リベンジの瞬間|ジュビロ磐田 5年に渡る川崎フロンターレへの挑戦
その日。
私は最終の新幹線に乗って帰宅するために、武蔵小杉駅を目指して早足で歩いていました。
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)では、試合終了後も勝利に沸くジュビロサポーターの歓喜の声とチャントが続きました。
多くの川崎フロンターレサポーターでごった返す駅までの道。
私は、意気揚々とその群衆をかき分け、歩き続けました。
2024年3月1日。
明治安田J1リーグ第2節「川崎フロンターレ vs ジュビロ磐田」
ジュビロ磐田は、前年天皇杯王者の川崎フロンターレと激突。5-4という壮絶な撃ち合いを制して辛勝。勝ち点3をもぎ取りました。
スタジアムから届くジュビロサポーターの歓喜のチャントを背中に受け、
私は嬉しくて叫びたい気持ちで一杯でした。恐らく笑みがこぼれていたと思います。
それは、私にとってリベンジであり悲願でした。
武蔵小杉駅へ向かう群衆をかきわけながら、その理由である5年前からの出来事を思い出していました。
5年前。
2019年6月30日 J1リーグ第17節。
私は、肩を落としてヤマハスタジアムを後にし、駐車場へ向かって歩いていました。
試合はまだ続いていたのですが、あまりの実力差に、これ以上ジュビロの戦いを観ていることができませんでした。
相手チームは、ジュビロ磐田を圧倒。
後半45分。知念慶選手がダメ押しの3点目のゴールを決めて0-3。ジュビロは1点も得点することができず、3点のビハインドで残り時間は僅かなアディショナルタイムを残すのみ。
バックスタンドに座っていた私は「渋滞になる前に帰ろう。」と思い、試合途中でしたが席を立ちました。
後にも先にも、私が試合途中に席を立ったのは、この試合のみでした。
駐車場に向かう私の背中から、不意に大歓声が聞こえてきました。
帰宅後に知りましたが、後半アディショナルタイムで上原力也が意地のゴールを決めた瞬間でした。しかし、時すでに遅く1-3でジュビロは完敗しました。
追い打ちをかけるように、試合終了後、名波浩監督は成績低迷の責任を取る形で辞任を発表。
ジュビロを圧倒したその相手チームこそ、鬼木達監督率いる川崎フロンターレでした。
その後、アウェイでの川崎との戦いとなった、2019年9月14日 J1リーグ第26節。
ジュビロのパスミスが響いて2失点。
一方で決定機はことごとく外し0-2で敗戦。
2019年のジュビロは川崎にダブルを食らいました。
更には、J1リーグ最下位でJ2に降格決定。
翌年に川崎フロンターレと対戦する機会は失われました。
・・・
次に川崎フロンターレとの対戦機会が巡って来たのは、ジュビロがJ1に復帰した2022年。
J2優勝という結果を引っ提げて、3年振りにJ1に帰還したジュビロ。
しかしジュビロがJ2にいた2年の間、J1で戦い続けたチームの強度と速さはジュビロを大きく上回っていました。
更に「勝ち切る」という勝負強さの面でも、J1での戦いでは物足りない状況でした。
ホームでの対戦となった2022年4月6日、J1リーグ第7節。
後半35分に大森晃太郎が先制ゴールを決めたものの、後半アディショナルタイムの49分に知念慶選手に同点ゴールを決められ、最後の最後で勝利を取り逃がしました。
この日同点ゴールを決めた知念慶選手は、私が途中で席を立った2019年6月のホームでの対戦でダメ押しの3点目のゴールを決めた因縁の相手。
この試合はDAZNで観戦していたのですが、PCの前でがっくりと肩を落としたのを今でも忘れられません。
アウェイでの対戦は2022年6月25日、J1リーグ第18節。
この試合もDAZNで観戦。
前節ホーム鳥栖戦に3-1で快勝したジュビロ。しかし鳥栖戦で2得点を挙げて勝利の立役者となったファビアンゴンザレスが謎のコンディション不良で戦線離脱。この時点で嫌な予感はしました。
前半は終始川崎が圧倒し1失点。
試合終了間際の後半45分に伊藤槙人が同点ゴールを決めるのが精一杯。何とかドロー決着。
川崎フロンターレとのリベンジの機会を得た2022年でしたが、いずれも勝ち切ることができず、ホーム&アウェイ共にドローに終わりました。
そして、この年2022年は、またもJ1リーグ最下位でJ2降格。2019年に続く屈辱の年となってしまいました。
圧倒的な力を見せつけられて敗戦した2019年。
リードしても逃げ切ることができず、追いついても追い越すことができない勝負弱さを露呈した2022年。
私が初めて川崎戦を観戦した2019年6月のホーム戦以降の4試合。ジュビロは川崎に勝つことができませんでした。
私にとって、三度目ならぬ、五度目の正直となったのが、今回の2024年3月1日の川崎との対戦でした。
壮絶な撃ち合いながらも、ようやく、本当にようやく川崎から勝利を掴んだジュビロ磐田。
スタジアムで勝利を見届けた私は、その日最終の新幹線に間に合いました。
帰りの新幹線の車中、
試合途中にヤマハスタジアムの席を立ち、肩を落として帰宅した屈辱の2019年6月の敗戦を思い出していました。
川崎へのリベンジを果たした喜びと共に、ようやくJ1リーグで戦うスタートライン立った気持ち。
そんな思いを抱いた等々力遠征でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。