アカデミックハラスメント:最近大学で起こったハラスメント事例
最近、アカデミアにおけるハラスメントについて話す機会がありました。大学等の高等教育機関で起きるハラスメントは、アカデミックハラスメント(アカハラ)と呼ばれます。その中身はパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなど様々ですが、会社で起きるハラスメントとやや異なるところは、学生が被害者となるケースがあることです。
ただ2023年10月現在、学生が被害者になるハラスメントについて、学生が通う大学に防止対策を義務付ける法律等はありません。本稿ではまず、最近起こった(公表されている)大学でのハラスメント事例をいくつか紹介します。
パワーハラスメント(パワハラ)
パワハラは、「職場において行われる(①)優越的な関係を背景とした言動であって、(②)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより(③)その雇用する労働者の就業環境が害されるもの」であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものが該当します。
山口大医学部でアカハラ、女性講師に労災認定 賠償求め大学を提訴
実は労災認定には、ハラスメントの深刻度だけでなく、組織側の対応が考慮されます。精神障害の労災認定基準の「業務による心理的負荷評価表」に「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」という項目が追加されたのは2020年6月のことですが、その際、心理的負荷が「強」である例として「心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合」が記載されました(2023年9月の認定基準改正により、現在の表記は「心理的負荷としては「中」程度の身体的攻撃、精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった場合」)。
山口大学医学部の事件もまさしく、発生したハラスメント自体の深刻度よりも、組織の対応の不適切さを認定理由としていることがわかります。特に、弁護士のコメントにもあるように、事実確認調査において行為者側に話を聞いていないのは適切な対応とは決して呼べません。事実確認調査においては、被害者、行為者、そして第三者それぞれから話を聞かないと、ハラスメントかどうかの認定が客観的にできないからです。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)
セクハラは、労働者の意に反する性的言動に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり(対価型セクハラ)、性的な言動により就業環境が害されること(環境型セクハラ)とされています。
恋愛感情のあるセクハラ行為を行った50歳代の男性教授に停職4月の懲戒処分
よろしければサポートよろしくお願いします!いただいたサポートは、書籍購入や日々の活動費にありがたく使わせて頂きます。