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KAMIKAZE
閉塞感の漂う現代、全てのものをなぎ倒す神風が吹いてくれないか。
そんなことを思いながら、昔聞いたフラワー・トラベリン・バンドFlower Travellin’ Bandの「KAMIKAZE」を口ずさむ。「♪KAMIKAZE blew them down」
フラワー・トラベリン・バンドは「SATORI」が知られている。
内田裕也がプロデュースし、「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね」の台詞が流行語になった映画「人間の証明」のテーマソングを「♪Mama, Do you rememmber」と歌っていたジョー山中がボーカルをしていたバンドだ。インドの楽器シタールを使ったりして、日本より海外で有名になった。ジョーも2011年に肺がんで亡くなった。遠い昔。
内田裕也はロック歌手としてより、樹木希林のダンナさんとして有名だ。樹木希林は悠木千帆の名前の頃がなつかしい。二人とも亡くなった今は、本木雅弘の義父が肩書か。
かつて和製ロックでは、矢沢永吉が黒い革ジャンに包まれて、キャロルで歌っていた。「♪君はファンキー・モンキー・ベイビー」。キャロルの親衛隊のクールスでは舘ひろしがリーダーでバイクを走らせていた。クールスには岩城滉一もいた。ジャワカレーのコマーシャルをするずっとずっと前の話。遠い遠い昔の話。
死んだ子の年を数えても始まらない。コロナ禍の時間を悔やんでも始まらない。思い出も全て吹き飛ばしてしまいたい。
神風は、鎌倉時代に日本が元に攻められた時に吹いたという風。神風特攻隊を歌っているわけではない。自然現象が神風なのだ。
鎌倉時代に、モンゴル帝国の皇帝クビライ・カンは、黄金の国ジパングを攻撃した。しかも2回。元寇、蒙古襲来だ。モンゴル(蒙古)は、中国名で元という王朝として、大帝国を築いていた。弱小の島国日本が太刀打ちできるはずがない。時の幕府の執権は、北条時宗。歴史の時間の復習だ。
文永の役(1274年)が1回目。対馬が襲われ、壱岐が襲われ、たくさんの被害が出た。ところがそこで神風が吹き、元の軍勢は引き上げていった。というのが第1回の神風だが、実はこれは眉唾の話なのだ。
対馬襲来が10月5日、壱岐襲来が10月14日。戦闘があったのは10月20日。新暦の暦で見ると約1ヶ月遅れ、11月も終わりの頃の話だ。この頃、台風はまずない。
戦前の教科書には、「武士の奮戦により元軍を撃退した」と書かれていた。それが、第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)の国定教科書から、「大風」の記述が始まった(「台風」ではなく、「大風」)。神風特攻隊を暗示しているのか、弘安の役に合わせたのかわからないが、この記述は戦後も続いた。大風が吹いて元軍が引き上げたというのだ。
元王朝であろうがアメリカであろうが、日本は逆らってはいけない。相手がひるむのは自然現象だけ。日本人は反抗するな。そんな意図があるのかないのか。武士が、日本人が撃退したのではなく、自然現象が元を撤退させたとしている。
弘安の役(1281年)が2回目の蒙古襲来となる。この時は台風が吹いたという記録がある。神の思し召しである神風が吹いて、元軍は引き上げた。
台風が吹いたのは、7月30日の夜半。その前の、対馬侵攻が5月21日、壱岐侵攻が5月26日。かなりの時間の差がある。元軍は、慣れない土地で長く生活し、疫病も流行したらしい。引き上げたいと思っている時に神風が吹いたのではないだろうか。
いろいろな偶然が重なり、日本の国は侵略されることがなかった。
「日本の国」というのは日本全体のことで、対馬や壱岐の人々が悲惨な目にあったことを忘れてはならない。大変な目にあった記録も残っている。第二次世界大戦で沖縄では戦闘があり、たくさんの民間人が殺されたことを忘れてはならない(本州でも空襲で、老人も赤ん坊も、たくさんの民間人が殺された)。
歴史の上では神風が吹いたが、現実には神風なんて吹いてはくれない。
蒙古襲来のようにコロナが襲来したが、これは神風を待たなくても、人類だけで猛威を退けることができる。それが、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンスだ。現実にインフルエンザは極端に減った。
できたばかりの新型コロナはまだ勢いがあるが、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンスを徹底すれば防げる。
東京や大阪の大都会は、密が減らず、コロナも減らないが、感染者数の少ない県はどうだ。マスク、手洗い、ソーシャルディスタンスを徹底しているから感染が少ないというのも事実だ。そんなニュースは流れない。
コロナに関しては、神風を待たず、人の力で撃退したい。