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2020年 読書感想文#1~2


あっという間に2020年の上半期も終盤にかかってきました。


2020年が始まった時とは、想像もつかない今日を迎えていますが、上半期という一つの時間の節目を機に、6月の残り数日間でこの半年間を振り返る時間を作りたいなと思っています。


「大きな変化、小さな変化、変わらなかった事」これらは、振り返る事で、言葉にする事で確かなものにする事ができました。良いことも悪いことも起こってしまった事を気にしてもしょうがないと、振り返らず進み続ける事、過去に固執しない生き方が心地よいと感じていた私でしたが、ここ数ヶ月で、きちんと振り返る事・立ち止まる事によって、曖昧な想いは確信に変わり、より前へ、進みたい方向へ加速できるのだと感じました。


私の今年の大きな変化の1つでもある「noteを始める」事。始める前から絶対書きたいと思っていた記事が読書感想文でした。


今回は、上半期に読んだ本の中からまずは2冊、ここに感想として記録しておこうと思います。


 ①跳びはねる思考   著者:東田 直樹


普段何気なく目に映る景色が、重度の自閉症である著者によって、美しく儚く、感動的な言葉たちよって表現され、心が震えました。サブタイトルに「会話のできない自閉症の僕が考えていること」とありますが、彼は声に出して表現をしようとすると、うまく言葉を発する事ができず、奇声になってしまいます。

会話をしたい、分かりあいたいと思っても自分の持っている障害によって、その想いを妨げられ、幾度となく悩み、傷ついてきた彼の著書の中で表現する言葉たちは希望に満ちています。彼の経験をもとにしたエッセイですが、まっすぐで優しく、心にささる表現が目立ちます。

不意に訪れる不安や、答えのない悩みの正体を自閉症の彼の目線を通して教えてもらった様に思います。例えば、天気や季節・自然が見せる風景、私たちの生活に当たり前にある現象。個人の問題ではなく、社会の問題。彼の目に映るそれらは、普段私たちが見逃しているもので、彼によってひとつひとつ意味のあるものとして私たち読者に訴えかけるのです。

彼の文章は、私たちに今まで生きてきた世界は、幾つもの奇跡の上に成り立ち、そんな美しい世界で生きていることを気付かせてくれます。利便性や、快適さではなく、心をゆたかにしてくれるものは日常に散りばめられている。この本と出会い、見える景色が変わり、生きること・人生においての幸せとは何か、立ち止まって考える事ができました。そして、自分の人生に色を付けるのは自分だと、当たり前の様で忘れていたことを教えてくれた1冊となりました。



 ②アーモンド 著者:ソン・ウォンピョン


2016年に韓国で書籍化されてから、世界13ヶ国、そして日本にも昨年上陸したアーモンド。

タイトルのアーモンドは、脳の一部である扁桃体を指します。このアーモンドが人よりも小さく、失感情症(感情の中でも特に恐怖を感じる事ができない)と診断された少年が主人公の物語。

人の気持ちや痛みが理解できない少年が、不自由なく普通に見える様に生きていけるようにと、感情を暗記させようと必死な母、「かわいい怪物」と言って無条件に愛情を注ぐ祖母によって、彼らなりの幸せな日々を送るのですが、ある事件によって事態は一変します。

感情が分からない少年が唯一の理解者で唯一の家族である母と祖母を失い、新たに出会う登場人物たちと生きていく中で、感情を理解しようと葛藤する姿に心を打たれます。

私は普段、自分の感情を邪魔に思う事があります。感情によって、決断した事がぶれたり、世の中には、知らない方がスムーズにいくのに、知りたい欲が出て、勝手に期待して一喜一憂したり。

この本を読む前に感じていた「自分の感情を制御できること=大人だ」という感覚は、一概に誇れることではないと気付きました。確かに、自分の機嫌は自分でとる事は、周りに迷惑をかけない事にも、自己肯定感を上げる事にも繋がるのですが、感情を無視してはならないと思います。

あくまでうまくコントロールできるという前提で、自分の中に生まれた感情は大切にするべきで、わざわざ肯定も否定もせず、事実として捉えるだけで良いと思います。時に、憎悪だったり、羞恥だったり、湧いてきてほしくない、自分の中に認めたくない感情であったとしても、そっかこんな気持ち持ってたんだと知るだけで良い。

気になる、知りたい、何も感じたくない、様々な感情の存在を知り、それをエネルギーに変えるかどうかは自分次第です。放っておいても良いし、共有できる仲間を探すこともまた新たな楽しみの一つとなるでしょう。


この物語は、最初から最後まで衝撃の連続で、登場人物に自分を投影させながら一気に読み進めました。読み終えた後、しばらくぼーっと何も考えられずにいました。

もう一度読み返して、感情の分からない主人公の少年を筆頭に、登場人物がみな、誰かを想う気持ちで溢れている希望に満ちた物語だと思いました。それぞれの痛みや想いは、当の本人にしか分かりえないもので、理解することは当事者にならない限りできない事ですが、知りたい・分かりたいと歩み寄る事はできます。この作品は、そんな大切な事を教えてくれました。



なかなか読書をする余裕がないまま2020年はスタートしたのですが、コロナ禍で世界が一変していく中、読書の時間を確保できた事はとてもゆたかなものとなりました。

さらさらーっと読み進めてしまうと、読んだだけで満足してしまいがちですが、たまにこうして書く事・アウトプットする事でまた、気持ちが整理できたり、その作品をますます好きになったり、新たな発見がより日常を濃くしてくれます。

引き続き、時間を見つけては読書感想文を書いていきたいと思います。


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