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『マアジナル』→『アルカナシカ』


田口ランディさんの『マアジナル』を読んだのは、2014年3月――。
“あれから3年……”のムードが嫌で、見えない波動から身を守るために『本』の世界へとトリップすることにしていた私は、3月11日、図書館でこの本を手にしていた。

テレビから離れてしまえば、なんてことない平和な日常。
図書館は意外にも混んでいた。


――「3.11」ってなんだよ?
――「メモリアルデー」ってなんか変じゃない?

言葉にできないものを記号化したがる人たちは多い。
「同じ行動」「同じ感情」を強制したがる人たちは多い。


あの頃――あの“あれから3年……”の数日間をモヤモヤしっぱなしで過ごしていた私を、すっかりと救い上げてくれた『マアジナル』。


夢中で2日で読みきって、丸ごと洗い流されたようだった。

すごかった!!! 宇宙までトリップ!!!

これはもう、読んで体験してもらうしかない。



そして……『マアジナル』を読んだら
次に読もうと思っていたのだよ、『アルカナシカ』を。
(図書館で「タ」の棚を見るたび「無いなぁ~?」と思っていたら、
なるほど! ジャンルが違うのね、置いてある棚が。
検索して、「エッセイ」とか「旅行記」とかは別の棚なのだと知る。
どうりで好きな作家の棚に、本が少ないと思ったわけだよ……)





私は田口ランディさんの作品が好きだ。

彼女の視点、“立ち位置”みたいなものは
内容がどんなにオカルトっぽくとも常に“ニュートラル”で、
“わからないもの”は“わからないまま”に、
「押し付け」や「決め付け」が一切無く、とても心地いい。

読みはじめると、強い力でその世界に惹き込まれ、
視覚的イメージがどんどん広がる。
それなのに、なんというか……“とらわれる感覚”がないのだ。

頭はどんどんクリアに、心も自由なまま
作品の世界にディープに入り込める感じ。



その理由を、この『アルカナシカ』を読んだら
ちょっとわかった気がした。

ひとことで言うなら、彼女の作品には
“洗脳しよう”という意図がないのだ。
(世界は“見えない洗脳”で溢れかえっているからね!)

だから、どんなに非日常的な内容であっても
安心して読める。信頼して本の世界に飛び込める。

きっと彼女が「0(ゼロ)」の視点?をもっているからなのだろう。


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2011年に出版されたこの2冊は、同じテーマを扱いながら

『マアジナル』は「長編小説」、『アルカナシカ』は「ノンフィクション」と、まったく違うアプローチで同時期に書かれている。


失踪? 誘拐? 神隠し? UFO? ……と、『マアジナル』は
子どもの頃から「Xファイル」が大好きだった私には、もうたまらない!笑

それにランディさんの小説には
知っているはずなのに無意識だった「日本」という島国の特異さ、田舎に残る古い文化や風習みたいなものも書き込まれていて(それが奇妙さや怖さみたいなものを助長させるんだよねぇ ……。やっぱり今の自分は「日本人」なんだなって思わされる、体が知っている日本的な湿っぽい薄暗さ ……)
なんか“血がざわざわする”ような感じも味わえる。

今回の舞台は「能登」だったのだけど、
同じ日本海側のもっと北で生まれ育った私には
この田舎の閉鎖的世界観がよりリアルに感じられて、怖さ倍増だった。

だけど、その狭い世界から宇宙まで飛んじゃうんだから
「ランディさん、もうすごいところまでいってるんだな~」って本当に、驚きと感動。
「こうして文章にして届けてくれて、ありがとうございます!」なのだ。すごいんだ。



で、これを読んだら、ノンフィクションの『アルカナシカ』。

読むまでは、取材してきたUFO体験談をまとめたようなものだと思っていたけど、全然違った!

小説より難しく、だけどやっぱり面白いぃぃぃ。

特に「洗脳と脱洗脳」のところが興味深かった。
あらためて「自由に生きること」について考えさせられた。


“もっと自由に生きられるはず”って。

“もっと自由になりたい、なろう”って。


そのためのヒントが書かれているんだと思う。
今の私の読解力で、はたしてどこまで紐解けるのか……。


あと「冥王星」のことも、もっともっと知りたくなった。







と に か く 。

知らないことが多すぎる。


狭い枠の中、特定の人だけと向き合って、
いろんなことを知って“わかった=理解した”気になったり、
深く潜った気になったり、高く飛んだ気になったり、
自分をちょっと特別に感じたり、逆に消えたくなったり、
いろいろだけど、まだまだ知らないことがたくさんある。

こういう作品にふれると、そのことを思い出させてもらえる。


ユングの考えも、カントの考えも、啓蒙思想の影響も、
キリスト教も、仏教も、欧米の歴史も、日本の歴史も、
知らないことが多すぎる。


原子、素粒子、物質、情報、
見えないけれど、そこにあるもの。


知らないままでも別に生きていけるのに
もっと世界の神秘を知りたくなるのは、何故なんだろう――。





そんなことを感じさせてくれる『本』たちだ。




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“はじめまして”のnoteに綴っていたのは「消えない灯火と初夏の風が、私の持ち味、使える魔法のはずだから」という言葉だった。なんだ……私、ちゃんとわかっていたんじゃないか。ここからは完成した『本』を手に、約束の仲間たちに出会いに行きます♪ この地球で、素敵なこと。そして《循環》☆