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香箱ガニの外子の塩漬け&おまけ

香箱ガニの名前
香箱ガニの名前の由来は諸説あるらしい。「香箱ガニ 名前 由来」で検索すると、室生犀星に泉鏡花といった文豪の名前が挙がり、茶道具の「香箱」由来説やら方言の「こうばく(=かわいらしい)」由来説などなど。
地元の漁協の方にお聞きすると「自分が若かったころ(40年ぐらい前)まではみんな甲(こう)ガニと言っていたが、それではあまりにも名前にセンスがない。そこで伝票を切るときに”香箱ガニ”と切ってそれが広まった。自分が名付け親だと思っていたが泉鏡花が”香箱”と使っていたと分かって”明治の文豪と名前のセンスが一緒なんですね。”って感心されたわ。」とのことである。由来は案外一つではなく、複数がどれも本当の由来で結局このカニは「香箱ガニ」という名前に落ち着くのかもしれない。

子どものおやつ
今では高級品になってしまったが、昔は子供のおやつだった。各家庭で茹でてカゴに山積みになっているのを、子供が遊びにいくときに持って行って足を吸ったりして空腹を紛らわしたという。日本史の教科書に昭和初期の東北の大飢饉で子供が大根をそのままかじっている写真が載っていたが、ああいう感じで食べていたのだろう。

かないわ香箱
子どものころから金石のカニは底が粘土質にいるからウマいとか、エビを食べているからウマいとか教えられてきた。近場の前沖や”うしろがんば(後ろ岩場?)”と呼ばれる漁場でたくさん採れた。身がつまって甘いのが「かないわ香箱」の特徴だ。
金石はカニについては非常にうるさいところである。これについては後日また記すが、金石の風土と住人のキビシイ目によって「かないわ香箱」というひとつのブランドが生まれたと言っていいだろう。

銭丸(ぜにまる、ぜんまる)
香箱ガニの成長(卵の色)を示すと
銭丸(オレンジ)⇒赤子(赤)⇒香箱(ブドウ色)
となる。銭丸は値段も安く身もむしりやすいとあって日常的に親しまれたらしいが、現在は赤子とともに漁獲を禁止されている。

外子(卵)の塩漬け
子どものおやつぐらいにたくさん採れた時代に保存用に編み出されたレシピです。茹でて食べるよりも味の輪郭がはっきりして、食感もプチプチしている。シンプルな調理法ですがこういうのが一番美味しい。

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①香箱ガニの外子(卵)を生のまま取り外す。素手で取ってもいいし、割り箸でこそげとっても良い。
②瓶などに詰めて上から塩をする。最初は適当でOK、あまり強くしすぎない。冷蔵庫に入れる。
③1,2日置くと水が上がってくるので捨てる。この時塩味を見て、足りなければまた塩をして冷蔵庫に置く。
④これを2,3度繰り返して塩味がいい感じになってきたら完成。

外子塩漬け




さて、この時外子以外の身が残る。これを茹で上げてカニ面を作ってみたのが冒頭の写真であるが今回の本題ではない。この茹で汁を使っての一品を紹介する。

カニ茹で汁かけ丼

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①かつ丼、親子丼でもなんでもいいので丼を用意する。写真は鶏そぼろ丼。丼ではなくても白ご飯でももちろんOK。
②カニの茹で汁を別の鍋にとって適度に薄め沸騰させる。
③①にかけて完成。

魚屋がカニのシーズンに昼ご飯で丼を食べている途中に来客がある。なんやかんやで戻ってみると丼がすっかり冷めている。そんな時に店先にある熱々のカニの茹で汁を丼に回しかけて食べたという。再現してみると香箱ガニ本体の特有の上品な甘さとは正反対のジャンクフード的うまさである。カニの汁をベースに卵、ホウレンソウ、鳥そぼろと米がそれぞれの味と食感を主張するので食べてて飽きない。

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