ピーター・リンチの株で勝つ―アマの知恵でプロを出し抜け – ピーター リンチ (著), ジョン ロスチャイルド (著)
米国の伝説の大投資家ピーターリンチの「株で勝つ」は何度読んでも勉強になる素晴らしい本です。その中で印象に残っている内容を備忘録も兼ねてご紹介します。
<カクテル・パーティー理論>
バブルとはこういうものだということをたとえ話で分かりやすく説明してくれているものです。なるほどなあ、と思ってしまいます。この理論でいくと今はバブルですね。
第1段階:過熱感全くなし
パーティーでは誰も株の話をしない。リンチが株式トレーダーであることにほとんど関心なし。株の話よりもバスケットボールや次の選挙、天候の話題が中心。
株価が低迷していて、相場がまだ若く誰も上がる期待を持っておらず、人々の関心を引いていない証拠。
第2段階:過熱感ほぼなし(第1段階より株式市場が15%ほど上昇)
株式トレーダーのリンチに対して、パーティーの出席者は「株式市場がどんなにリスキーか」等と話してくれるが、全体としては、まだ一般の関心は薄い。
第3段階:過熱感出始め(第1段階より株式市場が30%ほど上昇)
一晩中、人々は株式トレーダーのリンチの周りを離れない。興味津々、ひっきりなしにどの株を買うべきかと聞きたがる。パーティーの出席者の大半が株式に投資していて、自分の体験を披露する。
相場の上昇が過熱し始めている証拠。
第4段階:過熱感MAX(バブル)
株式トレーダーのリンチにどの株を買うべきかと教えたがる。数日後にそのお勧め株の株価を確認するとどの株も上昇している。
一般にバブルと言われる相場が下がるしかない状況。
<銘柄の6つのカテゴリー>
株価の動きは、会社の規模/収益構造によって異なりますが、それ以外にも「1.低成長株、2.優良株、3.急成長株、4.市況関連株、5.業績回復株、6.資産株」の6つのカテゴリーでも分類出来るそうです。
相場の短期的変動に惑わされないためのポイントはやはり、①成長が続くこと、②財務体質が良いこと、③収益性が高いことの見極めだと思います。
<事前調査なしの株購入>
ピーター・リンチは、事前調査なしで株を買うことを「調査なしの投資はカードを見ずにポーカーをするようなものだ」と言っています。トイレットペーパーの10円、20円の安売り情報については一生懸命情報収集し比較してから購入するのに、株式投資になると情報の宝庫である有価証券報告書に目を通すこともなく、いきなり大きな金額の株を買ってしまう人って多いようです。自分含め要注意ですね。
よく「仕事の成果の8割は、事前準備で決まる」と言われますが、株式投資で勝てるかどうかも同じだと思います。事前調査をしっかり行い、上記①~③のポイントをしっかりと見極め、購入するしないの判断をしていこうと思います。
<株の動きを説明するバカげた話(実際はそんなことはないのに、皆なんとなくそのように考えている話)>
1.もうこんなに下がったのだからこれより下がりようがない
原則として株価がどこまで下がるかということにルールなど一つもない。私もエムスリーの株価が下落していたので、これ以上下がらないと思ってナンピン買いし続けたら4回もナンピン買いしてしまったという苦い思い出があります。。。(最終的に結局損切りしました・・・)
2.株価が底値にきたら、それとわかるものだ
下落している株を底値で拾おうというのは、落ちてくるナイフを素手でつかむようなもの。ナイフが地面に突き刺さり、しばらく揺れ動いた後、しっかりと止まってからつかむのが正しいやり方である。
3.こんなに株価が上がってしまって、これ以上の上値などあるはずがない
最近の商社株ですね。。。
4.わずか三ドル。何を失うというのだろう。
100万円分の投資資金で、安い株を買っても高い株を買ってもどちらもゼロになってしまえば、全てを失うことに変わりはない。
5.結局、株価は戻る
ブログを始める前ですが、長期間あさひの株が塩漬けになったことがありました。。。結局、耐え切れず損切りしてしまいましたが、いまだに株価は戻っていません。もっと早く損切りして、貴重な資金と時間を有効活用すべきでした。
6.夜明け前はいつも一番暗い
ピーター・リンチ曰く、「”夜明け前はいつも一番くらい”というのはときには本当だろうが、その他のときには”真っ暗になる前がいつも一番暗い”」のだそうです。
7.10ドルに戻ったら売る
落ち込んだ株は、戻ったら売ろうと決めている線まで戻ることはない。あさひ株が塩漬けになった時は、まさにそうでした。
8.何を心配することがあろう。保守的な株はあまり値が動くことはないのに
私は買ったことありませんが、東北大震災前に東京電力の株を買っていた方や粉飾決算発覚前の東芝株を買っていた方は、まさかこんなことになるとは思っていなかったでしょう。
9.何かが起こるには、もう時間がたちすぎている
何か素晴らしいことが起こるのを待ちくたびれて、その株を手放した途端、翌日、その素晴らしいことが起こったりする。これは、結果的に株価が上昇すればいいけど、そのまま上がらずに塩漬けになって時間を無駄にするリスクもあるし、難しいですね。
10.得べかりし利益、なぜ買わなかったのだろう
誰かが利益を得たことを自分の損失と考えてはいけない。そういう考えだと、その機会損失を取り戻そうと、買うべきでない株を買って本当に損をすることになる。
11.これは逃してしまったが、次は捕まえよう
株価が上昇した株を持っていなかったからといって、何も損をしたわけではない。機会損失を取り戻そうと、株価が上昇した株の類似株を購入したりしないで(たいてい損する)、高くても本命のよい会社を買う方がよい。
12.株価は上がったのだから正しかった。下がってしまったから間違っていたのだろう。
デイトレーダーでもない限り、短期の株価の変動で騒ぎまくるのはナンセンスとのこと。
ちなみに、ピーター・リンチはこの本の中で、専門家の株価予想を信じるなと言っています。理由は単純明快「当たらないから」だそうです。これからも専門家の話は参考程度にしておいて、自分の頭で考え、仮説を立て、実行し、検証するというPDCAのサイクルを回していくことが重要だなと思います。
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