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ベテラン達が見せ続けた背中 ー ジュビロ磐田 中央大学に敗戦 ー
「ボコボコでしたね。完敗ですね、本当に。チームとして戦えなかった。個人個人の温度差がちょっとあった。ただもっと出せる選手もいた。選手の中でも温度差があって、それがあったがゆえにチームがバラバラになるという局面が多かったという感じはする。」
ジュビロ磐田は2024年3月10日、大久保グラウンドにて中央大学と練習試合を行いました。
結果は0-3でジュビロの敗戦。
冒頭のコメントは、練習試合を終えたジュビロ磐田の横内昭展監督のコメントです。
この試合は事前抽選で一般公開されましたが、私は現地で観戦してません。結果のみ知りました。
SNSでは、現地で見学されたジュビサポさんのキビシーイ投稿が飛び交っていましたね。
中央大学との練習試合は、前日のJ1リーグ第3節柏戦のベンチ外メンバーが中心。次節リーグ以降でポジションを奪うために恰好のアピールの場のはずでした。
現地で観ていないため、試合内容について言及することはできません。
しかし、冒頭の横内監督のコメントを読む限りでは、主力メンバーを脅かすまでには至っていないようです。
敗戦したことは残念です。
ただ、0-3という結果自体に、あまり悲観はしませんでした。練習試合とは言え、大学生もJ1チームと戦うことに対し、並々ならぬ思いで臨んでくるでしょうから。
しかし、冒頭の横内監督のコメントがキツイ。
横内監督就任以降、公式戦・練習試合通して、ここまで苦言を呈したことは記憶にありません。たとえ敗戦であっても、次につながるコメントを出していました。
従い、今回は、よっぽど厳しい試合内容だったと推測します。
横内監督のコメントの中で、特に気になった言葉が、
温度差
チームがバラバラになったとまで言及しています。
なぜここまで選手間で差が生じてしまったのでしょうか?
今回練習試合に出場した石田雅俊のコメントにヒントがあると感じました。
(昨年まで韓国Kリーグで)試合に出られない期間はあまりなかった。3試合連続でベンチ外もあまり経験がない中で、メンタル的な影響があるのか、コンディションづくりが慣れていないのか。
ビルドアップでつっかかっていた。チームとして方向性を持たないと。自分はアピールしないといけない立場。練習試合に対する気持ちの持っていき方を考え直したい。
公式試合に出られず、練習試合にどうやってモチベーションを保つか。
特に、リーグは違えど、石田雅俊は昨年まで試合に出続けていた選手だったので、その環境からのギャップに明らかに戸惑いを感じています。
恐らく今回の練習試合では、選手間で練習試合に臨むモチベーションの差が顕著だったと推測します。
去年の3月にはこのような懸念は無かったように思いますが、大きな違いが一つだけあります。
それは、
去年の3月は、ルヴァンカップがあった。
昨年2023年のジュビロは、J2リーグだけでなく、ルヴァンカップも戦う超ハードな日程。しかし、横内監督はルヴァンカップをJ1チームと戦う好機と捉え、リーグ戦に出場していない選手をルヴァンカップに起用することで、選手補強できないチーム状況でしたが、実力の底上げを図りました。
ハードな日程だったとはいえ、J1チームに実力を見せつけることができるルヴァンカップは、選手達にとってモチベーションになっていたのでしょう。
昨年のジュビロは、3月8日にルヴァンカップグループステージ第1節で前年のJ1王者の横浜F・マリノスと対戦しています。
当時先発出場した鈴木海音は、試合後にこのようなコメントを残してます。
今日出たメンバーはリーグ戦にあまり絡めていないメンバーで、全員で「やってやろう」と試合前から言っていました。
やはり、モチベーションの高さがうかがえます。
試合終了後には平日のアウェイナイトゲームにもかかわらず集まってくれたジュビロサポーターがエールを送ってくれました。
キックオフから試合終了まで、ジュビロサポーターの力強い声援がチームに勢いを与えてくれました。
— ジュビロ磐田 (@Jubiloiwata_YFC) March 8, 2023
ゴール裏から聞こえた、一生懸命チャントを歌うお子さんの声にも勇気をいただきました。
次は3/11(土)大宮戦。
アウェイゲームが続きますが、この先も熱い応援をよろしくお願いいたします! pic.twitter.com/c0e7Wggrw9
しかし、今年はルヴァンカップのレギュレーションが大幅に変更。
昨年より日程は緩和されましたが、ルヴァンカップ初戦は4月17日アウェイ長崎戦。まだ約1か月ほど先です。
一方で横内監督は、昨年からのスタンスを絶対に崩しません。
個人、個人で戦わないといけないが、そのベースはチームという認識が薄れていた。連戦になればけが人、累積警告が出てくるが、週に1度のサイクルだと、普段の練習や練習試合が大事になる。
昨年から言っているが、(ポジションを)プレゼントしようと思っていない。成長は促したいし、してもらいたい。本人の「これを見てくれ」というものをみんな持っているが、それをピッチで表現できなければ僕は使うつもりもない。そこに僕は妥協しない。チャンスはそういうところにある。
この時期ルヴァンカップが無いのは、他のチームだって同じ。
それならば、練習試合にいかにモチベーションを高め、最高のパフォーマンスを見せることができるか?
そのヒントは、昨年までジュビロで戦ってくれたベテラン達の姿ではないでしょうか?
昨年、若手の模範であり続けた、遠藤保仁、八田直樹、大津祐樹、山本康裕といった多くのベテラン勢がジュビロを去りました。あれだけの輝かしい実績を残した遠藤保仁であっても、昨シーズン後半は出場機会を失いました。
しかし、それでも腐らず一切手を抜かない遠藤保仁の姿を横内監督はちゃんと見ていて、称賛していました。
遠藤保仁や八田直樹のように試合に出られなくても、次への試合のために一切抜かずに練習し続けたその背中。そんな姿勢が求められるのかもしれません。
2024年は、一気に若返ったジュビロ。
若返りは今後の飛躍のために必要であるし、非常に希望が持てます。
まだ3月。3試合終わっただけ。
早いうちにチームの課題が浮き彫りになったのはかえって良かったのかもしれません。
練習試合に出場した金子翔太は、悔しい思いを隠しませんでした。
公式戦から離れて悔しい思いもある。この状況をなんとか打破して、ポジションを奪い返さないといけない。
私は金子翔太に期待しているんです。
2021年夏。禁断の移籍と言われた清水エスパルスからの移籍。
ジュビロ移籍後、静岡ダービーでは一度も勝てず、エスパルスのサポーターからはブーイングを浴びせられました。
それでもジュビロに残り、戦い続け今年で4年目を迎えた金子翔太。
苦労を重ねた金子翔太には、もう一度J1の舞台で輝いて欲しい。
かつてのベテラン達が見せた姿勢をしっかり受け継ぐことができる選手の一人と信じてます。
金子翔太の復活に向け、私も背番号40のユニフォームを着てヤマハスタジアムで待ってます。
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中央大学に敗戦した控え選手達の奮起に期待しています。
主力選手を脅かさなければ、J1残留なんて夢のまた夢です。
昨年までジュビロを支え続けた遠藤保仁はじめベテラン達の姿に、そのヒントがあるのではないか?
そんな風に感じた中央大学との練習試合でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。