さよならピアス
洗濯物を干そうと窓を開けると、梅の花の香りが薫ってくる。
気付くと満開になっていた。
休職になって、家から出たくなくて
考え方が投げやりになって
昨日まで腐っていた。
仕事をしていないと廃人にななってしまう。
今朝、子どもたちを送り出してから二度寝しようと目論んでいたが、長男から
「ほら、ちゃんと午前中に散歩行ってよね」
「昼に人と会う用事あるからいいでしょ」
「外出と散歩は違うの！」
「うつだから外に出たくないんだよ」
「だってママ、廃人になっちゃうよ！お日さまの光浴びるとうつ病改善されるんだって」
「分かりました…散歩いきます」
よく眠れてなかったので本当に行く気がなかったが、近所に売ってある長男の大好きな白いイチゴを無人販売機に買いに行くミッションに変えて、なんとか少し歩く。
昨日は洗濯物と掃き掃除は必ずやるんだよと学校行く前にママに言って、ママは帰ってきた長男に「洗濯物と掃き掃除はやりました！あとは何もしないで寝てました」と報告。
ママは長男の言うことを聞いて
なんとか毎日過ごすことにした。
朝、子どもたちを送り出して
散歩
掃除
洗濯
ピラティス
大学の勉強
子どもたちが帰ってくるまでに課された長男作成「ママを廃人にしないための日常」
ちなみに散歩は朝夕２回行けと。
「1回で充分だと思います」
「夕方の散歩はママの好きな夕日を見るんだよ。朝は体のため、夕方は心のため」
よく考えられたプログラムである。
朝起きて、夜眠る。
規則正しい生活をする。
ここ一ヶ月の目標
開けた時から痛くて痛くて、
何ヶ月経っても痛かった軟骨ピアスを外した。
ぜったいに外したくなかったから
膿んでも痛くても外さなかった。
「ママ、庭の桜の花がきれいだよ」
三男が言う。
「梅っていうんだよ」
新しい生活をしていこうと思ったら、ずっと先の見えない苦しみがあったのに、気持ちが楽になった。
痛くて我慢してた気持ちも
捨てられたいい機会だと思って、
もう楽に光を見ていこうと思うよ。
さよなら今まで苦しかったもの
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