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2020年 読書感想文#3

 まずは、ずーっと下書きに残しながら、ちょこちょこ書き直していたこの記事から先に更新しようと思います。直近の気持ちの変化や感じたことはまた別途書いて残していきたいと思います。


 読書をする時間を作れるなーと余裕のある時は、割となんでもジャンル問わず読んでみようと思い、今まで手に取らなかった本を選ぶことがあります。

 基本的にはおススメされた本か、知識として得たい分野の本を選ぶことが多いですが、少し前にふと本屋で目に留まり手に取りました。

 それが、「一切なりゆき~樹木希林のことば~」です。樹木さんが数々のメディアで答えて来たインタビューや、色んな方との対談を通して生まれた言葉たちを綴った1冊です。樹木さんの言葉は、テレビや新聞・雑誌などでもよく色んな方たちから紹介されており、何度か目にしたことがありましたが、改めてこの本を読んでの感想と、その中でも一番好きな言葉について書こうと思います。

 しっかり傷ついたりヘコんだりすれば、自分の足しや幅になる。
生きるというのは、いろんなところをくぐり抜けて、どう墓穴(はかあな)に入るかという道。どうやったって結果はついてくるから、そのときどきで納得するやり方をするしかないですよ。その途上で結婚でも別れでも仕事でも、しっかり傷ついたりヘコんだりすれば、自分の足しや幅になる。私は出会った人を傷つけて、昔だったら消しゴムかホワイトで消したい人生だったのに、この年齢になると、深く傷つけた人たちがとっても懐かしいのよね……。口をぬぐって、"ない"ことにしなくってよかった。
【第1章】生きること P43 

 この文章を読んだ時に、妙に安心してしまいました。樹木さんの様な大女優でも人を傷つけてしまったり、へこんだり、消したいと思うほどの出来事があって、でもその過去をないことにしなくて良かったと振り返っているのか…というところに。

 作品ではなく、演じていないありのままの樹木さんは、飾らずユーモアに溢れていて、多くの人に愛される姿が印象的でした。きっと想像を絶する苦労や、批判や不当な評価があったと思いますが、どれもくぐり抜けて納得するやり方をしてきたのだなと。生きていると自分の思い通りにいかない事の方が多いのかもしれませんが、失敗も恥も誰かを傷つけてしまったことも、自分の足しや幅になると思えたら、私も納得して前に進めるのかなと勇気をもらえました。

 慌ただしく過ごしていたり、自分の思ってる以上に物事が進んでしまうと、その時々で生まれた感情に気付かず、あとから振り返って気付くことがあります。あーあの時楽しかったんだなとか、悔しかったんだなとか、頑張ってたなとか。色んな事に制限がかかってしまった今だからこそ、過去を振り返って、大事なものを見つめなおす時間が必要だなと思っています。

 なくてはならないと思っていたことが、意外となくても平気だったり、前に進むことを邪魔していたのは自分の小さなプライドだったり。大切なものに気付くと時間の使い方や、価値観、そして生き方が変わるなと実感しています。日々に置き換えると微力でも、少しずつ殻を破ったり、守ったりしながら過ごしていきたいなと思います。

 樹木さん、大切な事を教えてくれてありがとうございました。安らかにお眠り下さい。


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