【06ブルズ】失敗も成長の糧に~堅木康生~
ホームラン王
結果を出した。オープン戦、リーグトップの2本のホームランを放った。捕手としても申し分なしの動きを見せた。そのまま開幕スタメンの座を射止めた。3年目の堅木康生だ。
その堅木を9番に据えておけるほどブルズ打線は厚い。開幕戦の直前、球場でアップをしているホームランキングに話を聞いた。
「オフの間の体作りがうまくいったと思います」
自分の思い通りに体を動かす、というトレーニングを取り入れ、筋力トレーニングにも励んだ。
「今年のチームは雰囲気がすごくいいです。やるべきことはやる、やらないことはやらないということが徹底できています。全員が試合に入り込むことができていると思っています。自分はまだ周りのムードに引っ張られる側なんですが、乗っていきたいですね」
そんな堅木が思ったことが一つ。この3年間でのチームの変貌だ。
「最初入りたての時はチームの中に『無駄なプロ感』みたいなのがあったんです。カッコつけてると言っていいかどうかはわからないですけど……入りたてだったので『こんな感じなのかな』と思っていました。でも今は泥臭さのある、一生懸命なプレーができるチームになっていると思います」
捕手としても打者としても成長できる1年へ、課題はある。
「去年も1か月で打率が1割落ちたことがあるので、結果に一喜一憂しないようにしていきたいと思います。盗塁はどこまで刺せるかわからないですけど、最低でもホームランはシーズンで5本は打ちたいです」
そうして開幕戦のグラウンドに出ていった堅木。だったのだが……
落ち込む
試合後、堅木は沈み込んでいた。
先発の古田青依、2番手の中村雅友を好リード。特に古田とのバッテリーについては、5回まで堺打線をノーヒット、トータルでも3安打に抑えた。3回に挟殺プレーで悪送球をしてしまい先制点を許すと、打席では3三振。特に5回、7回はランナーがいる場面。チャンスをことごとく逃してしまった。
「(気持ちが)昂り過ぎました……」と言い、ベンチでうなだれる堅木。
見かねた遊馬ジェシーが言った。「お前のバットで勝つ試合だってあるんやぞ」
確かに悪い事だけではなかった。ホームのクロスプレーを2度成立させ、失点も防いでいた。
「それに……右側見てみ?」
そこには笑みを浮かべる谷口GMがいた。
「作戦で9番に置いているのか、『9番打者』と思われているのか……相手の攻めでよくわかったやろ」
「……帰って練習します」
そう言ってバットを持って堅木は球場を出ていった。
吹っ切れた
次の日の兵庫ブレイバーズ戦。
練習中、堅木は無心にバットを振っていた。
試合では2打席目に今季初安打となる三塁への内野安打を放つと、次の打席にはレフト前に綺麗にヒットを放って見せた。
試合も堅木のヒットを皮切りに得点が入るなど、ブルズの今季初勝利に貢献した。「気持ちは完全に切り替わりました!」とスッキリした表情で試合後に話してくれた。
「ファーストストライクをしっかり振る、そして気持ちに波を作らない、メンタルが沈まないように、ということを意識していきたいです。48試合ありますので、1試合に1本計算でヒットを重ねて、50本はヒットを打っていければと思います」
失敗もあれば成功もある。それを糧にして堅木はまた大きく成長してく。
(文・写真:SAZZY)
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