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Photo by
shinsukesugie
宝探しの旅【詩】
長くて広くてまっすぐで
見通しの良い一本道を
僕は今日も歩いてる
遥か遠くの山麓に
千両箱が眠っていると
むかしパパが云ったから
「本当なの?」と尋ねたら
「ああもちろん」と自信たっぷり
僕を膝上〈しつじょう〉に乗せた
いいかいパパも大昔
宝を探す旅に出たんだ
今の君の年齢に
パパのパパから渡された
山吹色の宝の地図を
持って家を飛び出した
長くて広くてまっ直ぐで
見通しの良い一本道を
山に向けて歩いたんだ
へぇーそんな過去あったんだ
一人で行くの怖くなかった?
こんな若い年齢で
ちょっぴり不安だったけど
信じることに決めてみたんだ
楽しそうと言う胸を
それに実際道路には
パパとよく似た地図を片手に
歩く人で溢れていて
同士に見えた彼たちに
「なんであなたはここにいるの?」と
聴いては聞き返される
親に言われて・何となく・
占い受けて・大金ほしい・
好きな人と居れるから
十人十色それぞれに
千差万別理由があって
人は「独り」だってこと
でも目指してる方向は
みんなと一緒そう思ったら
怖くなんて無かったよ
へぇーそうなんだ、で、パパは
歩き続けて最終的に
宝見つけたってこと?
目的の地に無事ついて
三日三晩は探し求めた
けれど何も見つからず
このまま家に引き返す
それはあまりに悲しくなって
穴を掘って埋めたんだ
当時の僕は何回も
「なに埋めたの?」と聞いてみたけど
口を開くことは無く
よっぽど豪華な代物が
眠っていると確信をした
そして、家を飛び出した
あの日からもう幾年も
長くて広い一本道を
ずっとずっと歩いてる
「あなたはなんで歩くの?」と
尋ねられたら答えはいつも
「分からない」に決めている
ホントはパパの勇敢で
格好よくて優しいとこに
憧れてたからだけど
それは言わずに僕だけの
大事な「宝物」として
胸に密かに置いておく
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