【書評】ブルーオーシャン戦略論文集を読んで
今回は、「ブルーオーシャン戦略論文集」です。
正直この本、これまで読んだ本の中でもめちゃくちゃ参考になる本でした。
ブルーオーシャン戦略ってよく聞く名前だけど具体的に何かと答えられる人は少ないのではないでしょうか?
この本を読むまでの僕にとってのブルーオーシャン戦略は「差別化して新市場を切り拓く」という内容だと考えていました。
しかし、読み終わった後のブルーオーシャン戦略は
「競争相手のいない市場を創造し、差別化と低コストを同時に追求することで競合を無力化する戦略」という戦略だと理解できました。
本当に今までは理解が浅かったし、知れば知るほど深い考え方だと思いました。
でも実際、どのようにその戦略を自分のビジネスに活かせるのかが一番大事ですよね。
ブルーオーシャン戦略にも普遍的に活用できるフレームワークがあります。
今回は、9つの中の僕が感じた最もためになる活用法を3つに絞ってそれぞれ考察していければと思います。
①成立条件
どのような時にブルーオーシャン戦略は成立するのか?
基本的な企業は、競合よりも優位に立つためライバルより安売りしたり、価値の多寡で正面競争を挑みます。
しかし、ブルーオーシャン戦略の立場は全く違う考え方をします。
例えば、業界に対する目線一つとっても業界のライバル企業を見るのではなく代替材や代替サービスに着目します。
まだメガネしか無かった頃のコンタクトレンズが挙げられます。
ここでいう従来のメガネ屋の戦い方はいかに低価で売るか、デザイン性のあるものを作るかという正面競争の考え方です。
しかし、補完材やサービスに目をつけるとメガネという物なしに目がよくなる方法を考えますよね。
だからこそコンタクトレンズという従来のメガネとは全く異なる機能性を補足する商品が生まれたんです。
他にも図を見るとわかります。
いかに既存の枠組みから脱するか?という視点を持って業界を俯瞰視することがブルーオーシャンを目指す上で大切だということが分かります。
①買い手の効用マップ
ブルーオーシャン戦略を成立させるためには、この買い手の効用マップが参考になります。
下の図をご覧ください。
縦には6つの効用を生み出すテコ(顧客の生産性、使いやすさ、便利さ、リスク、楽しさとイメージ、環境への配慮)
横には商品サイクルにおける6つの体験段階(購入、配達、使用、追加品の購入、メンテナンス、廃棄)
とセグメントがあります。
自社は、このセグメントのうち「どこに該当するのか?」を考えるとポジションを客観的に見つけられます。
例えば、スターバックスが成功したのもこの買い手の効用マップを「ずらした」ことが理由です。
ここで従来の喫茶店は、買い手の効用マップの「購入」と「顧客の生産性」に該当します。
しかし、スターバックスが目指したのは「購入」と「楽しさとイメージ」の欄です。
あくまで生産性という機能でなく、高級感やサードプレースという生活の楽しさを引き上げる価値を追求したので圧倒的成長を遂げることが出来たのがわかります。
③価値曲線を理解する
1985年にフランスのアコール社が「フォルミュール1」というホテルブランドを作りました。
当時、フランスの格安ホテル業界は低料金で粗末なベッドの客室か、少しお金を払ってベッドの質が良い客室かという二つの選択肢が常識でした。
低料金ホテルの主要顧客は、出張中のサラリーマンが大半です。
業界の常識で考えると、宿泊客にとっての価値は低料金か快眠性があるかというどちらかの価値しか存在しませんでした。
そりゃあそうでホテル経営していたら快適な寝具や施設を備えつつ、低料金にするなんてきついから無理という常識があったからです。
しかし、「フォルミュール1」は低料金と快眠性の両方を追求します。
なぜそれが可能だったのか?
「価値曲線」を重視したからです。
「価値曲線」とは、自社や競合がそれぞれの価値にどれだけ力を注いでいるのかを客観的に見れる曲線です。
下の図がわかりやすいので本から引っ張りました。
ここでわかるのは、通常のホテルが、それぞれの項目に価値を割り振っているのに対して、フォルミュール1の曲線は極端です。
食事施設、建築の美貌、ラウンジなどの機能を一切省いている、、(笑)
つまり、快眠性と低料金の両方を良いところ取り。
この業界では実は宿泊客にあたり必要とされていないレストランや建築美貌、ラウンジなどを取り払ったからこそできたんです。
これは本当に思い切った戦略だといえます。
良いところ取り「フォルミュール1」は爆発的にビジネスマンに支持され、既存の低料金ホテルは淘汰されていきました。
これがブルーオーシャン戦略の市場を創造した上で競合を無力化すると言われる所以です。
この価値曲線を描きやすくなる4つの質問が参考になるので貼っておきます。
何を取り除き、減らし、増やし、付け加えるのかというシンプルな質問に答えるだけでブルーオーシャンな価値曲線が成立させるという点が優れものです。
さいごに
いかがだったでしょうか?
ブルーオーシャン戦略は、情報が溢れすぎて一つの分野に敵が多くコモディティ化する現代だからこそ機能するビジネス戦略だと感じます。
僕としての気づきでブルーオーシャン戦略を実現するためには、まず既存業界の常識に凝り固まらないということが前提になると思います。
普通にホテル一つ考えてもやるべきことは多い訳でそのため集中力が分散されてなかなか戦略に立ち戻る機会も減ってしまう。
それが一般的な企業であるのは明白です。
このフレームワークで選択肢を減らすことで何に集中すべきかというのを明確にしてくれるというのもこの戦略の素晴らしい点なのかもしれません。
皆さんは何を加えて何を省きますか?
最後までご覧いただきありがとうございました!