2023 J2 第30節「FC町田ゼルビア vs ジュビロ磐田」超主観的振り返り
野津田は一面のサックスブルー!
しかし町田の強度は磐田を上回った。
夕暮れの町田ギオンスタジアムのアウェイゴール裏は、一面のサックスブルーに染まりました。
試合中に響き渡るチャントは、明らかに町田サポーターを上回りました。
町田の選手を応援する花火や火柱の演出も素晴らしかったですが、ジュビロにとって今シーズンの大一番となる首位決戦に対し、アウェイの地でここまで集まるジュビロサポーターに感動しました。
2023年8月12日、J2第30節 ジュビロ磐田はアウェイでFC町田ゼルビアと対戦。首位決戦となった試合を現地で観戦してきました。
J2優勝を目指すには絶対に落とせなかった試合。
しかし、1-2でジュビロの敗戦。
猛暑の中で行われた試合を振り返ります。
前回対戦振り返り
町田との前回対戦は、4月12日 第9節ホームヤマハスタジアムでの対戦。
試合開始早々の11分で失点するという、ジュビロの嫌なパターンが露呈してしまいましたが、前半終了間際に金子翔太が同点弾。
後半に藤原優大選手が山田大記を押し倒し乱闘へ。藤原優大選手は退場となりましたが、その後は両軍得点することができずドロー。
乱闘の際、後藤啓介はブーイングの嵐だったジュビロのゴール裏サポーターをなだめていたシーンが印象的でした。
ドローとなった悔しい戦いの決着をつけたい。
あれから4か月。
ようやく迎えた夏の町田決戦となりました
スターティングメンバー
ジュビロ磐田
上原力也がメンバーから外れました。前節仙台戦で前半終了後にベンチに下がった力也ですが、横内監督は足を痛めたと発言していたのでその影響かもしれません。
ボランチにはドゥドゥが、左SHには古川陽介が入りました。
そして個人的には、大森晃太郎がリーグ戦メンバーに復帰したのが嬉しかったですね。7月5日ホーム金沢戦以来約1か月ぶりでした。その金沢戦では前半26分で足に違和感があるとのことで途中退場となったことから、心配でした。
そして、後藤啓介は7月23日アウェイ群馬戦以来3試合ぶりのメンバー復帰となりました。
FC町田ゼルビア(前回対戦との比較)
町田のスタメンも前回対戦時と比較しましょう。
町田は前回対戦以降で補強した選手の内、3人がスタメン入りしています。前回よりパワーアップしているんですよ。
注目は東京Vから移籍したバスケスバイロン選手。同カテゴリ且つ、同じ東京をホームとするチームから引き抜いたことで非常に話題になりました。
そして、藤尾翔太選手。前回はサブメンバーだったので、今夏の新加入選手ではないのですが、今回はスタメンとして最も光った選手でした。
ジュビロは選手補強できませんから、今回の町田戦に限らず、今後の対戦で間違いなくハンデになりますね。しかしこれを乗り越えなくてはいけないのです。
強度で勝てなかったジュビロ
昨年J1で戦ったジュビロは、「プレー強度が低い」というベースが足りない事が原因で、なかなか勝ち点を積み上げることができませんでした。
その象徴となのが、過去に私のnoteでも何度かとりあげたことがあるのですが、2022年4月2日、J1第6節アウェイ柏レイソル戦でした。
ボールを簡単に奪われる。奪い返すことができない。速攻でゴールに運ばれる。柏とのあまりの実力差に衝撃を受けました。
2023年、横内監督は「基盤づくり」を目標に積み上げてきました。その甲斐があって、プレー強度は上がり、簡単には強度や球際では負けないようになったと思います。
迎えた今回の町田戦。
残念ながら、町田はジュビロの強度を上回っていました。
この試合中、昨年のアウェイ柏戦が一瞬頭をよぎりました。
幾つかあるのですが、代表的だと感じたのは2つでした。
①鈴木雄斗 vs バスケスバイロン&藤尾翔太
32分、左サイドで奥山政幸選手がヘディングで前線に送ったボールが転々と鈴木雄斗の後ろへ。鈴木雄斗はマイボールにするため、触れずにゴールラインを超えるようにやや走る速度を落としながらボールの後を追いました。
そこへ背後から2人の選手が猛然とダッシュ。一人は藤尾翔太選手。もう一人は何と逆サイドからバスケスバイロン選手。あっという間に追いつき、鈴木雄斗をピッチ外に追い出し、ゴールラインぎりぎりでボールを奪ってみせたのです。
一瞬でジュビロのピンチに。
藤尾翔太選手は、狙いすましてクロスを上げますが、町田側のタイミングが合わず失点は免れました。
相手は2人がかりとは言え、鈴木雄斗が力負けしたのがかなりショッキングでした。
②藤尾翔太選手がPK奪取
42分、ボックス内でボールを受けた藤尾翔太選手。鈴木海音が抑え込もうとしますが、藤尾翔太選手は強引に前を向いて進もうとします。リカルドグラッサが加勢するタイミングも若干遅くなり、鈴木海音だけでは藤尾翔太選手を止められず、たまらず掴んで倒してしまうことに。
これでPKを取られてしまいました。
藤尾翔太選手の個の力が上回っていました。
日刊スポーツの記事によれば「試合で試してみようかなと思ったことをやってみたらうまくいった」ということから、とっさのプレーでは無かったことを語っています。
試合終了後の鈴木海音のコメントです。
鈴木海音が言うように、リカルドグラッサが藤尾翔太選手に対応できていませんでした。
「今までで一番悔しい経験」とまで言わしめたこのプレー。相手の藤尾翔太選手は鈴木海音と同世代で、共に今年のU-22日本代表として欧州遠征に参加しています。
同じパリ五輪代表という目標を持つ二人。その対決となったプレーだっただけに、悔しさが増したのかもしれません。
また、金子翔太も町田との強度差と危機感について言及しています。
11試合負け無しを続けてきた中でも「手ごたえが無い」と問題提起していた金子翔太。そして強度やビルドアップは町田が上だったことを認めました。
金子翔太自身も悔しいとは思いますし、聞いている私も悔しい。でも現状認識できていることは、対策もあると思います。そこに期待をしたいと思っています。
鈴木海音がエリキ選手を抑える
鈴木海音の名誉のために、ナイスプレーも挙げたいです。
3分、右サイド後方から鈴木準弥選手が大きく対角線状に左サイド前方のエリキ選手にボールを送ります。
エリキ選手は猛然とドリブル開始。鈴木雄斗がマークにつきますが、速いドリブルに追いつけません。ボックス内に入って来たエリキ選手。ゴールに走り込んで来た藤尾翔太選手に向けてクロスを上げる瞬間、猛然と走り込んでいた鈴木海音がブロック!ピンチを救いました。
この試合エリキ選手は最も警戒しなくてはならない選手でした。エリキ選手に最後まで仕事をさせなかった鈴木海音のナイスプレーでした。
ドゥドゥの惜しいミドル
0-1で前半を折り返したジュビロ。
ゴール裏からは早くも「反撃の歌」でジュビロの攻撃を鼓舞します。
46分、三浦龍輝が大きく前線に蹴り込んだボールに対し、ジャーメイン良が頭で受け、拾った金子翔太が後方にボールを送り、そこに走り込んだドゥドゥがミドルシュート!
って思わず叫んじゃったんですよ、私。
隣の人も叫んでました。私につられたかも(ごめんなさい)
残念ながら、わずかに枠を外してゴールならず。
この試合ドゥドゥは何度かミドルシュートを放ちますがいずれもあと僅かの所でゴールにはなりませんでした。
痛恨のPKで2失点目
52分、町田のロングフィードから藤尾翔太選手が裏を取りドリブルでボックス内へ運びます。
後方からはリカルドグラッサが追いかけますが、ボックス内で倒してしまいPKを奪われます。この試合藤尾翔太選手に2回もPKを奪われました。
藤尾翔太選手がPKを決めて2失点目。
私が2019年以降でジュビロの試合を観始めてからは、PKで2失点というのは記憶にありません。その点でも忘れがたい試合になってしまいました。
鹿沼直生の転倒はPKでは無い
76分、大森晃太郎がボックス付近の藤川虎太朗へパス。ワンタッチで走り込んで来た鹿沼直生にボールを渡します。鹿沼直生がドリブルでボックス内に入った時に倒れ込みました。
しかし、主審の笛は鳴りませんでした。
現地ではスタンドから「なんでPK取らないんだよ!」という声も出てました。私もその瞬間は「PKじゃないの?」という思いでした。
試合終了後、改めてDAZNを観ました。
疑う余地ないですね。さすが主審は良く見ていました。
DAZNではスロー映像もありましたが、町田の選手によって倒されたのではなく、鹿沼直生の自らの転倒によるものでした。
DAZN解説の清水範久さんも鹿沼直生がアピールしていなかった点を触れていましたが、本人も転倒させられたものでは無いと自覚していたのでしょう。
私もちょうどこの瞬間はカメラのシャッター切っていました。後から写真を見ると、やはり転倒させられたものでは無いことが判ります。
松原后が意地のゴール
その後もジュビロは得点することができず、後半アディショナルタイムは5分。スコアは0-2。さすがに逆転勝利は厳しいか・・・。しかし、意地で1点取って欲しい。
93分、三浦龍輝が前線に蹴り込んだボールを松原后が頭で受け、ボックス付近にいた後藤啓介がいったん頭でボールを上げ、更に落ちてきたところを相手選手と競りながらその長身を生かし、走り込んで来た松原后に向けてボールを落とす!これは本当にスーパープレーでした。
そこへ松原后がゴールへ蹴り込んでゴール!
まさに、ジュビロサポーター・選手の思いが乗ったゴールでした。
酷暑の試合。
熱中症にもなりかねない環境の中、多くのジュビロサポーターが野津田に集りました。その想いに応えるかのような意地のゴールでした。
試合終了後、松原后はジュビロサポーターに向けて想いを寄せてくれました。
次戦に向けて
試合終了のホイッスルが鳴り、ジュビロの敗戦が決まりました。
4月のホームヤマハスタジアムでの町田戦はドロー。乱闘もあっただけに、この8月の戦いで決着をつけたかったです。もちろんジュビロの勝利で。
この4か月間、ジュビロは連戦を重ねる中で成長してきました。
しかし町田はベースの強度を更に上げ、選手を補強し、ジュビロを上回る実力をつけていました。
完敗でした。
PKで2失点でしたが、それは、強度含む「ベース」で町田がジュビロを上回っていた結果によるものと気づきました。
野津田から帰るためのシャトルバスへの長蛇の列。悔しい思いを抱きながら、いつになったら乗車できるかわからない時間を過ごすのはしんどかったですね。
前を向く選手達
でも、敢えて言えば、相当に悔しい思いをした鈴木海音。前半に決定的なシュートチャンスを決め切れなかった古川陽介。このような若手選手が終盤戦を迎えるにあたり、厳しい試合を経験できたことは良かったのかもしれません。
いや、若手選手だけでは無く、チーム・サポーターにとっても現実を知ったという意味では良かったのではないでしょうか。
J2優勝に対してハードルは非常に高くなったのは事実です。でもまだ何も決まっていないのです。
選手達は前を向いています。
■ 松原后
■ 藤川虎太朗
■ 後藤啓介
ここから更に強度を含むベースを上げていかねばならないという現実。しかし、その先のJ1優勝を目指すのなら避けて通れない。戦う選手達を応援したいと思います。
目指せ「最終節で勝ち点80」
昇格ラインを「最終節で勝ち点80」とした場合のジュビロ磐田の現在地です。
第30節終えて昇格ラインに対し勝ち点差3.1に後退しました。
直近の甲府、千葉、秋田に勝つことで最短で昇格ラインに乗ります。今節の町田に勝てばようやく昇格ラインに乗る所だったのですが、1敗してしまうと昇格ラインから大きく離れますね。
改めて数字で見ると昇格は厳しい道のりであることが判ります。
次節は8月19日、アウェイでヴァンフォーレ甲府と対戦します。ホーム甲府戦もドロー決着でした。今度こそ勝って決着をつけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れる事を願って。