サカナクション 暗闇 KURAYAMI という体験。
あいちトリエンナーレ2019、サカナクションが完全に真っ暗にした会場でコンサートをするという。それを聞いて、サカナクションは新譜が出たら聴くぐらいのライトユーザーの私ですが、行きたい!なんて思った。
そして思い出すのは、小沢健二2010年のコンサート「ひふみよ」で。一曲目の流星ビバップは、途中モノローグ「闇」をはさんで真っ暗な中歌われたこと。暗闇の中聞いた音楽を人は忘れない。
そんな体験ができるのでは?と思ったのだけど、結局チケットは失念して取れず、当日券出る!との話をTwitterで見て、あ、これだ!と8月8日お昼に愛知県芸術劇場に向かう。当日券発売1時間前に到着!けっこう行列が出来てたけど、なんとかB席は残ってた!5階席!
チケットも取れてふっと安心して周りを見ると、みんなちゃんと黒い格好してるじゃないか!私は小沢ボーダー(魔法的より)だ!物販で黒いTシャツ買おう!なんて思ったけど、みんな考えることは一緒?で先行発売で売り切れてた!だから白いTシャツを買いました。着替えはもちろんしてません。
そんな感じで始まった私の暗闇体験を。読書珈琲リチル(写真ね)で静かな雰囲気の中ゆっくりコーヒーを飲みながらしたためた乱文を。ライブレポではなく思い浮かんだ感情や感覚になってしまいましたが。
視覚が完全にシャットアウトされること。いつになっても目が慣れない感覚。目を開けているのかいないのか、それさえもわからなくなる。視覚がなくなることで、他の部分が敏感になる。聴覚だったり体感だったり、いろんな振動がおそろしく巡っていく。
なんどか眠くなることもある。だって暗闇だもの。だけど、その空白が居心地のいい感覚が私に何かを思い出させる。視覚がないからこそ頭に浮かぶ景色。雨の音で思い出すあの日の雨の二人。横浜で一人で濡れた夜。さかのぼって二人で濡れた夜。雨の中華街。そう神戸も雨だった。美術館をめぐって。なぎさちゃんの下での雨宿りとか。
海辺の砂の上を歩くように聞こえた音。浮かぶのは石巻の海。ボランティアのお昼休みに靴を脱いで足だけ浸かったあの海。震災から1年ちょっと、とってもキレイになった海。そして今私は。
不思議とそんなことたちを思い出していたんだ。暗闇の中で。
闇の中に映る映像たち。残像が残ってはまた浮かぶ、そんな感覚。もちろん音に合わせて変わっていく。・・・あ、茶柱レディーはどなた?(追記:闇茶の存在はまったく知らなかった。茶柱のときお茶の匂いしたかなぁ?鼻つまっていたのかしら?)
ふっとしたときに私がここにいないような感覚になる。空間の歪み。時間軸の歪み。眠たいようなまなこの奥に見えるのはなんだ?錯視のように凸凹が逆になった世界。広い会場がとても狭く見える世界。私と光だけをつなぐ細い道。
「闇よ 行くよ」で感じた宙を浮くような感覚。真っ暗闇だから感じられるこの感覚を忘れたくない。振動がやってくる。とぎすまされる。真っ暗闇のなか音が気持ちよかった。めちゃくちゃのっていたと思う。誰にも見えないし笑。5階にいるのに時折、右後方から流れる音とか、本当に音の洪水にまみれてというか、つつまれて。
最後サカナクションのみなさんはどこまで行ったんだろう。あまりにも舞台の奥まで行くから途中で映像に変わったのかと思ってしまった。その夜、偶然にも「大須モノコト」で出会った同じ公演を観た方によれば、普段荷物とか置いてるところまで開けてたんじゃないかってことらしい。
すごい体験だった!こんな不思議な体験はなかなかできるもんじゃない。隣りに座った神戸から来た男の子と「すごかった。」って言い合ったり。その子は私と違い、ちゃんとしたサカナクションファンでお話できて嬉しかった。サカナクションファンは優しいって言ってた。メンバーがファンにも良い影響を与えてて。いつかサカナクションの普段のライブにも行きたいな。音のこだわりがすごいって彼も言ってたし。
思い出したこと、アンケートが該当するところを破るという面白い感じだったのだけど、性別の欄が男性、女性に加え、その他もあったのがなんだか嬉しかった。
そもそも性別を問われることには何故か戸惑いを感じてしまうのだけど。