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【お店を作る②】初日にスタッフが辞めた
お店をやり出したら、初日の昼にスタッフが帰ってしまい、そのまま辞めてしまった話をしようと思う。
前回。
会社員の時、「奥さん、お店やんない?」と声をかけられてから1週間でお店を引き継ぐことを決め、2ヶ月で経営者になった話はこちらから。
↓
まずは、会社に退職願いを出してから経営の引き継ぎまでの間の話を書こう。
①何も引き継いでもらえなかった引き継ぎ
夫の会社の経営するその雑貨店。
そこのスタッフさんが1人だけ残ってくれるとなったので、私は結構安堵していた。
店長さんではないけれど、アルバイトとして何年も働いてきた彼女。
仕入れ先やお店の状況など、事細かく教えてもらおうと交流を深めるべく努力をしようとした。
退職願いは出したものの、私はまだ会社員で、2ヶ月はきっちり働かないといけない。
引き継ぎができるとしても、休みの日か、仕事が終わってからの夜くらいしかない。
時間がないなりに、彼女に連絡を取る。
が。
どうも引き継ぎに乗り気じゃないようだ。。。
仕入れ先もわからないと言われ、メールどころかファックスも自分では使えない(使わせてもらえない?)と言われ、顧客リストやそのほかの資料なども経営が変わるまでは見せられないと言われた。
絶望。
私は、引き継ぎを諦めた。
引き継ぎに乗り気じゃないってどういうことなんだろう?と思うけれど、理由はなんとなくわかっていた。
自分の大好きな、ずっと働いていたお店の経営者が変わってしまうこと。
店長さんもオーナーが決めた「突然の経営譲渡」に納得がいっていないこと。
大切にしていたお店が自分たちの意思とは裏腹に、勝手に人の手に渡ってしまう悲しみ、怒り、不安・・・。
きっといろんな気持ちが渦巻いていたのだと思う。
納得できないまま経営者が変わることに、正直丁寧に対応なんて確かにできないと思う。
私は経緯を知らなかったけど、もしかしたら何の説明もなしに「3月から店がなくなる」って言われてしまったのかもしれない。
そう思うと確かに心が痛んだ。
状況はわかった。
私は、引き継ぎはイメトレすることにした。(笑)
実際の引き継ぎは引き渡されてから彼女からじっくり聞こうというスタンスに変えた。
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②初めての展示会
とはいえ、経営を始めるまでの2ヶ月間ぼんやり過ごすわけにもいかず。
在庫は買い取ることになったものの、夫の会社としては新しい仕入れはもうしないはずだ。
なので、2ヶ月の間、商品の入荷がとまることになる。
となると、引き継いだ際に新しい商品が多少なりとも入っていけないといけない。
そのためには、すでに自分で発注し、仕入れを少しでもやっておかないといけないっぽい。
現在の仕入れ先は事前に引き継ぎさせてもらえないため(涙)、ギフトショーなどの展示会に行ってみることにした。
某ヴァンガードの店長である夫に色々教えてもらいながら。
展示会というものに初めて来て、そのメーカー数に圧倒され、お祭りのような勢いに楽しくなった。
お店やるのって面白いな〜と、はじめはちょっとまだひとごとだった私。
そんな中、夫は強引に「はい、ここで注文しなさい。」などとメーカーを割り振ってくる。
流石に何年も雑貨業界にいる夫なので、感覚は掴めているのだろう。
けれどこちとら全くメーカーさんもわからないし、正直いきなりたくさんの雑貨を見ても何が良くて、何が売れてて、自分でも好きかどうかすらわからない。
私が好き、とかで決めていいものなのか、なんか売れそう、みたいな感じで良いのかもわからない。
数も、1つで頼んでいいのか、同じものを20個とか頼むものなのか、、、
ちょっと注文するとすぐに数万、十数万円になる。
これって普通のことなの?
自分のお金を使って仕入れることの難しさに直面する。
とにかく仕入れの基準が一切ないのに、仕入れするなんて難しすぎる。
帽子を試着してみたり、かわいい雑貨を手にとってみるも、ずっと心ここにあらずな私。
夫は「仕入れないと」と急かしてくる。
私は何が何だかわからない。
初めての展示会は、謎の敗北感と不安でいっぱいになった。
そんなこんなで、引き継ぎもおろか、自分で注文もできず、経営譲渡の日は近づく。
③オープンまでの2日間
無事会社員としての仕事を2月28日に終えて、3月1日にお店を譲渡された。
結局、3月1日、2日だけお店を「臨時休業」としてもらい、3日から自分が経営者としてスタートすることにした。
1日。
スタッフは休みで、私と夫2人でお店の状況把握から始めた。
資料はどこにあるのか、バックヤードの状態は?、商品はどこにどんな在庫がどれくらいあるの・・・?
自分なりに掃除もして、とにかく「把握」することに努めた。
(引き継ぎはまだされていない)
2日。
スタッフが来てくれて、レジの打ち方や毎日やってる作業や接客のスタイルなど、お店について色々と確認。
(しかしやっぱりここでも、仕入れ先や顧客情報などの重要な引き継ぎはなかった)
お客様は経営者が変わることを知らない。
ただ臨時休業があっただけ、というだけにすぎない。
常連さんはきっといきなりスタッフが変わっていてびっくりするかもしれないけど、私はそれすら配慮する余裕はなかった。
お店をやるぞ!という楽しい気持ちと、自分なりに今あるこの場所をきちんと自分のものにしなくては!という気概だけがあった。
雑貨業界にいる夫と残ってくれたスタッフがいる。
どうにかなるだろうという気持ちと、少しずつスタッフちゃんに教えてもらいながら、自分は新人の気持ちで丁寧に覚えていこうという思いだった。
3日。
とうとう自分のお店としてオープンする日。
初めての場所で初めてのレジ、接客、緊張。
会社員としてお店に入って接客していた頃とは、意識が違う。
全て、「私のお客様」という感覚があった。
来てくれる人全員を大切にしよう!と思った。
わからないことは正直に認めて、常連さん風な人には「新人ですがよろしくお願いします」みたいに少しずつお店に馴染んで、お客様から学んでいこうという姿勢だった。
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④スタッフが初日の途中で帰ってしまった
自分としては控えめに、かつ、きちんとしなくてはという責任感でスタートした初日。
だけど、やっぱりどうしてもスタッフちゃんがそっけない。
冷たい、というよりは、心ここにあらず、という感じで心配だった。
お昼ご飯を交代で食べた後、スタッフからおもむろに告げられた。
「やっぱり私、続けるの難しいです。」
青天の霹靂。
嫌な予感はしていたものの、初日にいきなり告げられるとは・・・。
(はーーーー?!?!えーーーー?!?!なん、なんなん、、、?!?!)
という気持ちをおさえつつ、
「そうか、、、、なんか色々ごめんなさい、、、やりづらいことあった?なるべく変えていくから教えてね。」
なんて、急に経営者ぶって言ってみたものの彼女はもう話そうとしない。
「経営が変わって今までと違うのがやっぱり無理で・・・辞めたいです。。」
みたいな感じだったと思う。
私はなぜか自分が悪いわけではないはずなのになんとなく謝るしかなく。
「ごめんなさい。。。そっか、、、仕方ないね、、、、今日はどうしますか、、、?」
「もし良ければ帰ります。。。」
「。。。。わかりました。。。。今までありがとうね、ごめんね。。。」
みたいな感じで、あっけなく彼女は帰り、そのまま辞めることになった。
そして私は初日の昼から一人ぼっちになった。
びっくりして、何も気の利いたことも言えなかった。
てゆうか、え、辞めるんや、、、ってぼんやりしてしまった。
とにかく私はひとりになってしまった。
なんだか急に悲しくなってきて、不安になって、レジの片隅のお客様から見えないところで体操座りして泣いた。
何がダメだったんだろうか。。。
という自分を反省して振り返る気持ちと、
引き継ぎもしてもらえないしずっとそっけないし、はじめから嫌だったんだろうな。。。
という諦めの気持ちと、ないまぜになっていた。
その時は、なんで・・・って気持ちしか持てなかったけど、「彼女としてはきっと、努力してくれていたんだろうな」と、後からは思えるようになった。
大切なお店を経営者が変わっても続けていきたい。
どうにかうまくやれたらいいな、なんて思ってくれてたのかもしれない。
私は自分のことに必死で、彼女を思いやる余裕なんてなかった。
きっと、その気持ちの不一致が遠ざけてしまったんだろうな、と思った。
ひとりぼっちで体操座りして泣いてても、お客様はやってくる。
私は何事もなかったかのように、閉店までやり過ごし、帰り道に夫に泣きついた。
お客様が来てくれるというのはありがたいことだ。
現実に引き戻してくれる。
私は、すごくやる気を失っていたけれど、次の日にはすぐに
「スタッフ募集をしよう!新しいスタッフと新しいお店を作ろう!」
と決めて、張り紙を作った。
新しいスタッフはしばらくして決まった。
ネイルバッチバチのつけまバッチバチの、飲みすぎて酔いが抜け切れてない顔がむくんだ状態で面接をした子が、ダントツ1位だった話はまた。
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<オープンまでの流れ(詳細)>
2010年 1月初旬 退職願提出
2010年 2月 引き継ぎなし、展示会に行って発注(あまりできず)
2010年 2月28日 退社日
2010年 3月1日 経営譲渡・臨時休業( 夫と準備)
2010年 3月2日 臨時休業(スタッフと準備)
2010年 3月3日 オープン(スタッフがお昼に帰る→そのまま辞める)
2010年 3月4日 スタッフ募集開始
続きはこちら。
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