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砂漠を横切るラクダのように【2-(2)】




 あの一日目の夜の本物の闇の深さを、ぞっとするようなあの黒さ・暗さを、私はもう思い浮かべることができない。……いや、おそらくは実際にもほとんど見ていることができなかったのではないだろうか。いつもは薄ぼんやりと明るい街の方角まで嘘みたいに真っ暗で、車道に出て「星がすっごい」とか言っている夫の横で、たぶん一緒に空を見上げながら、私の脳裏には何も……すでにキャパシティー・オーバーで何も、入ってこなかったのだと思う。……いや、むしろおかしなテンションで、ハイになって見上げていただろうか? ……思い出せない。とにかく、いろいろなことが思い出せない(余震が怖くて、その日は車で眠ったこと。その翌日も、ほとんど車の中で過ごしていたのではなかったか? 部屋に戻ったのは???)

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“はじめまして”のnoteに綴っていたのは「消えない灯火と初夏の風が、私の持ち味、使える魔法のはずだから」という言葉だった。なんだ……私、ちゃんとわかっていたんじゃないか。ここからは完成した『本』を手に、約束の仲間たちに出会いに行きます♪ この地球で、素敵なこと。そして《循環》☆