「理不尽」は悪いことなのか? ~体育会人材を通して考えたこと~
こんにちは、お金が入るで金入です。
取引先企業で社員の方々にヒアリングをさせて頂いた際に、「理不尽」という言葉を聞くことがあります。
それは顧客からの無理な要望であったり、会社からの急な方針変更であったり、そうしたものがあった際にそう感じるということでした。
今日は、この「理不尽」について考えたことをお伝えできればと思います。
■結果を出す体育会人材が持つ考え方
この理不尽という言葉から、私は自身の大学の体育会時代の経験を思い出しました。
体育会の人材が置かれている環境は、真剣勝負の場。
言い換えれば、結果で判断される環境。
さらに言えば、言い訳ができない環境で勝負をしている。
どんな状況の中でも良い結果を出すために、何が必要かを考えて、努力を積み重なる。
例えば、練習環境が整っていなくても、良いコーチがいなくても、大学やOB・OGからの支援が少なくてもです。また、試合の中では、外のスポーツであれば、天候や気温が変わる。もしかすると、ケガをするかもしれない。相手が挑発をしてくるかもしれない。そう、何が起こるかわからないのです。
そうした中で、結果を残す体育会人材が理解していることがあります。それは、「スポーツの世界は理不尽である」ということです。
自分が望むようになることは、ほとんどないことを知っています。うまくいかないほうが多い。そんな状況の中でも、少しでも自分が望む状況に持っていくために、あらゆることを想定して準備をして試合に臨みます。
特にコロナ禍のときは顕著でした。
無観客での試合。
感染予防をした状態での試合。
部員と練習がなかなかできない中での試合。
そうした中でも結果を出すために最善の努力をして試合に臨んでいました。
■理不尽は悪いことなのか?
「理不尽」という言葉。社会に出てみると、悪い言葉として使われていることが多いように感じます。
会社が、上司が、お客さんが、理不尽なことを言ってくる。私は不当に扱われている。平等に扱われていない。自分の思い通りにいかない。そうしたことで思い悩む。
たしかにそういったことで、理不尽を感じることがあると思います。できればこういったことはないほうが良いかもしれません。
でも、こういう風にも考えられます。
「世の中は理不尽、ビジネスは理不尽」
世の中は、自分が思っている通りには動かない。
筋が通っていないと感じることがいろいろ起こる。
いろんな人がいて、いろんな考え方があるから当然と言えば当然。
急に景気が悪くなることもある。
ある企業が不祥事を起こしたことで、その影響で自社に悪い影響が起こる。
ある国の紛争を起こしたことで、その影響で日本に悪い影響が起こる。
自分が悪いことをやっていなくても、そんなことは関係がなく、そうしたことが起こるのです。
■理不尽をどう捉えれば良いのか?
たしかに理不尽なことがないほうが良いと私も思いますが、一方でそうはいかないのが世の中。
スポーツで結果を出す人やビジネスで結果を出す人、仕事ができる人たちは、このことをよく知っている。スポーツで言えば、そもそも体格がみんな違う。持っている身体能力も違う。初めから平等・公平ではなく、理不尽な状況から始まっています。ビジネスもそう。資金力には差があるし、社員の能力にも差があります。
そうした中で、平等を言い訳にしたり、理不尽を言い訳にしたりして、結果が出るかというとそんな甘いものではないことはみんなよくわかっているはず。
5000社を超える企業を指導し、多くの倒産寸前の企業を立て直したとされる経営コンサルタントの第一人者として有名な一倉定さんは、「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、すべて社長の責任だと思え」という言葉を残しています。
「世の中は理不尽・ビジネスは理不尽」ということを前提にして動いているかどうか、言い換えれば「理不尽を前向きに捉えているかどうか」。
結果を出している人の考え方と言えそうです。
■理不尽を前提に考えるときに絶対必要なもの
一方で、ただただ理不尽に耐えるというのは、大変なことです。理不尽を前向きに考えるためにはどうすれば良いのでしょうか?
私は、何か目的や目標があれば、そのための試練として受け止められるのではないかと考えます。
実現したいこと・想い、そのための目標。結果を出すスポーツ選手や経営者は、必ず自身の目的や目標を持っています。
何のためにそれをやるのか。どこまでそれをやるのか。
ビジネスで言えば、「何で仕事をするのか」、「何でその会社で働くのか」。そこに対する自分自身の考えを持っているかどうか。
そうした際に、その目的が、「お金を稼ぐため・生活のため」だけで良いのか。その目的で「自分の人生は豊かになるのか」を考える必要があると考えます。そうしたことがもっと考えられれば、「理不尽」についての考え方も変わっていくのではないでしょうか。