同人ゲームの値付けの話
ボードゲームでもマーダーミステリーでも良いのですが、今日は「売る時の値付けの話」を少しだけ。
ショップもやっているので、ちょこちょこと同人ゲーム(あるいはスモールパブリッシャ―のゲーム)の委託や卸売の話が来るのですが、メチャクチャ困ることがひとつあります。それは……
『販売チャネル(場所)によって販売価格がまちまち』
これです。
どういうことかと言えば、たとえば同人ボードゲーム。
イベント後など、イエローサブマリンさんへの委託が結構多いかと思いますが、イエサブさんで2500円で販売されていたとします。
一方で、最近では作者の方がBoothで直売していることも多く、その直売Boothでは2000円で販売。Amazonについては3000円……など、転売などではなく、正規(?)に卸しているにも関わらず、価格にばらつきがあることが結構多いです。こと同人だと本当に多いです。
気持ちはわかります。大体は、Boothでの販売が安く設定されていて、恐らく直販なら安くしても利益が取れるからでしょう。安い方が恐らく売れますしね。
そう、「安い方が売れる」のです。故に、店舗の価格を高く設定されるのであれば、取り扱いは難しいです。だって「高いと売れない」のですから。
ゲームの価格の決め方
オススメというか、個人的には必須事項かと思うのですが、まず考えるべきことは「ゲーム制作のスタンス」です。
完全に趣味でゲームを制作し、Boothやイベントでのみ販売するつもりなら、価格設定はいくらでも良いと思いますし、ぶっちゃけ何も考えなくても良いと思います。
一方で、イベント販売後、どこかしらの店舗に取り扱いをして欲しいと思っているなら、そのつもりで制作し、販売価格も決める必要があります。
ザックリ目安として言えば、「製造原価は販売価格の4割前後で考える」ここからスタートです。
ボードゲームについて、料率(卸売価格)は販売価格の6~7割程度に設定するのが一般的です。もちろん、この料率は自由に設定して構いません。「それ(料率)って仕入れる側が決めるのではないのですか?」なんて最近言われましたが、そんなことはありません。それは生殺与奪の権を相手に与えるようなものです。ただ、相場観はあります。それが「大体6~7割程度」というところです。75%ってものも少なくありません(ウチは基本70~75%です卸していますし、雑誌や書籍などは一般的に77%~80%くらいです)
相場に収まっていないと、仕入れて貰えないリスクはもちろんありますが、だからと言って、それを決めるのは販売元に他なりません。だからこそ、製造原価を考える必要があります。
具体的に、2000円で商品を売りたいなら、製造原価を800円程度(4割)に納めて、1400円前後(7割)で店舗へ卸すといった感じです。実際は製造後に
保管費や国内の輸送コストなどもあるので、このくらいの製造原価に抑えられれば、メーカーと販売店がそれぞれ3割くらい利益を得る形になります。
この辺を見据えて、統一した価格で提供できるように設定して欲しいのです。
イベントで2000円で売ってしまったけど、2000円で売っても利益が200円しか出ないから、店に1960円で卸して2800円で売って貰う。一方でBoothではイベント価格と同じ2000円で売る……みたいなことにならないように、店売りを考えるなら、前述したように製造原価から考えて、7割程度の料率に耐えられる価格設定をして欲しいと思います。
また、たまに「委託ならマイナスにならないんだから、高い値段でもいいでしょ」みたいなことを言われますが、委託だろうがなんだろうが、そこにモノがあれば、倉庫の場所や棚の場所を食います。その場所は家賃を払って使っている場所です。タダではありません。タダではない場所に、明らかに他所で廉価で売っている商品=売れる見込みの薄い商品を抱える道理はないわけです。
もう一度言いますが、あくまで趣味で直販しか考えていないならこんな面倒くさいことは考える必要はありません。
一方で、委託や卸売を考えるなら、今一度、「棚を使う」ということに思いを巡らせ、統一した(できる)適正な価格設定をお願いしたいと思います。
(できれば、作る前に相談いただくのがベストなんですけどね……大体、手遅れなタイミングでお話をいただくので……)