世界写真紀行 vol.9(インド/ アーグラ)
インド北部ウッタル・プラデーシュ州に属する都市、アーグラ。世界遺産に登録されているタージマハールがある都市としてその名は広く知られている。多くの旅行者は、タージマハルを見るためにこの街に辿り着くと言っても過言ではない。
また、ムガル帝国時代の繁栄の象徴として、赤砂岩で築かれた「赤い城」の異名をもつアーグラ城塞も忘れてはないらない。まさに、文化・遺産の街である。
私も、タージマハルを一眼見ようとこの街を訪れた。
タージマハル見学を終え、安宿に戻り一休みしている時だった。
5歳くらいの男の子が宿の共有スペースで独りボールで遊んでいた。
暇だったので話しかけてみた。
"名前はなんて言うの?"
すると、人懐っこい声で
"シヴァ"
シヴァと言えば、ヒンドゥー教の最高神の名前。破壊を司る神である反面、病気を治すこともできるとされる慈悲深いシヴァ。ガネーシャの親としても知られている。
インドにはすごい名前をもつ子供がいるものだと、驚かされたが見た目は可愛らしい5歳児。ピンクのボールを指で打って遊んでいた。
暇だったので、一緒に遊んだり、写真を撮ったりして楽しんだ。カメラにも興味津々で、撮り方を教えるとすぐにパシャパシャ撮り始めた。連写してまた連写。相当ハマった様子。
時間も過ぎたのでシヴァ君に別れを言って部屋に戻ることに。
後にシヴァ君は宿のオーナーの子供だったと聞かされ、ふと思った。
喜ばせようと一緒に遊んだけど、もしかしたらあれはゲストを心良く迎入れ私たちを楽しませようとしたシヴァ君なりのホスピタリティだったのかもしれない。と。