コンテンツとしての能動性のバランス
まずふわっとした話からですが、
もしかしたら、私の持っている「マーダーミステリー観」は既に古いのかもしれません……と前置いたうえで、それでも言わせてもらえば、他のコンテンツと比べたとき、私の感じた「マーダーミステリーの優位性」というものが確固としてあって、これにより、他のコンテンツで私自身「あまり好きになれなかった部分」が解消されていると感じられたため、マーダーミステリーを訴求していこうと思えた経緯があります。
故に、「マーダーミステリーの優位性」は大切にして行きたいのですが、なんというか、昨今の潮流は私が最初に感じたものがどんどん薄れていて、既存のコンテンツに寄って来てしまったなと感じるわけです。
要は「(私は)つまらない」のです。
「じゃあその優位性ってなんなのさ?」ってことで、今日はその話をしたいなと思っています。
ミディアムカジュアルなコミュニケーション
私の第一印象は「カジュアルなコミュニケーションゲームである」ということでした。しかし、カジュアルと言っても、例えばボードゲームの「ボブジテン」ほどのカジュアルさではなく、それなりに内容は濃く、その割にカジュアルにコミュニケーションが出来るように設計されれているという印象でした。一番感銘を受けたのはここです。
正直、私自身コミュニケ―ションゲームは苦手です
嫌いという訳ではないですが、過剰に能動性・積極性を求められるのがあまり好きではなくて、じゃあ不得意か?と言われればそういうわけでもなく、恐らく、人と話すこと自体は得意。ただ、会話を「積極的にしなければならない」という、ちょっとした脅迫観念を伴うところがあまり好きになれないといった感じでしょうか。空気の読み合いもあまり好きではないですし(ゲームであればそういう部分を廃して楽しみたい)故に、人狼とかTRPGとかには及び腰だったりします。
一方でマーダーミステリーは、明確な目標が設定されており、コミュニケーションも目標やカードなどで提供される情報に即して自然発生します。無理やり盛り上がらなくても良いのです。しかも、全員が敵か味方か分からない状態で共通の目的も用意されているため、喧々諤々とした議論になることもそうそう無いと思っています。(これはプレイヤーにも寄るかとは思います)
そういった点がマーダーミステリーが他のコンテンツより最も優れている点で、簡潔に言えば「能動性と受動性のバランスが良いコンテンツ」と言えると思います。楽しむために過剰な積極性は求められず、かといって全く消極的でも話は進まず、更に言えば、積極性を自然と引き出す仕掛けがされているコンテンツ。それがマーダーミステリーだと私は今でも信じています。
めんどうくさい「ハグル」
ただ、この組み立ては恐らくマーダーミステリーの根源的なものではありません。元々パーティーゲーム(ディナーゲーム)として始まったと言われているマーダーミステリーなので、根源は、もっと会話に寄ったロジカルでもシステマチックでも「ないもの」だったのだろうなと思います。
なので、多人数マーダーミステリーなど出てきていますが、それらは多分に漏れず原点回帰、コミュニケーションに比重が置かれた「積極性を最大限求められるもの」となっていて、それが悪いとは言わないまでも、そこから進化して、ロジカルに進化することで得られたマーダーミステリーの優位性を捨てるのは、いささか愚策だとも思うわけです。相反するものではなく、共存は出来ると思うので。
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マーダーミステリー白書
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