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#12『スナイパー3Dアサシン』から学ぶゲームデザインの引き出し(3)「視野の制限」

本記事は遊んだゲームから、一つのアイデアに注目してゲームデザインの実例を勉強していく連載記事です。

ゲーム開発者や、これからゲーム制作を志す方へ向けて、アイデアの引き出しとなれば幸いです。

ゲームの紹介

『スナイパー3Dアサシン』(Sniper 3D)はスマホ用の一人称シューティングゲーム(主人公視点で銃で敵を撃つタイプのゲーム)です。

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Sniper 3D / Fun Games For Free

(※ストアを確認したらクローンアプリが多数あったためご注意ください)

主人公は凄腕のスナイパー(暗殺者)となり、依頼されるミッションをこなすために、スナイパーライフルを用いて犯罪者や悪人の頭を撃ち抜いていく、というゲームです。

例えば、人質を取って立てこもる誘拐犯を仕留めたり、麻薬の取引現場で密売人を始末したり、不正に手を染める権力者を葬ったり、といった具合です。

ハンドガンやショットガンなどの他の銃器を使うモードや、オンラインで他のプレイヤーと競い合うPvPモードなども用意されています。


視界から敵を探し出す

さて、このゲームはいわゆるFPS(=First Person Shooting)と呼ばれるジャンルに属しますが、大きな特徴が、プレイヤー移動などの操作がなく、「狙いを定めて」「撃つ」というそれだけにゲーム要素を絞り込んだところ、というのは前々回に紹介しました。

移動がない代わりにプレイヤーがすべきことは、視界に広がるビル群や、公園などのマップの中から、仕留めるべきターゲットを見つけ出すことです。

ターゲットの格好はミッション開始時に知らされるのですが、街中には一般人も歩いているため、先のステージになると、その中から怪しい動きをするターゲットを探し出すのが難しくなってきます。


また、ビルなどの障害物が上手く配置されていることで、難易度を上げる工夫がされているミッションもあります。

例えば麻薬取引の犯人を仕留めるステージで、怪しい男が2人、それぞれ別方向から素知らぬ顔で歩みよって来ます。しかし、2人がすれ違うその瞬間にちょうどビルの死角に入ってしまいプレイヤーからは動向が伺えません。

そして、しばらくすると先ほどとは手荷物を入れ替えた男がビルの影から現れます。取り引きが成立したのでしょう。プレイヤーはそこをしっかりと確認して、ターゲットを仕留めるといった要領です。


またステージによっては、犯人が逃走するルートがビルとビルの間を縫うようになっていて、スナイパーライフルで狙える瞬間が、ビルの谷間の一瞬しかないといったステージもあります。

ゲームにおいては何回か繰り返して挑戦している内に「ああ、ここで狙えばいいんだな」と分かっては来ますが、一回でクリアしようとなると、今ここで狙うべきか、それとももう少し待てばより狙いやすい瞬間が来るだろうか、判断することが求められてドキドキします。


視界の制限

視界を遮る障害物はゲームにおいてはプレイヤーに嫌われる要素ですが、使い方を上手く考えることでプレイヤーに適度な緊張感を持たせたり、判断力を求めたりすることができます。

「マリオカート」においては、相手ドライバーの視界を遮ってハンドル操作を誤らせる「イカ墨」という武器があります。

RPGにおいては(障害物ではないものの)建物の影になっている部分に隠し通路があったり、宝箱が隠されているという遊び心もあったりします。

アクションゲームでも暗い洞窟や夜のステージで視界が狭く、明かりを灯すか、さもなくば慎重に歩みを進めないといけないステージなどもありますね。

戦略SLGゲームにおいては、「フォグ」と呼ばれる視界制限がある場合もあります。視界の外から不意の攻撃を受けないように、偵察部隊を運用することが戦略上重要になってきたりします。

あなたの遊んでいるゲームや、開発しているゲームで、「障害物による視界の制限」を追加するとしたらどのような箇所が考えられるでしょうか。

またそれによって、プレイヤーの緊張感や、求める判断力にはどのような変化がつけられるでしょうか。考えてみましょう。


皆さんも一緒に色々とアイデアを考えて、より良いゲーム作りのための鍛錬を積んでいきましょう。
本記事がゲーム制作をする皆さんのインプットに役立てば幸いです。


本連載の趣旨については下記記事をご覧ください。

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(※本記事中のゲーム画像は、「引用」の範囲で必要最低限の範囲で利用させて頂いています)