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「風の万里 黎明の空(上)」(十二国記)を読みました

だから水飴をくれた親子の子供の名前が玉葉だったのか〜!となりました。
蓬山の碧霞玄君の玉葉様から来てたんですね。疑問に思った事に毎回ちゃんと解説がどこかであって、すごく親切に感じます。
そして今まで二つの視点で話が進むことが多かったですが今回は三つということで新しい登場人物もいっぱいでした。ついていけるのか私に…!

まずは景王となった中嶋さん。

表紙もそうでしたが挿絵の正装の中嶋さんが本当にご立派な感じで…読み始めて数日の人間ですが(こんなに立派になってぇ…!)と思いました。

それを見にきてくれてるのが延王小松さんと延麒六太なのめちゃめちゃ良い。小松さんこんにちは〜と思いました。誰のつもりなんだよ。

そして王全員の正装見たい、なぜならめっちゃカッコ良さそうだからです。
全員並んだクリアファイル欲しい、なぜならオタクだからです。


小松さんが言うことの説得力は相変わらず素晴らしいんですが、それに加えて中嶋さんの抱く雁への所感が読者の代弁か!?ぐらいわかりすぎてめちゃめちゃ頷いてました。
雁は官吏が王を信頼しているから〜のところ。本当に。その人間を間違いなく選び、その上信頼や関係性を築くのがどれほど大変かということですよね…。王は常に試されている…雁って奇跡なんじゃないですか?小松さんという圧倒的な存在。
あんなに周りから信頼が厚い乍驍宗が戻った戴も半年で偽王出た〜って言ってたし…え?偽王???

???

すみません乍驍宗が半年しか居なかったってことですか?

あんなラスボスみたいな見た目なのにですか?

高里君の角が折れるのも高校生の姿でまた戻るのも知ってますが
10歳の高里君の身に危険が及ぶ描写が今からあの〜…ちょっともう…あんな愛らしい存在の角が折れる話を読む日が来るの怖すぎるんですが。

小松さんの持つ矜持と乍驍宗が持つプライドって何か…ベクトルが違う感じがするんだよな…小松さんはマクロで乍驍宗はミクロという感じがする。
視野狭窄とかいう意味合いではなくて価値観の違いがなんか…根底にある気がするんだよな…武人として持つ高潔さの度合いというか。
何より大事だとしてもいざという時それを棄てられるかどうかみたいな部分でこの2人は違う答えを選びそうな気がする…現時点では。だから何があったんだよ戴に…(十二国記を読み始めてn回抱いている感想)

さておき初勅に重きを置く中嶋さんが街で暮らしたいと言うところで安心する景麒良かったです…。
今お互いに歩み寄れる最大限がここで、以前より信頼があるから信じて離れられる感じ?すごくいい。麒麟自体相当繊細な存在だから、憮然とした態度でも景麒は景麒で色々考えてるんだろうなあ…というのとそれをわかっているけど離れる決断ができる中嶋さんよ…本当に立派だ…。

2人目は才の国に流れ着いた海客大木鈴さんですね

もうこの〜〜ねえ!!すごいわかる!!すごい大木さんの気持ちわかるけどダメなこともわかる!!

大木さんの苦労って本人にとっては絶大で、というか縋るものがそれしか無いから失うわけにいかない背景で…。大変だったねって満足するまで言われなかったら自分で言うしか無い。
清秀君の言うことは本当に正しいんですけど今の大木さんにとってそれを認めるのは何より辛いんだろうと思うと…じ、人生〜〜ってなっちゃいます。
いや馬に踏まれて死ぬんかい。嘘だろ。
この無常感。

いろんな優しい大人たちが見守りながら大木さんを慶へ送り出す流れ最高でしたね。
翠微洞にお住まいの梨耀さんからようやく逃げ出し、才州国采王の黄姑、采麟と出会ってもう苦労は終わりなんだと思ったら召し上げてもらえず、
周りに当たって、優しさに気づけず…って愚かしく思われるかもしれませんが、いや〜〜〜…仕方ないよ。
一刻も早くとにかく安心して気楽に過ごしてみたいだけなんだと思います大木さんは。普通そうだよな…わかるよ…。生きるって大変すぎるよな大木さん…!!と全然知らんのに横に立って肩ぽん!!みたいな気持ちになりました。

最終的に、世話になってる里家の閭胥りょしょ遠甫えんほさんの怪しい客人を追っていた中嶋さんと居合わせるわけですが。
この2人がこの後どうなるのか気になりすぎる。

清秀君と話しながら少しずつ変化していた大木さんが、今の自分の不幸に対してようやく折り合いをつけられそうなのは
結局景王という存在にすべてを被せてたからだと思うので…中嶋さんを王と知らないまましばらく過ごし、後でそれを知った時どうなるんだろうか。
ふ、不安だ…。向き合えるか…?この現実に…大木さんは…。
ペルソナだったら自分のシャドウとのバトルで解決できるのに。

3人目は芳極国の元公主の祥瓊しょうけいさん

ああ〜〜わかる〜〜

ってこの本読みながら何回わかるって言ったかわかりません。大木さんも祥瓊もさあ…わかるよ言いたい事は…めちゃめちゃに…と言いつつ私には何もわかってないのかもしれませんが。

失ったものに目を向けているうちは前に進めないのが人生というやつですが、失ったものがその人にとっての全てだったら、それも仕方ないよなと思います。
結局他人に目を向けるって余裕がないと出来ないことだし…
その余裕を与えてくれるのって大抵が人との関わりだったりするから祥瓊にそれが出来ないのも、もう…しゃーないんじゃないのか…祥瓊…!
祥瓊にはハグを求めてもビンタされそうな気がする。

峯王の圧政に耐えかねた国民が蜂起して王を討った!月渓サンキュー!というのが一般国民感情なので
祥瓊は国民にとっての敵でしかないわけですが本人はそんなの知る由なかった!!って感じで…。
国民に目を向けるという選択肢すら彼女の中には元々なかったわけで…
かと言って国民の皆さんに責めるなとは言えないので…なんかもうどうしようもないよな…どうしようもない…ああ…と思ってたら

ほてほて…
そのっそのあまりにも可愛すぎる足音はッ!!!!!

楽俊…!!!(聞こえる勝ち確BGM)

本当に楽俊が出会ってくれてよかった…!!中嶋さんに引き続き出会ってくれてありがとう楽俊…騶虞のこと今「たま」って呼んだ??

きっと祥瓊は良い方向に行くことでしょう。なぜならプライドが高いから。
プライドが高い人って結局根が真面目なので、必然善性に傾きやすいと思っています私は。急に持論を展開してどうした。

そしてですよ!!!!あの〜〜恭州国の!!!供王珠晶様!?!?!
めちゃめちゃ最高なのですが?!?!?!
座って?って言いながらガタイが良いと書かれている供麒にビンタをお張りあそばされるお姿、大変痺れましたが!?好きだ…となりました。
たまらないですね、めちゃめちゃ好きです珠晶様のことが。高潔で孤高だ…!そして理解者を得ようとしなさそう、故にすごく孤独そう。

なんか勘違いされて大変なことにならないか心配すぎる。周りの臣たちが何を言おうと国民の方が数が多いので…本当に心配だよ…私が好きなキャラって大体死ぬし。出てきた瞬間から死を心配してすみません。

違う小説ですがここ最近好きなキャラが四肢と頭をバラバラにされて死んだり、首を捻じ切られて死んだりしているのでつい…。

登場人物が抱える感情それぞれに(ああ〜…どうしようもねえ〜…)と思う回数が半端ない巻でした。こんなに色々共感出来るのに、というか共感できる故、どうしようもないことが多すぎる。
人間とは…。と、ただ本を読んでいるだけなのにやたら壮大な気持ちになってしまいました。ここからどうなっていくんだ…。
読者は本を閉じ、天を仰ぐしか出来ない…。


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