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【読書感想】小説落第忍者乱太郎ドクタケ忍者隊最強の軍師

あらすじ

 忍術学園一年は組教科担当担任の土井半助が行方不明になった。
 一部の学園関係者が捜索を行うなか、敵対するドクタケ城で戦の準備が進められているという情報が入る。
 土井先生がドクタケに攫われたかもしれないと考えた忍たまの六年生たちは土井先生奪還のためドクタケ城に潜入することに。しかしそこには天鬼と名乗る土井先生にそっくりな軍師がいた。
 土井先生は無事に忍術学園に戻ることができるのか……!?

感想

 現在公開中の映画「劇場版忍たま乱太郎 ドクタケ最強の軍師」を観て小説を購入しました。
 表紙に‘’復刻版‘’とあるように、過去に刊行された小説の再版です。
 実は発売当初から評判を聞いて気にはなっていたものの、タイミングを逃して購入しそびれていたものでした。
 気づいたときには絶版だったので古本に出会ったら手に入れようと思っていたところ映画化が発表され、まさかの復刻! このたび無事に読むことができました。
 作品に触れたのは映画の方が先だったので、少し記憶が混ざっているかもしれません。

 読後最初の感想は「これは人気にもなるわ」という納得の言葉でした。
 原作の「落第忍者乱太郎」はギャグ漫画として朝日小学生新聞で長年連載されていた作品です。アニメ「忍たま乱太郎」も忍たまたちの日常が30年以上放映され続けています。
 世間的に「忍たま」というと上記のような日常系ギャグ作品が想像されると思うのですが、ここ十数年は2.5次元ミュージカル化もされ、忍たま上級生をメインに据えて本格的なアクションやシリアスな展開が取り入れられています。
 あらすじを聞いたときからミュージカルのようなストーリーだと思っていましたが、それもそのはず、執筆者はミュージカル・忍たま乱太郎の脚本家を務めたこともある阪口和久さんだったのです。

 土井先生がこんなにも中心になった話は長い歴史のなかでも、おそらくこれが初めてなんじゃないでしょうか。
 「ドクタケ忍者隊最強の軍師」の小説と映画は土井先生が記憶喪失になってドクタケの軍師として忍術学園と敵対するという大枠は一緒ですが、記憶喪失になった要因や登場人物、ラストまでもが異なります。
 映画は万人が観やすく楽しめるようにチューニングされていて、小説は映像だけでは読み取るのが難しい細かい描写があると感じました。個人的には食堂のおばちゃんがいつでも何人いても人数ぴったりにご飯を作れる超人的な腕を持っているという描写が忘れられません。

 また、小説版は登場人物が少なく、忍具などの解説も載っているため、忍たまに関する知識がなくてもすんなり読めると思います。
 映画は映画でシリアスとギャグのバランスが絶妙なのでぜひ見比べていただきたいです。どっちが先でも両方楽しめると思います。


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