一生忘れることのないであろう、雨にけぶるNYでのカウントダウン
2019年10月24日
沢山のライトに照らされた渋谷の街が雨に濡れる
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雨ににじむネオンライトの光を見ていると、今年の年明けにNYで迎えた雨の中のニューイヤーを思い出す
NYで出会う人が口々に「今年は暖かい!!」と言った2018年12月31日
2019年を迎える直前
私はNYマンハッタンの7番街57丁目にいた
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妹・弟と姉弟旅行で訪れた数年ぶりのNY。「なんとしてもタイムズスクエアでのカウントダウンを見たい!」と言い張ったのは姉弟の中でもずば抜けてミーハーな妹だった
正直、私は興味がなかった
興味がない、というと嘘になる。だが、ボストンで語学留学をしていた時代、周りのアメリカ人たちから散々「タイムズスクエアのカウントダウンに参加するなんて信じられない!あれに参加するのはただの馬鹿よ!」と言われ、NYカウントダウンの過酷さを聴いていた身としては、なんとなく、その場に参加する気にはなれなかったのである
タイムズスクエアのカウントダウンと言えば、ネットで調べると
■午前中から場所取り必須
■12月のNYは極寒で寒さ対策必須
■場所取りをしたところから一度でも離れるともう一度最後尾から並び直し、離脱できない!⇒オムツ必須
と「Oh...」な情報がズラッと並ぶ
実際、私が訪れた2018年も、朝10:00の時点でタイムズスクエアに一番近いエリアはカウントダウン待ちの人の山
例年に比べ暖かい冬だとはいえ、せっかく訪れたNYでの一日を、ただひたすら場所取りのために潰す気には私はなれなかった
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2018年12月31日 16:00
この日は昼過ぎから、激しく雨が降り出した
カウントダウンの列に並ぶことを放棄し、NYの街中をカメラ片手に1人歩き回っていた私に、別行動をしていた妹・弟から「昼食がまだなんだけど、一緒にNYランチしない?」と連絡が入った(NYランチってなんだそれ)
姉弟で旅行に行ったからには、一回ぐらいは贅沢なご飯を食べたいね、という話をしていた我々。「丁度いいタイミングだからお昼ご飯にステーキ行こう!!」という誘いで、私もそれは同席したかったから彼らと合流した
そこで、再度妹に誘われるのである
「カウントダウン並ぶけど、姉はどうする?」と
その瞬間、何故か、本当に何故だか分からないのだけど
魔が差してしまったのだ
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2018年12月31日 18:00
私はタイムズスクエアがほどほど近くに見える、7番街50丁目付近にいた
カウントダウンの中心地であるタイムズスクエアは7番街45丁目にある。そこから真っ直ぐセントラルパークに向かって、46丁目47丁目...と北上していくと7番街50丁目(7th Ave, 50th St)
カウントダウン当日は、7番街を挟む6番街・8番街にセキュリティチェックのようなものが設けられ、そこで手荷物検査や身体検査を受けたうえで、7番街に入っていく
例年であれば、17:00頃から並び始めると、タイムズスクエアから離れた55.56丁目辺りで場所取りを始めることになるらしい
が、この日は幸か不幸か雨だった
場所取りをしながら周りを見ていると、雨にぬれ、寒さにやられた人たちがどんどん列から抜けていく。人が抜けた分、後ろに並んでいる人たちが前に出る
そのおかげで、我々も肉眼でタイムズスクエアを確認できるぐらいの場所まで迫ることができた
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2018年12月31日 20:00
私はホテルの部屋、シャワールームにいた
17:00から場所取りの列に並び、ここから7時間粘る!頑張る!!!と決めた心は、その3時間後には冬の冷たい雨の中、脆くも崩れ去っていた
雨具を一切持っていたなかった私、妹を残し、20:00を目前にしてホテルに撤退
(↑その時のInstagramストーリー)
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2018年12月31日 23:30
私はセントラルパークのほど近く、7番街57丁目にいた
雨と寒さにやられホテルに撤退し、暖と軽い睡眠をとった数時間後、今さらになって「せっかくNYにいるんだしやっぱり見ておこうかな…」という勿体ない精神が発動し、ホテルを出発
7番街57丁目で人込みにもまれていた
外は未だに雨
NYを照らすネオンライトの光を、雨が弾いてより明るく、色が鮮やかににじんで見える夜
周りで聴こえる言葉は英語だけでなく、耳に入っては来るけど何語かすら分からない言葉が沢山。そう、ここはNY、観光客はもちろん、沢山の国から夢を追い求め人が集まってくる場所
カウントダウンの瞬間は、なんとも忘れがたい瞬間になった
それまで色んな言語で話していた人々が、ニューイヤーを迎えるその直前、突如英語で「5, 4, 3, 2, 1...」とカウントダウンを始める。周りのいきおいにおされ、私も一人でカウントダウンの数字を口走っていた
そして迎えた2019年1月1日0:00
割れんばかりの「Happy New Year!!」の嵐
知っている人か、知らない人か、はもはや関係ない。周りにいる人たちと口々に「Happy New Year」を言い交し、タイムズスクエアとセントラルパークで上がる花火を眺める
雨なのに花火上がるんだ
そんなちょっとズレた感想が、ジンとしびれた頭の中に湧いてくる
あの瞬間の、国を超えた盛り上がりと、ニューイヤーという一つのものに皆の心が向かったその一体感
多分、一生忘れることはないと思う
2019年10月24日 22:00前
日本、雨の渋谷
作業をしていたパソコンから目を離して顔を上げる。目の前の窓ガラスに流れる雨と、そこににじむネオンライトの光。イヤホンをしていたせいで、雨が降っていることに全く気付いていなかった
雨の渋谷
にじむ光
鮮やかな色
こんな夜は、あのカウントダウンの瞬間が色鮮やかに脳裏によみがえる
忘れがたいNYの夜
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