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「図南の翼」(十二国記)を読みました

なっ…そ、宗王一家…!!供王…登極っ…!!

うおおおお小松さん…おおおおおい六太ーーーーー!!!!!!

(※小松さんと六太は出てきません。)

ってなってます。まあ…なりますよねこんなん読んだら…噛み締めすぎて…一語一語に…3点リーダーを挟みたくなりますよ…読みにくいのでやめます。

表紙見て朝からガッツポーズしてしまった、こっこれは…供王では!?という気持ちと帯に書かれた「大人たちに勇気がないのなら、あたしがこの国の王になる!」という言葉でもう最高が約束されていたため。

しかし読み進めて行ったら全然困難だらけだし、
に、人間だ…珠晶様がしっかり人間をやっていらっしゃる…!!てなって。
考え方とか振る舞いが全く等身大じゃないのが珠晶様の傑物ぶりを現しててたまらなかった。頭と口が回る速度が半端なさすぎる。

ほんと見た目が子供なだけで子供らしい欲全然無いなあ珠晶様…。珠晶様の行動原理、欲望じゃなくて全部願望じゃないですか?自己の利益を追求する心が無い…!

一般的に子供時代って欲しいものが思うままには手に入らないことを学ぶ時期、
まあつまり「無理なことは諦めて自己肯定して前に進むこと」に慣れる期間でもあると思ってるんですが
珠晶様の場合は見ているものの主語が自分じゃなく自分を取り巻く世の中そのもので、その時点で普通の人と一線を画している…。

加えて人と人の間に埋め難い差がある現状への不満や、王が現れれば少なくとも国の荒廃が止まるのにその王が現れないことへの怒り、そこで生じる「なんで」とか「どうして」を諦めない。知らないことなら知ろうとする。自ら行動、追求し自分の答えを出す。より正しい答えが見つけられたら軌道修正する…。

一般の人が「世の理」として諦めてしまうことを、本文でもありましたがその理を超えて行動し続ける…それって王がやるべきことそのものすぎる!!

そして珠晶様と祥瓊の出会いを思い出してあああ…となりますね。珠晶様の目にあの時の祥瓊がどれほど愚かに映ったのか、今ようやくわかりました…。

そんな珠晶様でも道中色んなことを思い悩み、捨て切れずさまざまな選択をしていくの良かったですね…珠晶様自身自分が完璧だなんて全く思ってないところ好きだ。

「自分もままならない状況で、困っている人を助けること」の是非について色んな形で出てくるんですが、
人を助けることがそもそも絶対的善行なのが間違いないだけに、助けないという選択に道理を見出せないのは必然ですよね…と、思ってたら
危険な妖魔を迂回する頑丘と袂を分ち、室李和と一緒に道中歩むことで徐々に珠晶様の目に映っていた「助けない」という行為が「助けられない」だったことに気づくのめちゃめちゃよかった〜…!!!!

そこから道を戻って朱厭討伐までの流れですよ…!!アツすぎる!!!珠晶様が周囲に与える叱咤激励って普通の大人から大人に与えられるものと質が違いますよね。珠晶様が子供だからその言葉が真っ直ぐ届くし救われるのかも…。

勿論真っ直ぐ届きすぎるから現実はそうじゃ無いと否定したくなる、そういう場合もありますが
捨て置かれた人々の中には子供だからと見くびる人は誰も居なくて…それは鉦担たちが人に指示されることに慣れている人々だから、というのがもう…なんとも言えなかった。社会を形成する以上、人と人の間にはやはり身分というものがあるんだ、どうしても。
これから先珠晶様が向き合っていく国の民たちなんだ…。

朱厭討伐後また頑丘や利広と再会したのも束の間、妖魔に襲われ
頑丘と珠晶様が利広の助けを待ちながら色んな話をするんですがここもめっちゃ良かった…頑丘…本当に根が善だ…善だし、なんなら利広よりも珠晶様が王になるだろうこと、直感的にわかってたんじゃないのか…?

「黄海に里木が宿ったのが300年から400年前」という言葉に、わ〜じゃあ延王はその時もう小松さんなんだなあ…とかは思ってたのに
更夜が出てくるとは何故か全く思って無かったのでそこから名付けのところで涙腺がめちゃくちゃになるかと思った。王を頼らず、国を頼らず、妖魔とともに黄海を郷里とする人々の存在…更夜の過ごした500年間の事を思うともう…!!

きっと駮に名前を付けるためと言われてなければ名乗って無かったんじゃないかと思うんですよ…本当さあ…
犬狼真君…朱黄の神様になったんだ…そのこと小松さんたちは知ってるのかっ知らないのかっ!?

どっちなんだい!?!?!?!?!

と心のなかやまきんに君が大胸筋でずっとルーレットをしてます。12の里木って言ってるからここで分け与えた神って各国の王だったりしないのかなと思ったんですが、どうなんでしょうね?
いずれにせよいつかどこかで「更夜」と呼ばれる駁を六太が見かけるのは、ある!!(根拠の無い確信)
かつてどこにも居場所の無かった彼が自らを僥倖と言える今があるんだ…本当に良かった…ああ〜…

などなど万感の思いを抱えたまま迎える王の選定ですよ!!!
この終わり方が本当に痛快というかもうーーー!!!珠晶様らしくて読後感爽やかすぎる!!!!
珠晶様と供麒の出会いはやっぱりビンタで始まるんだ、ああもう本当に最高ですありがとうございます、私が見たかった珠晶様の御姿がそこにありました。

蓬山から見えた珠晶様の王気は多分スーパーサイヤ人の気みたいな量見えたんだろうなと思い、それと同時に泰麒と乍驍宗のことを思い出す。あんなに不安に苛まれ、罪悪感とともに悩み続けた泰麒と、めっちゃ大勢で迎えに来て出会い頭に即ビンタの供麒…!この落差。

た、たまらん…

それでもこの人が自分の選ぶ王なんだという喜びがあるんですよね供麒の中にも。それを思うともう…王と麒麟の出会いそれぞれ全てがもう、ねえ!?どうしますかって、ねえ!?

取り乱しました。

そして慶に雁の後ろ盾があったように、恭に奏の後ろ盾があったんだ…最高です…そういうやさしい支援描写たまらん。やはり利広もビンタされたんでしょうか。

しないんだろうな、きっと不敵に微笑むんだ珠晶様は…
はあああ図南の翼、面白かった〜…読めて嬉しかった…

そしてこの世界の強いものたちはやっぱ全員デカい虎に乗っている…!!

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