中国現地で食べたほうが旨いもの(1)
日本にも「小肥羊」など四川式の火鍋チェーンが進出しているが、潮州式鍋料理の定番「牛肉火鍋」のほうが好きだ。牛肉の美味しい食べ方をもっとも極めた中国料理のひとつだと思う。中国で地元飯というと、豪勢すぎたり大量だったり辛すぎたり脂っぽかったりで、心の準備が必要とされるたが、潮汕牛肉火鍋はまず外すことがなかった、あっさり牛骨出汁&塩味ベースのスープ。コスパも良く、注文も簡単。広東在住時の定番メニューの1つ。
「小肥羊」や「海底撈」など中国の火鍋レストランチェーンは日本に上陸済みで、残念ながら、香港株式市場上場前の打ち上げ花火的進出でもあった。
(ちなみに、元中国駐在員が、中国現地の日式カラオケで出会った小姐を、日本観光に呼んでご馳走する際に昔話に花を咲かせる御用達店でもあり、小姐にはかなり不評のスポットでもある。そしてすでに、「小肥羊」や「海底撈」は、中国現地では「なんだかんだで高くつく」ファミレスチェーンになっていて、ブームは過ぎ去っている)
しかしながら、本格的な「潮汕牛肉火鍋」は、まだ日本で遭遇していない。その原因のひとつ「牛肉」だろう。中国では在来品種を総称して「黄牛」と呼んでいて、そのほとんどが役肉兼用種で肉専用種ではないそう。
黄牛は日本でのメイン料理法のステーキや焼き肉に適していない。やはり現地の食材は現地ならではの料理法がいちばん合うのは、万国共通の理。ということで、潮州料理は広東料理の系統らしく、その鍋料理も細かく分けられた部位ごとの風味と食感を楽しむという、細かなこだわりが売り。
異なる食感に期待しながら、箸で肉を持ったまま、鍋に浸した網の上で、数回しゃぶしゃぶして食べる。
牛骨スープに入れる具は、嫩肉(やわらかい赤身)や牛肉丸(肉団子)、千层白肚(あっさりホルモン)、娃娃菜(小い白菜)や生菜(レタス)などが基本。このうち欠かせないのは牛肉丸(香港映画「食神」で肉団子が恐ろしい弾力で床に跳ねるアレ)。とくに広東の人には肉汁ほとばしる食感を重視する。牛肉丸の出来が店への評価を左右するといっても過言ではない。
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