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氷三部作2「氷」
ウラジーミル・ソローキン著
最近ヨーロッパのスパイ問題におけるロシアの孤立化や、5月までに行われるだろう米朝首脳会談に対してロシア・プーチンの動きが気になる、今日この頃。
半島情勢は周辺国家の多大な影響を受けてしまうという、この関係性の国に住んでいる者としては、常に避けれない事実である。
そんな中「民族問題」関連の本で、「現在のロシアが持っている帝国的な発想と人種主義がよくわかる」おすすめの一冊としてあった、現代ロシア文学のソローキンの「氷」に遂に手を付けてしまった!
ソローキンという魔術師の、迫力ある世界に圧倒されながら、すっかり吸い込まれてしまった。まるで、禁断のなんたらに手を出してしまったような感覚。
「自らの正体と目的を悟るために、どうすれば心臓(こころ)を目覚めさせられるのか?」
肉機械である人間の胸に、氷のハンマーを容赦なく殴打する。そして「応えよ!」と叫びながら、真実の名を求める。そして、肉機械を生きた者へと目覚めさせる。
そして目覚めた者たちが、お互い心臓(こころ)で語り合う。心臓(こころ)で語り合ったものたちは、遂に溶け合って涅槃に入り、一気にやさしい光に。
戦争・虐殺・謀略の渦と、心臓(こころ)に宿る「原初の光」という言葉の対称性が絶妙だった。
ロシアを少し理解できたような気がするが、結局今の世界を観た気がする。
そんな、映画のスクリーンが生き生きと展開される一冊だった!!
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