コンプレックスがひとつ減った
人生楽しんでいそうな充実感のある美眉毛。
私が心から憧れているんだけど、今の私は程遠い。
眉毛って左右対称ではじめて美しく見える。
眉頭から眉尻まで、ピッタリハンコを押したように左右同じ形をしていて、同じ位置にあるもの。それが眉毛。
私の眉は非対称で、眉頭の位置も形もちがえば、太さや長さもちがう。それを修正する器用さと研究熱心さもない。だけど、こんな厄介な眉を恨む気持ちだけは富士山よりも高く誇っている。
その不揃いの眉と一緒に生きて行くためには、どうしたらいいんだろう。
メイクに目覚めた短大生のときからの悩みだった。友だちはメキメキとメイクの技術を覚えていき、華々しいオトナの女性に変化していったのに。
私は、流行りの形をなんとなくマネっ子していただけで、当時のプリクラの写真は、眉毛だけ浮いてるみたいに見える。色も形も、私向きじゃなかった。
何度となく繰り返しやってくる“自分の眉毛イヤイヤ期”がまたやってきた。悩んでもいい案が浮かばない。
とりあえず、眉毛がまだらになっているところだけ、眉ペンでなぞってみた。え?いいじゃん。これだけでおかしくないかも。
試しに妹に事情を説明して新体制の眉を判定してもらった。
すると、
「いいよ。いつもの主張の強すぎる眉より顔になじんでる」って。
やった。うれしい。この眉が正解だったのかも。
っていうか、やっぱりいつもの眉は変だったんだ。自分ほど自分のことをわからないっていうけど、本当に気が付かなかった。
左右対称にしよう、同じ太さにせねばっと思い込んでいた自分とあと腐れなくサヨナラしたおかげで、左右非対称だけど顔になじんだ眉を手に入れることができた。これが引き算の眉メイクなのかもしれない。
こうでなきゃいけないって思っていたから、解決までたどり着けなかった。正解は”こうでなきゃ”の外側にあるものだからね。
出来心とか、やってみようって枠からはみ出してチャレンジしたところにフッと現れるものだとわかった。そんな隠れなくてもいいんだけど。
自然な眉を作り出せることを編み出せたから、メイクが楽しくなった。近所のコンビニに行くのに、眉ペンでササっと整える自分の姿、この前まで想像もできなかった。
40代になると、チャレンジって大げさなことしなくなったけど、こんなに身近にチャレンジがあって解決してうれしくなったの、本当に久しぶり。
気分がいいから、もったいなくて残してたハーゲンダッツ、食べちゃおう。