正体
今日は「正体」というテーマの文章を書きたいと思います。
今日は映画感謝DAYということで1,000円で映画を観ることができました。
映画が毎日1,000円で観れるなら、おそらく、週に2回は観に来ると思います。
いまは週1で劇場に来てます。
さて、今回は、藤井道人監督作品「正体」を鑑賞しました。
小説の映画化で、凶悪な殺人犯が逮捕され、死刑宣告を受けたものの、脱獄し、日本各地を逃げ続ける男の話です。
なぜ、この男は脱獄をしたのか。
そして、なぜ逃げ続けたのか。
横浜流星が死刑囚の脱獄犯で、顔や髪型を変えながら逃走する男を演じています。
他には、吉岡里帆、山田孝之、松重豊、山田杏奈などがキャストとして脇を固めます。
久しぶりに、劇場で泣きました。
まず、脚本が素晴らしくて、主人公に感情移入したら、誰もが同情するでしょうし、警察やメディアに対する怒りや憤りが沸き起こり、そして、主人公を助けようとする仲間の行動に心が揺さぶられるかと思います。
さて、事件の内容としては、東京の東村山市で一家が何者かによって惨殺され、その容疑で鏑木慶一(横浜流星)は捕まります。
事件当時の鏑木慶一は高校生
この時、一家のなかで1人だけ生き残ったおばさんがいて、いまは施設で生きてます。
鏑木慶一は、ある目的のために脱獄し、建設業やフリーランスの物書き、そして、介護施設など職を転々としながら逃げてるんですが、その途中で出会う人達に対して、すごく優しいし、温かいし、そして、鏑木自身もそういった人からの愛に触れながら、逃走を続けます。
しかし、鏑木は、殺人犯とは思えない、心の優しい青年にしか見えません。
また、ある時、「鏑木事件」と同じような事件が発生し、すぐにその犯人は捕まったものの、これが「鏑木事件の模倣犯」と言えるほど、鏑木事件と事件の内容が酷似してて、この事件を機に、少しずつ鏑木事件の真相が明らかになります。
鏑木がなぜ脱獄し、逃げ続けたのか。
その理由が明らかになったとき、涙腺が崩壊しました。
終盤、おそらく、彼が警察官に放ったあれ以上の「言葉」はないと思います。
それほど、鏑木の言葉は重たく、真っ当で、正直で、そして、魂の叫びが聞こえてくるほどシンプルで美しかった。
担当した警察官の山田孝之もその言葉に心を突き動かされた。
あのシーンはグッときたなぁ。
逆説的ですが、あのシーンのために全ての演出があったと言っても過言ではないでしょう。
それほど、感動的だった。
それと、話は変わりますがSNSの力で真実を明らかにしようとするシーンが出てくるんですが、まさに現代社会でもこれと同じようなことが起こってて、それとリンクして、それがすごくリアリティーがあって良かった。
権力やマスメディアによって、真実が歪められることがあって、それに対抗するには、インターネットやSNSがもはや欠かせません。
リアル社会において、検察や警察の信頼が揺らぐ事件が後を経たないですが、この映画を観て思うのは、「事実をちゃんと伝える、訴え続けること」そして、人や社会を巻き込む、巻き続けることが大事だってことです。
人の心を動かさなきゃなにも始まりません。
それと、自分1人の力は小さくて脆いってことです。でも、仲間が増えていけば、それは大きなうねりとなり、力になるってことです。
とにもかくにも、今年ベスト3以内には入る作品でした。年末にこういう映画に出会えて良かった。