生徒も!教師も!RWが育む「自分への期待」
RWとは、グローバル・ティーチャー賞に選ばれた、アメリカのナンシー・アトウェル氏の、読み書きに関する実践です。『イン・ザ・ミドル』という書籍によって日本に紹介されています。
2019年度のRWの実践についてGoogleドキュメントに書き溜めていたものをこちらで公開します。
アメリカとは1時間単位の設定時間も違う、日本の田舎のフツーの公立中学校にて、どのように取り組んだらよいのか、模索しています。
2019年度、中学3年生の国語科カリキュラムにRWを設定してみました。2期に分けて、1期につき13時間程度、年合計26~30時間を目途に4クラスに対して行います。前期末にRW1期を終了しました。RWの時間は、教科書教材を取り扱う時間をぎゅっと圧縮して生み出します。教科書教材「を」教えようとしなければ可能だと思います。
今回は、同じ学年を担当する同僚とRWに挑戦しました。以下は同僚の声です。
「RWは、とてもよくできた仕組みだと思った。自分は『イン・ザ・ミドル』を読んでいないが、日常の中で授業を見たり、RW実践経験者と一緒に授業をすることで、生徒がどんどん読めるようになり、書けるようになることが実感できた。一部の読みの困難な生徒について、初めてのことなのでお互いにうまくいくようにはできなかった。第2期への課題だ。また、授業の空気感は重要だ。図書館に自由に放牧するのではなく、目的意識を明確にして授業の見通しを生徒に示すことがRWのキモだと感じた。日常の授業で「教科書を」教えるのではなく、「教科書で」スキルや知識を扱うようにしておかないと、生徒が、このRWを理解出来ないと思った。今の2年生にはそうした取組がされていないので、来年度、RWは無理かもしれない。また、自分だけで実践する自信がない。私のような、ありきたりな教師をもっと使ってもらい、いろいろ実験してもらいたい。実験体になりたい。生徒への声かけや対応について、どうすればいいの?と思ったとき、kanakanazemiから『イン・ザ・ミドル』の一部を見せてもらった。言葉がけの内容まで公開しているナンシーさんに驚いた。」
同僚は、2期への課題を自分で発見しています。また、これまでの教科書「を」教える授業の問題にも気づき、体験的に学びたいと考えています。
生徒も同様の反応が多く見られました。1期終了後、Googleフォームを通して「1期の振り返りと2期への期待」のコメントを集めました。この振り返りには、第2期での「自分への期待」が多く綴られ、前向きな意欲とエネルギーを感じました。生徒のレジュメの厚さが日に日に増していくのが、私自身うれしかったし、生徒の自信につながると思いました。
習った知識やスキルを使う機会があり、それをやり直す機会もあることで、学びのサイクルが回るのだと実感しました。教科書を教える授業の意味のなさ、ドリル学習の意味のなさ、勉強嫌いを生産するシステムを変えて行くには、どうしたらいいのか、RWの実践を通して、その答えを得た思いがしました。
第2期は受験期に実施することになります。そのため、各自で自分のRWスケジュールを決めてもらおうかと思案中。RWの期間に、週1時間だけ「テストというジャンル」の学習を認めようと考えています。学びのハンドルを生徒の手に持たせることが2期の目標です。