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#13『Gorogoa』から学ぶゲームデザインの引き出し(1)「タッチ可能のヒント」

本記事は遊んだゲームから、一つのアイデアに注目してゲームデザインの実例を勉強していく連載記事です。

ゲーム開発者や、これからゲーム制作を志す方へ向けて、アイデアのインプットのための引き出しとなれば幸いです。

ゲームの紹介

『Gorogoa』(ゴロゴア)は、まるで絵画のような精緻なイラストにより描かれた、幻想的な世界が舞台のパズル・アドベンチャーゲームです。

2017年にiOS, Switch, Windowsでリリースされたのを初めとして、様々なプラットフォームに移植されています。

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Gorogoa / Annapurna Interactive

プレイヤーは2x2マスの中に置かれた四角いパズルピースの中をタップして、アドベンチャーゲームのように絵画の中を「探索」していきます。

まるで童話のようなストーリーがノン・テキストで紡がれる中、1つのパズルピースが2つの世界に分離したり、また、別々のピース同士が繋がり合ったり、相互作用を与えながら不思議な物語が進行していきます。

ゲーム自体のボリュームは数時間で終わるようなものですが、作者のジェイソン・ロバーツ(Jason Roberts)氏による幻想的なイラストと、不思議なパズルギミックが魅力的で、濃密な体験を感じさせてくれるゲームです。

タッチによる「しらべる」

本作では画面内の風景をタップすることにより、扉の中に入ったり、物をズームアップしたりという操作が多く出てきます。2Dアドベンチャーゲームや脱出ゲームなどにはよく出てくる操作方法ですね。

ただ、この操作方法は移動先がコマンドやマーカーなどで明示されているゲームと違い、プレイヤーがどこをタッチすれば良いかが、パッと見て分かりにくいというデメリットもあります。

脱出ゲームでどこに「当たり判定」があるか分からず、画面中をしらみつぶしにクリックしまくった、という経験のある方もいるのではないでしょうか。

タッチできる箇所をプレイヤーが見落としてしまったせいで、謎解きのヒントが足りず解けるはずの謎が解けずにプレイヤーが延々と悩んで行き詰まってしまう、なんてことに陥る可能性もありますね。

かといって本作においては、タッチ可能な箇所を最初からマーカーで示してしまうのでは、ゲームの売りでもある美麗なイラストの雰囲気を損ねてしまうので、そういった方法も取りづらいところです。

さりげない「タッチ可能のヒント」

本作ではタッチ可能箇所をプレイヤーに示すヒント機能があります。
(※ヒントを好まないプレイヤー向けにオプションでOFFにもできます)

このヒント機能は最初から箇所を示すのではなく、プレイヤーが画面内をタッチし、かつそのタッチ箇所が無効だった場合に、タッチ可能な場所に白い光の円がホワホワッと浮かぶというものです。

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これがさり気ない演出となっていて表示される時間も短いため、このゲームの雰囲気を壊さず、グラフィックの邪魔にもならず、かつプレイヤーはタッチできる場所の候補に気づくことができるようになっています。

操作ヒントの出し方を考えてみる

例えば、RPGで、スクロールするともっと色々アイテムが並んでいるはずのショップ画面が、スクロールできることが分からずに1ページ目だけしか見ていなかった。などは考えられます。

スクロール出来るUI画面ではスクロール方向に小さな三角矢印を点滅させておく、などはよく見かける実装ですね。画面の端に次のアイテムをちょっとだけ見せておいて、「あっ、この先にもアイテムがあるんだ」と気づかせる方法もあります。

戦略シミュレーションゲームで行動可能なユニットは、アニメーションで動きをさせて、行動終了したユニットはアニメを停止する、などもありますね。

ソーシャルゲームなどで、「イベント開催中」のボタンが数秒に一回、小さく「ピョコッ」と動いて気づかせるといったUIを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

こういったUI演出は、プレイヤーの目にうるさすぎないように、控えめかつ気づいてもらえる程度の演出をする必要があります。


あなたの遊んでいるゲームや、開発しているゲームで、プレイヤーが見落としてしまう可能性のあるUIは、どういうものがあるでしょう?

そこに「操作ヒント」を追加するとしたら、どのような演出が考えられるでしょうか?


皆さんも一緒に色々とアイデアを考えて、より良いゲーム作りのための鍛錬を積んでいきましょう。
本記事がゲーム制作をする皆さんのインプットに役立てば幸いです。

本連載の趣旨については下記記事をご覧ください。

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(※本記事中のゲーム画像は、「引用」の範囲で必要最低限の範囲で利用させて頂いています)