しても、時にさらに奥へと自分で押し込んでしまい、ますます抜けにくくなってしまいます。

「なんでこんな簡単なこともできないんだ」「なんでこんなことを言ってしまったんだ」——これは決して質問ではなく、純粋な否定の言葉です。

言葉の背後にあるのは「あなたは十分でない」というメッセージ。


このメッセージは、子ども心に深く傷を残し、その後の人生にわたって自己承認を困難にしてしまう原因となることがあります。



親の言葉が与える影響

私たちは子どもの頃から、親や大人に認められ、受け入れられることを強く求めます。


それが自然な心の欲求であり、家族の中で感じる安心感を支えています。


しかし、もしもその求めに応える代わりに「なぜこんな簡単なこともできないのか」「あなたはどうしていつもこうなのか」と否定されてしまうと、子どもは無意識のうちに「自分はだめな存在だ」「何かおかしいのかもしれない」と思い込んでしまいます。

こうした否定的な言葉をかけられると、自分の存在価値や能力に疑いを持つようになります。


そして、周りの誰よりも「自分が自分を信じられない」状態になってしまうのです。


その結果、自己承認が難しくなり、「自分を受け入れる」という気持ちがどこか遠いものに感じられるようになってしまいます。


否定の言葉が作り出す「内なる批判者」

一度心の中に根を下ろした否定的な言葉は、やがて「内なる批判者」として私たちの心の中で強い影響を持ち続けます。


これはまるで、親や大人の否定の声が自分自身の一部となり、必要以上に厳しい目で自分を評価し、責め立てるようなものです。


「どうしてこんなこともできないんだ」「なんでこんなミスをしたんだ」「自分は他の人に比べて劣っている」といった自分を責める声が、日常の些細な場面でも顔を出すようになるのです。

これが続くと、自分に対する評価が偏ってしまい、自己承認のための余地がどんどん小さくなります。


失敗やミスがあるたびに、「まただめだった」と思い込んでしまい、少しずつ自己否定が強化されてしまうのです。


こうして積み重なった否定は、自己承認を妨げるだけでなく、人生の様々な局面で「自分には無理だ」「自分には価値がない」という感覚を植え付ける要因にもなりかねません。


「過去の否定」を相殺するために肯定が必要なタイミング

自己承認ができない人にとって、時には無理にでも自己肯定のための「理屈」を作り出すことが大切です。


これは、「過去の否定」を和らげるための自己防衛策でもあります。


過去に否定され続けてきた自分にとって、今の自分が「良い」とか「価値がある」と信じるのは決して簡単ではありません。


否定の積み重ねにより、少なからず「どうせ自分なんて」と考える思考回路が出来上がってしまっているからです。

だからこそ、時には過去の否定を「相殺」するために、無理にでも肯定のための理屈を作り出すことが重要です。


たとえば、「あの時はまだ自分には知識がなかったから失敗したんだ」「あの出来事があったおかげで今の自分がいる」といった形で、自分が歩んできた道を少しでもポジティブに捉える努力をするのです。

肯定の理屈をつけることは、過去の自分と現在の自分をつなげ、自己肯定感を取り戻すための一歩にもなります。


過去の否定に押し潰されないようにするために、必要なタイミングで「これはこれでよかったんだ」と言える根拠を作り出すことが、自己承認の土台を築くことにつながるのです。


否定と肯定のバランスをとることの重要性

自己承認に向かうためには、「過去の否定」を無視するのではなく、むしろ適切に「相殺」していくことが大切です。


自己肯定と自己批判のバランスを保つことは、健全な自己成長において非常に重要な要素です。

肯定ばかりで自分を過度に甘やかすのも危険ですが、否定ばかりで自分を追い詰めることもまた同様に危険です。

自己承認が難しいと感じる人は、つい「肯定なんて無理」「自分には価値がない」と感じてしまいがちです。


でも、その背後には「バランス」が欠けていることが多いのです。


だからこそ、まずは小さな自己肯定の理由を一つでも多く見つけ、否定の声と対峙するための「バランス」を取る練習をしていくことが必要です。

否定の声が強すぎると、自己肯定感が育ちにくくなるため、時にはあえて自分を肯定する視点を持つことが、自分を守り、支える手段となります。


たとえそれが過去の経験に対する「無理やりな理屈」だったとしても、自己承認を育てるためにはそのような肯定が不可欠なのです。


「自己承認」が生きづらさの解消につながる理由

自分を受け入れるためのプロセスは、一筋縄ではいかないかもしれません。


それでも、自己承認を育てていくことが、生きづらさを和らげ、心を軽くするための鍵です。


「過去の否定」や「内なる批判者」が強く根付いていると、すぐに自己承認を感じられなくても、少しずつ「自分を受け入れる」視点を育むことで、心の負担が和らいでいくのです。

自己承認は、完璧である必要はありません。時には無理やりにでも肯定の理屈を作り、否定を和らげることが、自己を守る手段になることもあります。


そうやって少しずつバランスを整え、「自分はこれでいいんだ」という感覚を育てていくことが、自己承認につながります。


自己承認への道は、自分に優しくなる道

私たちは、つい「もっとこうあるべきだ」「できる人でなければいけない」と自分を追い詰めがちです。

しかし、過去の否定の声に押され、自分で自分を傷つけることが続いているなら、まずは「この自分でも大丈夫だ」と感じられる根拠を、少しずつ増やしていくことが大切です。


自分が自分を許し、認めることで、初めて自己承認への道が開かれていきます。

「自己承認」を育てるのに時間がかかるのは自然なことです。

ですが、一歩ずつ自分に優しく接し、肯定と否定のバランスを整えながら、自分のペースで歩んでいくことが、過去の否定を承認する道です。

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