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僕の『ハイスコアガール』
『ハイスコアガール』という漫画があります。
2018年から2019年にかけてアニメ化もされました。
『ハイスコガール』は、20世紀・・・90年代のゲーム業界、特にアーケードゲームを下敷きにした青春物語です。
今でこそ、ゲームセンターに足を運ぶ女性は珍しくはありませんが、90年代前半に於いては、女性がゲームセンターに足を運ぶのは、かなり珍しいことでした。
ハイスコアガールには、そんな、90年代では珍しい、ゲームに魅了された2人の少女が登場します。
黒髪の少女は、大野晶さん。とてもかわいい。
金髪の少女が、日高小春さん。とてもかわいい。
真ん中は、主人公の矢口春雄です。とてもねたましい。
ハイスコアガールは、この2大ヒロインの「どちらがかわいいのか?」論争がしばし勃発します。
これは、あくまで私の場合ですが、私の「恋愛ダイアグラム」では「大野さん 2:8 日高さん」です。
ちょっとなにいってるかわからない人は、こちらをごらんください。
さて、ダイアグラムでの「2:8」はとんでも無い差です。
アーケードゲーム雑誌『ゲーメスト』に於いては、同等の知識と技術を持つプレイヤー同士が戦った場合「ほぼ詰み状態」という場合に限り、つけることが許された決定的な差です。
イメージできない方は、「その数のサイコロを持ってふり、出た目が多い方が勝ち」というゲームを遊んでいるとお考えください。
「2:8」は、ほぼ絶対に覆らない圧倒的なパワーバランスです。
ちなみに、劇中で語られる、矢口春雄の恋愛ダイアグラムは、「大野さん 8:2 日高さん」です。
これは、春雄が先に大野さんと出会ったために生じた差です。
春雄は、二人の女の子を天秤にかけるようなことは絶対にしない、最高に心がイケメンなヤツなのです。(ねたましいですが)
さて、繰り返しになりますが、私のダイアグラムは「大野さん 2:8日高さん」です。
何故このような決定的な差がついたのか?
理由はたったひとつ、日高さんのこのセリフに、心をわしずかみされたからです。
かわいい・・・スキ。
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さて、なぜ、私がこのセリフに轟沈したのか。
私は、この言葉とかなり近い言葉を、実際に言われたことがあるからです。
僕の『ハイスコアガール』。
さて、ここからは、私の思い出話です。
90年代前半、当時十代の私は、ある女の子が好きでした。
厳密には、私と、その女の子のことを、やたらとくっつけたがる周囲の謎のおせっかいに気圧されて、意識をし始めた女の子でした。
そんなある日、普段滅多に行かない街に、男女数人のグループで繰り出しました。
私は、その女の子と二人きりになりました。謎のおせっかいが、そう仕向けたのでしょう。絶好のチャンスをお膳立てされたのです。
しかし当時、重度のゲーム脳の私は、迷うことなくゲームセンターに向かいました。
私は、控えめに言って「アホ」だったのです。
しかしながら、そんなアホでも少しは考えます。
私はアホな頭で必死に考えて、このゲームを遊ぶことにしました。
このゲーム、タイトルが示すとおり、かなりの「迷作」です。
正式には血迷っています。
(理由は動画を一分ほど見るとお分かりいただけます)
ですが、かなり面白いゲームです。
1990代前期、ゲームセンターにはけっこうな数のクイズゲームがありました。
一度プレイすると最後まで完全クリアをしたくなる。1顧客あたりの支出金額(ARPPU)が高いことが大きな要因かと思われます。
そして、ボタンを押すだけの簡単操作は、ゲーセンで遊ぶ敷居を、ぐぐぐっと下げていました。
私はゲームセンターで、クイズゲームに興じるカップルをよく見かけていたのです。
そんなわけで、私はこのゲームを遊ぶ事を選び「お金は出すから。」と、二人同時プレイを勧めたのですが、その女の子はこう言いました。
「大丈夫。見ている方が好き。」
当時の私は、重度のゲーム脳でしたので、「ゲーム」の問題は難なく答えることができました。「雑学」や「歴史」も、案外イケました。
ですが、決定的に苦手なジャンルがありました。「芸能」と「アニメ」です。
重度のゲーム脳だった私は、芸能人やアニメにうつつを抜かすことは、かっこ悪いことだと、割と本気で思っていました。
私は、控えめに言って「アホ」だったのです。
さて、その女の子は事実、見ているだけだったのですが、実際には一緒にゲームをプレイしてくれました。
その女の子は、ゲームの「操作」はしていませんでしたが、私に「答え」を教えていたからです。
特に私が最も苦手とする「芸能」と「アニメ」の問題を、
『A!』
『B‼︎』
『D‼︎‼︎』
と、瞬時に答えてくれました。
私と女の子は、見事なチームワークでステージをクリアしていきました。トータルで1,000円もかかっていなかった。そんな記憶があります。
ですが、私は、
「クリアは絶対にできないだろうな・・・」
と思っていました。
なぜなら、このゲームの最終ステージは、60秒以内にノルマを達成しないと強制バッドエンドという、とんでも無いクソ仕様だったからです。
当時私は、他のゲーム脳の友達2人と、3人がかりでこのゲームに挑戦していました。ですが、必ず最終ステージで辛酸を舐めていました。我々ゲーム脳3人は、このゲームは、絶対にクリアできないゲームだと思っていました。
ですが、その日は、その時だけは、奇跡が起こりました。
・・・忘れもしません。
タイムオーバーまで残り1秒。
「C!」
と叫ぶ、彼女の言葉に素早く反応して
黄色いボタンを叩いたことを。
エンディング画面を見ながら、私は彼女と一緒にハイタッチをしました。
とても清々しい気分でした。
そして私は「彼女のことが好きなんだ。」と、ハッキリと理解できました。
一週間後、私は彼女に告白しました。彼女は、私の想いに、こう応えてくれました。
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「ごめん・・・友達としてしか見れない。」
私は、控えめに言って「アホ」だったのです。
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