卒塾


今日で3人の生徒が卒塾する。
今は最後の授業を控えて、カフェで彼らへの手紙を書いている。

手紙を渡すかどうかはかなり悩んだ。
私の愛が重すぎるから引かれてしまいそうで…

それでも、私は書かずに居られなかった。


塾講師のアルバイトを始めたのは、とても合理的な理由からである。

新型コロナウィルスの蔓延と共に始まったキャンパスライフ。お金を稼ぎたいが、飲食店ではご時世と給料が連動しそうで不安定だろうと考えた。しかし!教育は絶対に止まらない。

ということで、安定を求めて塾講師の道を選んだ。


そして、塾講師になりもうすぐ二年が経とうとしている。
給料は安定していたものの、自身が通塾経験が無い上に高三生ばかり持たされるので心身ともに結構重労働だった。完全にやりがい搾取。クソです。


それでも、やはり生徒は可愛い。


クソだクソだと思う中でも、生徒と一緒に勉強をする時間は、本当に楽しかった。


子供があまり得意ではなかった私(マジでなんで塾講師選んだ)だが、小学生から高校生までまるっと大好きになってしまった。


特に自分が毎週担当する、所謂レギュラー生徒は一段と可愛かった。本当に可愛い。何してても正直許したかった。
高三生が多いと前述したが、2021年は最高で7人の高三生を持っていて本当に本当におかしかった。そんな先生おらん。死ぬかと思った。それでも頑張れたのは、彼ら彼女らが本当に本当に可愛かったからだった。



そんな彼らは見事に合格を次々と掴み取る。とても喜ばしいことで、しかし同時に塾は用済みになってゆく。



それでいいのである。


私は、彼らの何者でもないのだから。
そのまま私のことも塾のことも忘れてしまっても良いと、心から思う。



彼らが合格したのも、不合格になろうとも、究極的には彼ら自身の力だけが関与していることである。
私は、彼らの力が伸びるところを垣間見させてもらっただけである。



塾講師としての私は、それで良いのだ。



でも、私は、

毎日講習に来て勉強している姿を応援したい私で、

勉強のし過ぎで疲れてないか心配したい私で、

何かあれば頼って欲しいとそばにいたかった私で、

彼らの将来が素晴らしいことになることをそっと祈っていたい、

そんな私なのだ。



たった1枚の手紙で何かを伝えられるとは思っていないけれど、私は君をずっと想っていたしこれからも想っていくということを、少しでも気づいて貰えたらいいなと思う。


卒塾おめでとう。
こんな私に授業を持たせてくれて、ありがとう。


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