4つの企業の活用事例から学ぶビジネスシーンで活用できるゲーミフィケーション について|「GAMIFY」書評
皆さん、こんにちは。
最近読んだ本で「GAMIFY」という本の内容が非常に良かったので紹介したいと思います。
GAMIFY ゲーミファイ―エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来 | ブライアン・バーク, 鈴木 素子 |本 | 通販 | Amazon
実は自分自身、結構な怠け者で運動や学習など習慣化するにあたりゲーミフィケーションチックなやり方を参考にした時期がありました。しかし、表面だけのものが多くあまり個人的に納得感がありませんでした。
しかし、この本を読んで私の中のゲームフィケーションの概念が変わりました。
学びが多かったので、シェアしたいと思い記事を書きました。
私も昔に「クラッシュバンディクー」というプレイステーションゲームにかなりハマりプレイ時間は何百時間を超えたか分かりません。ゲームって面白いですよね。敵を倒すとポイントが入って難関なステージをクリアすると達成感を味わいどんどん没入していく。本当によくできてます(笑)。
会社を経営している方や自分で事業を行っている方は、どうやったらゲームのようにユーザーや顧客が自社サービスに没入してもらえるようになるのか気になりませんか?
是非参考になれば幸いです。
ゲーミフィケーションとは
ゲーミフィケーションの意義は、前述のようにゲームによるプレイヤーを没入させる要素をヒントにプレイヤーを動機づけて目標達成させることにあります。
ゲームフィケーションはよくメディアやウェブの記事などで「仕事や学びをゲームのように楽しめるようにする」という概念で取り上げられているものの、これはハッキリ間違いだと著者は指摘しています。
著者はゲーミフィケーションを以下のように定義していました。
今回は、本書で紹介されている企業のゲーミフィケーション事例や私が個人的に調べて良かった事例を紹介していきます。
ゲーミフィケーションの企業活用事例
①ベイルスキーリゾート
ベイルスキーリゾートはゲームフィケーションの手法を取り入れたソリューションとして「epicMIX」というスマホアプリを展開しています。
これはリゾートの20万人以上のスキーヤーの動きを自動的に追跡するアプリでユーザーが何かを達成するたびに報酬として仮想バッジを獲得できます。
その数は600個以上にもなっており、エピックミックスを使えば、相手が実際に目の前にいなくても、友人やオリンピックの金メダリストとも競争ができるという優れものです。
Facebookとも連携しており、さまざまなバッジや競争で獲得したメダルや写真など、遠く離れた友人に見せることもできます。
ベイルリゾートではエピックミックスで滑走標高差を記録でき、目標を達成すればバッジで表彰されます。ランキング表もあり、友人や家族、そしてプロスキーヤーとも競争ができます。
このようにスキーをただのフィジカルだけではなくオンラインにより魅力的な体験に変えたことで2010年から2011年のスキーシーズンでは、スキー客の15%、約10万人がエピックミックスに登録しました。
その1年後、2011年から2012年にはさらに20万人以上が新規登録し、SNSで公開された写真の数は100万枚以上に上ります。
②NIKE+
Nike+はゲームフィケーションを主力商品に組み込んだ事例の中でも最先端だと言われています。
Nike+のユーザは世界に1,100万人以上おり、多くのアスリートを動機づける製品を次々に発表しています。
現在のNike+シリーズは大きく発展しており、ランニングの記録を取るiPhone用のアプリや動きを記録するセンサー付きのバスケットシューズ、自宅でトレーニングするためのXbox用のアプリ、Nike+ Kinect Trainingなどがあります。
また、FuelBandは加速度計で動きを記録し、様々なタイプの動きをNike Fuelポイントに換算します。Fuelポイントとは、運動量を表す共通単位で、これに換算すれば様々なタイプの活動の運動量を比較できます。
なんと発売開始の1年間でNike+ FuelBandのユーザは延べ4090億ポイントのFuelポイントを獲得したと公式も発表しています。
運動量で例えるとフルマラソン44,00万回完走する運動量に匹敵します。
ここからも人類のすさまじい運動量を作っていることがわかりますね。。。
③NTTデータ
著者はゲームフィケーションとSNSは象徴的な関係にあると述べています。
SNSは、自分が投稿した内容にどれくらい見られてどのような反応があるか分からないという不確実性に没入するというスロットマシンのゲーム要素が参考に作成されているのは有名な話です。
ゲームフィケーションを使えば、社内外でのコラボレーションのためにSNSの利用を促進することもできます。
NTTデータでも社内のソーシャルコラボレーション用プラットフォームの利用はあまりかんばしくありませんでした。
世界36カ国に6万人のスタッフを抱える同社で、国境にまたがるコラボレーションができれば計り知れないほどのビジネスチャンスを手にすることになります。
これを実現するために、NTTデータは社内SNS用プラットフォーム「ソーシャリー」を開発し、利用可能な状態にしました。
しかし、サービス開始3ヶ月後でもこのプラットフォームを利用していた従業員は250人しかいませんでした。
そこで、ソーシャリーへの参加を促進するためにゲームフィケーションを利用します。
ソーシャリーに参加した従業員には「カルマポイント」が付与され、獲得ポイント数がランキング表に記録されると、参加率は9%上昇し、数ヶ月のうちにユーザ数は4,500人を超え、アメリカ、カナダ、インドからの参加者によるコラボレーションも生まれました。
実際にカルマポイントが高まった従業員は役員と直々に話し、重要な仕事を任される機会を得ることになります。このようにコラボレーションだけでなく会社への帰属意識を上げているというのも優れたポイントであると個人的に思います。
④バークレイカードリング
他行クレジットカードの利率が平均15%の中、バークレーカードリングはゲーミフィケーションによって大きく差別化をしています。
2012年、全く新しいタイプのクレジットカード、バークレーカードリングは会員の声を取り入れるという意味でスタートしました。
それには次の3つの課題に対応する狙いがありました。
この3つの課題にバークレーカードはコミュニティを活用する従来にない方法で取り組みました。
その結果出来上がったのは非常にシンプルなクレジットカードで、ポイントを用いた金利クレジットカードや変動金利型ローンのお試し期間における低金利はなく、とにかくシンプルなので金利を8%と低く抑えています。
ひときわ目立つ違いは運営の透明性です。バークレーカードリングは独立した事業部として運営され、利益はコミュニティに分配される仕組みになっています。
その分配方法も、クレジット明細という形でコミュニティに還元するか、軽く積み立てておいて慈善事業に寄付するか、またこの2つを組み合わせるかをコミュニティが投票で決めます。収入、諸費用、利益等の詳しい情報をコミュニティに提供するのです。
利益が宣伝費や税金に使われたり、株主に還元されたりしていること、さらに利益の何割が会員に返金され、何割が自分たちでランド慈善事業に寄付されているのかということを、コミュニティで詳細に確認することが可能です。
金融という厳格な業界の中でもとても大胆な発想で大きく他社との差別化を図っている好例と言えます。
外的報酬と内的の大きな違い
著者は、ゲーミフィケーションの成功例と失敗例を区別する上で以下の二つについて述べています。
外的報酬とは、例えば営業マンがもらうインセンティブであったりクレジットカードでたまるようなマイルなど金銭的や定量化できる見返りを指します。
あくまでこれは特定の行動をするとポイントが金銭などに還元されるだけであってこれでは長期的にモチベーションが続かないとしています。
一方で内的動機は、体験の受け手が特定の行動に対して在りたい姿と結びついている状態です。
本当のゲーミフィケーションとは、「日々の仕事や日常に体験デザインをすることで内的動機を刺激してプレイヤーの行動を促すこと」こそがゲーミフィケーションの本質だと述べています。
私にとってこの本で一番学びになったのは、多くの企業がゲーミフィケーションを企業主体で捉えているということでした。
企業研修で例を挙げます。
私の身の回りでも社員教育を重点的に投資をしていて研修を受けることで社員に報酬を渡している企業の社長さんなどの話を耳にしますが、これではあまり効果が無いと言えます。
あくまで企業側が社員に対してこんな行動をとってほしいからと外的報酬をメインに研修を行うではなく、研修を受けるプレイヤーが自身の内的動機を培えるような体験デザインを作ることが求められるという事です。
前述のNTTデータのカルマポイントのようにSNSに参加し、特定のアクションをすることで出世に繋がったり、役員直下のプロジェクトに参加するチャンスが生まれる。それにより企業に対しての帰属意識が芽生える。
自身の成長に繋がるような内的動機を中心としたアプローチが真のゲーミフィケーションと言えるという事です。
つまり、その研修の受け手自身の体験デザインを中心に考え、プレイヤーを長期に渡って動機付け成長を促す仕組みこそが最も重要であると言えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
皆さんにとってゲーミフィケーションを日々の仕事や生活で使えるようなヒントがありましたら幸甚です。
この本を読む前に私が考えていたゲーミフィケーション像は、単にゲームのように進捗をスコア化したり、自分に対してご褒美を設定し、少しでも物事を続けられる仕組みを作る単にゲームの要素を取り入れるだけのものでした。
しかし、本当のゲーミフィケーションとは、「人を動機付けて、行動を起こさせ、スキルを習得させ、企業の、人の革新を促進すること」が目的として考えられています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。