ウマ娘プリティーダービーはなぜ世界3位の売り上げを出すことができたのか
I なぜウマ娘プリティーダービは現在人気なのか
本稿では日本でのスマホゲームの人気やなぜスマホゲームに課金するのかということに注目し、ウマ娘プリティーが人気になった理由について議論したいと考える。スマホゲームの2021年4月の売上のランキングをSensor Towerといったサイトで確認してみる。ランキングを見て分かるようにApp StoreだけではなくGoogle Playも合わせたランキングでも世界でウマ娘プリティーダービーが3番目の売り上げを出していることがわかる。
II ウマ娘プリティーダービーとは
1 アニメ
2018年4月~6月にseason1、2021年1月~3月にseason2が放送された。アニメの内容は、ウマ娘が実際に存在する有馬記念などのレースに勝利するだけではなくレース後のウイニングライブのセンターに立つために日々努力するといったものになっている。また、ウマ娘は、実際に存在した、例えば、キタサンブラックなどの競馬の馬を少女化されただけではなく実際にあった過去のレースの順位やレース前の荒々しさ、レース内容まで忠実に再現されている。
2 ゲーム
ゲーム内容は、自分のお気に入りのウマ娘を育成する中でアニメの様に様々なレースを勝ち向くためだけでなくレースごとのウイニングライブといったイベントでセンターを務めることができるようになるために自分で育成をしていくいわばプロデューサのような体験ができるようになっている。また、育成は1回で終わりではなく何度でもやり直せる特徴がある。さらに、その育成が完了すればチームレース場といった全国規模のランキングや期間限定のレースに参加でき、その中で順位を競うといったことができる。このように競馬とアイドルをプロデュースしていく要素が、入ったゲームである。
III 日本でのスマホゲームの人気からの考察
内木、徐(2018)のスマートフォンゲームのランキングに見る文化的特性に関する考察によると2015年の日本では、モンスターストライクやパズル&ドラゴンズ、白猫プロジェクトが人気であり、これらのゲームは、対戦相手が基本的にコンピューターである。このことから日本では、他人とではなく自分のプレーによって作り出されるゲーム環境との対戦が中心となっているのが特徴であると述べられている。これを参考にすると、このウマ娘プリティーダービーも上記のように自らのプレーによってウマ娘を育成する中でスキルなどを調整することで、オリジナルのレースに勝てるウマ娘を自ら作り出せるプローデューサーのような体験ができるゲームであること。また、この論文の中で、ゲームのストーリーがアニメ化されることやアニメ作品を原作としてゲームが作成されたアニメとの関連性は、メディアミックスとして、特異な状況を作り出しており、アニメとの互恵関係があると述べられている。これらのことから、このウマ娘プリティーダービーもゲームが配信される前からアニメを放送していたことや漫画が出版されていたことからアニメや漫画でのファンを取り込んだこと。このように自分で調整できてかつアニメや漫画のファンを獲得していたことが人気になった要因であると考える。
Ⅳ 売り上げの要因となっているガチャの考察
西川友子、藤橋蒼衣(2021)の若い女性の電子コンテンツに対する認識の評価で、女子学生254人に課金経験があるのかをアンケートで聞いたところ、あると答えた学生は100人でないと答えた学生は154人であった。この100人の課金経験のある学生の課金をした理由の内訳として「好きなキャラクターを手に入れたかったから」が75.0%で、「ゲームの進行上、無課金ではクリアが難しい場面があったから」が10%、「その他」、「長時間遊びたかったから」、「暇つぶしのため」が残りの15.0%という結果であった。また、ソーシャルゲームの自身の課金行動に対する満足度は、「満足している」が83.0%で、「どちらでもない」が14%、「満足していない」が3.0%であった。さらに、今後のソーシャルゲームへの課金に対する意向は、「課金しようと思う」が77.0%で、「どちらともいえない」が14.0%、「課金しようと思わない」が9.0%であった。これを参考にするとウマ娘プリティーダービーにおいても1か月に2人の新キャラが追加されるので、この論文のように好きなキャラクターのために課金をしていることが考えられる。また、ゲームの進行上、無課金ではクリアが難しい場面も存在しているため、お気に入りのウマ娘の強化のためにサポートカードといったガチャで排出されるアイテムが必要となることがある。このように追加されたキャラクターを当てるためだけではなく既存のキャラクターを強化するために課金をしていることが考えられる。
Ⅴ ウマ娘のプロモーション戦略
このゲームは、YouTubeやTwitterなどでゲームのプロモーションを行われており、YouTubeでは「ぱかチューブ」という公式チャンネルが開設されている。このチャンネルではゲームやアニメなどの最新情報だけではなくキャラクターが出演する動画まで公開されている。Twitterでも同様にゲームやアニメなどの情報が発信されている。また、これらのCMの内容は他のゲームとは異なり、キャラクターを引き立てるようなCMになっている。これらは、アプリのインストールを促すだけではなくブランド愛着のようなものを高めていることが人気になった要因の一つであると考える。
Ⅵ 最後に
ウマ娘プリティーダービーが2021年4月に世界3位の売上を出すことができたのかを日本でのスマホゲームの人気やなぜスマホゲームに課金するのかということに注目し、分析をしてきた。日本においてはパズルなどの自分で状況を動かせるゲームが人気であることやアニメや漫画とのメディアミックスをすることによって互恵関係ができていたことが要因であること。また、ガチャにおいては、新しいキャラクターやウマ娘を育成する上で必要となるサポートカードの存在が売り上げを伸ばす要因になっていること。さらに、TwitterやYoutubeなどで他のゲームとは違ったCMでプロモーションを行ってきたこと。これらがウマ娘プリティーダービーの売上を世界3位にした要因であると考える。
参考文献
内木 哲 徐 博 スマートフォンゲームのランキングに見える 文化的特性に関する考察 2018年
西川友子、藤橋蒼衣 若い女性の電子コンテンツに対する認識の評価 2021年3月