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時間切れ!倫理 170 自然科学

 16・17世紀くらいになると、ローマ=カトリック教会の束縛から脱して、自然観察や観測・実験によって、現代につながる自然科学が始まります。知っている名前ばかりだと思います。
 コペルニクス(1473生まれ)、ポーランド人。地動説提唱。ローマ=カトリック教会は、聖書の最初に、神が「大地あれ」と言って、この大地を創造したので、この大地こそが世界の中心で不動のもの、星々は地球の周りを回っているという天動説を、正しい考えとしていました。天動説は聖書の教えであり、これに異議を唱えれば、宗教裁判で火あぶり・死刑です。
 しかし、コペルニクスは様々に計算をしてみて、天動説よりも地動説の方が、うまく天体の運行を説明できると考えました。ただし、この考えを公にすれば、ヘタをすればローマ=カトリック教会によって処刑されるので、公にはしません。親しい友人には、手紙で自分の考えを伝えます。彼らは、コペルニクスの考えに賛同して、発表を勧めますが、コペルニクスは弾圧を恐れて最後まで発表しませんでした。彼の死後にようやく、その説が公になり、以後地動説が徐々に広まっていきます。

 ガリレイ(1564生まれ)はイタリア人。彼はコペルニクスと違って地動説を公に唱えました。時のローマ教皇が、個人的によく知っている人物だったので、見逃してもらえると思ったらしい。しかし、やはり、宗教裁判にかけられた。
 さすがに命は惜しいので、地動説を誤りだという書類にサインをした。サインをしながらブツブツ何か言っていて、それが「それでも地球は回っている」だったという。よくできた話なので、どこまで本当なのか分かりませんが。
 ガリレイは、地動説以外にも、落体の法則などを発見した。ピサの斜塔のてっぺんから、大きな鉄の玉と小さな鉄の玉を同時に落とした。それまでは重いものは早く落下し、軽いものはゆっくり落下すると考えられていたのですが、この実験によって重さには関係なく落下スピードは同じであることを証明した。それ以外に、現在でいえば加速度計測の実験もしていたようです。まだ加速度の概念はないのですけどね。

 ケプラー(1571生まれ)、ドイツ人。地動説を補強しました。実はコペルニクスやガリレイが地動説を唱えても、まだ信じない人が多くいました。彼らの数式によって地動説の論証は、確かに天動説よりも合理的に天体の運行を説明できるのですが、彼らの計算と実際の天体の運行にはずれが生じるので、やはり天動説の方が正しいのではないかという人々がいた。
 ケプラーは、コペルニクスやガリレオの計算の誤りを訂正し、計算と実際の運行を、ぴたりと一致させた。ガリレイたちは、何を間違えていたかというと、惑星の運動を真円と考えていたのです。ところが実際には、惑星は二つの焦点がある楕円軌道を描いていたのです。
 ケプラーは楕円軌道で計算して、実際の天体の運行と計算値をぴったりと合わせることに成功しました。地動説の決定打でした。

 ニュートン(1642生まれ)、イギリス人。主著『プリンキピア』。万有引力の発見。物が落ちる、その法則を発見した。我々は、物が落ちたからといって何も不思議だとは思わないのですが、不思議なことに、ヨーロッパ人たちは、この落ちるということの理屈を考えていたのです。
 どこまで本当かわからない話ですが、ニュートンが田舎に行き、リンゴの木の下で昼寝をしていた時、リンゴの実が落ちてきた。その瞬間に万有引力に思い至ったわけではない。次が大事です。
 「りんごが落ちてきたな」と思って木の上を見てみると、空には月が浮かんでいた。リンゴが落ちてくるのに、月は落ちてこない。なぜだ、と考えたらしい。
 なぜ、月は落ちてこないか。月は地球の周りをくるくると回っている。ボールに紐をつけてくるくる回して、手を離せば遠くに飛んでいくよね。月には紐がついていないのにくるくる回って飛んでいかない。それは重力という目に見えない紐で、月も引っ張られているからだ。だからくるくる回っている。それに対して、リンゴは、くるくる回っていないから、引っ張られて落ちてきたのだ。
 こうして、地球上のリンゴにも、天空に浮かぶ月にも同じ法則が貫いていることを発見した。だから、「万有」引力です。すべてのものに働く力なのです。
 彼は、これ以外にも様々な物理法則を見出しました。古典力学の完成者です。古典力学とは、ニュートン力学のことです。20世紀にアインシュタインが相対性理論を唱えるまでは、 ニュートンの力学が宇宙の全ての運動を説明する絶対の法則でした。

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