文学フリマ札幌2023の思い出を振り返る
昨今、文学フリマ、略して文フリの話題が盛り上がっていますね。
札幌も9月に開催されるので、「今まさにめちゃめちゃ頑張ってるよ!」って方もいるのではないかしら。
今年はどうしようかな? と思ったのですが、出店受付期間中に先の見通しがつかなくて、今回の出店は見送ることにしました。
去年はゆっくり見て回れなかったので、今年はお客さんとして行くかもしれません。
気になる本があったのよね~。今年もあるかしら?
・文フリに参加した経緯
去年、何かの拍子に、札幌で文フリがあるのを知りました。
X(Twitter)でしょうか。たぶん。
以前もっと規模が小さい時に「文学の同人誌即売会って北海道では珍しいかも。ちょっと行ってみたい」と思ったことはあるのですが、なかなか叶わず。
そのうちに某感染症が流行してイベントごとも少なくなり、プライベートで外に出る習慣が失われつつ……。
で、ようやく感染症騒動が和らいできた去年初頭、久しぶりに文フリの話題を見かけて、唐突に閃いたんです。
──出よう。
理屈ではありません。よし、出よう。出店しよう。
私の中の偉そうな人が言っている。
「迷うな、人生は前にしか進めないのだ……」
そのまま申し込み、入金。
この時点で、手元に売るようなものは無し。
しかし念のため、椅子は2脚にしておきました。
・知り合いが誰もいない
ペンネーム変更や活動ジャンルが変わる度にTwitterのアカウントを転々としていた私には、現アカウントに小説を読み書きするフォロワーさんがほとんどいません。ほぼあんスタの情報収集用アカウントになっています。
小説投稿サイトもやっていないので、交流している人がいません。
何かの拍子に興味を持ってくれるひとがいるかもしれないけれど、道民の知人が少ない。出店側はともかく、お客さんでわざわざ道外から来る人ってあまりいないような気がします。
リアルの知人も小説を読む人は少なく、つまり、宣伝する相手がいません。
これはかなりの不安要素です。
誰も来なかったらどうしよう……。
いにしえのネット民なのでmixiにまで宣伝に行きましたが、マイミク誰もログインしている様子がなく。そりゃそうか、私も存在を忘れていたくらいだしね。
とにかく、出店を決めたとはいえ、ぼっち参戦に対する不安はありました。
ぼっち参戦じゃなくて、閑古鳥の不安かな。
最初から最後まで誰とも言葉を交わさず、椅子に座って曖昧な笑みを浮かべ続ける……想像しただけでさめざめ泣いちゃうわそんなん。
・サークル『なぎどり』発足
関西にお住まいの月ノ羽衣さんと、文フリの話をしている時、
「もっと近くに住んでいたら、一緒に参加できるのにね~」
のようなことを言っていたのですが、ここでも閃きました。
「サークル作ったら、一緒に参加してることになるのでは!」←?
ざっくりいうとそんな経緯で、サークル『なぎどり』が生まれました。
『なぎどり』という名前の由来は、私の当時の代表作『凪いでる海へ行こうか』と、月ノ羽衣さんの代表作『風切り羽』から来ています。
お金のやりとりをしたくないので、無料配布の本を作ることに決めました。お題があるので、二人だけどアンソロジーになるのかな?
本のタイトルはサークル名と同じ『なぎどり』です。
・文庫『星の見えない空~バラの咲く街~』
ライフワーク的に『星の見えない空』という、自伝的小説(実話そのままではない)を書いています。
幼少時の頃から死ぬ直前まで書けたらいいなと思っています。できたら死後のことまで書きたい。
人生を時系列で書いているわけではなくて、今回は月にまつわる遠距離恋愛の話と、『あの頃、バラの咲く街で』を収録しました。
印刷代、1冊あたりのお値段が1100円するんです。
送料かかるので、1000円で売っても利益出ないんです。
ぶっちゃけ、知らない作家の文庫に1000円は出さないでしょう。私なら躊躇するかなぁ~。
でも、目先の利益のために安くして全体の相場を下げるのはどうなのか、という思想のため、350円とか600円とかにするのはイヤなんです。
当時の私の財政的に、10冊なら売れなくてもダメージ少ないかなと思って覚悟を決めて刷りました。まぁ、押し入れいっぱい在庫抱えてる人だってたくさんいるよ! これくらいなら誤差(?)。
pixivFACTORYで印刷しましたが、めっちゃ楽ちんでした。
一度ボタンクリックしたら、奥付まで自動で書いてくれるよ!
ただ、安くはないし、箔押しとか細かいことはできません。
表紙、いろんなデザインで作ってみましたが、これが一番納得できたやつ。
星は見えないが、月はなんとなく見えるのです。
人物を描くとどうしてもラノベっぽくなってしまうので、今後もどうしようかなぁ……って感じ。
やっぱり自分で描くのが良いのかな~。
そのほうが著作権的な扱いはとても楽だけど。
・なぎどり創刊号、二号を作りました
短編をひとつずつと、自分のサイトや作品の宣伝、自己紹介などのおまけページを収めた2種類を作りました。
本文コピー用紙、拍子は少し厚い上質紙を使用。
Canvaで雑誌風にデザインし、フルカラーで印刷しました。
中綴じ用ホチキスも購入。
コピー本作るのに、一太郎がめちゃめちゃ便利でした。
書式も細かく設定できるし、豊富なテンプレートもあるし、プレビュー状態でそのまま書き込めるから仕上がりがわかりやすいし、校正もしてくれるし、そのまま絵も入るし、印刷する時にはちゃんと割り付けしてくれる機能もあるし、もう本当にとにかく便利。
2019年バージョンで、もう古くなっちゃったのだけど、それでもまだ現役。
新しいの欲しいけど、今はちょっと手が出ないお値段なのよね……。
・文フリ参加のために準備したもの
敷き布です。
ブースの机に敷く布。
机を保護しつつ、ここは私の陣地である、と主張するものでもありますね。
私はたっぷり長さをとって、机の下にものを置いても見えないような感じにしました。
艶があるベロア素材でゴージャス。紺色。
イメージとしては、タロット占いです。
私は同じような素材のタロットクロスを持っていて、それがたいそう気に入っているのです。
でも、当日他のブースを見ると、そんなに気合いを入れてる人はあんまいなかった気がします。
風呂敷とまではいかないけど……、隣の方は明るい色のテーブルクロスみたいな感じでした。台や本をたくさん置くと、どうせあんまり見えないような気もします。
ネットに作り方ありました。ポケットをつけるのも便利みたい。。
紙を貼る場合はテープで止めやすく剥がす時に布が痛まない素材がいいかも。私はお値段や出店者名を貼ったりしました。
あとはカルトン(キャッシュトレイ)を買いました。
ご時勢でしたから、直接お手々に触らないほうがいいかなと。
これは今でも自宅で重宝しています。
代引きとかデリバリーの現金払いに使ってます。
お金を広げて置けるので、数えやすいです。
あとは普通の文具、小銭でしょうか。
荷物はお水を箱買いしていた頃の段ポールに入れました。
重いものを入れても大丈夫そうだし、持ち手もついているし。
・売り子さん
最初はぼっち参加のつもりだったのですが、何しろ何年も準引きこもりなので、人見知りを発揮して挙動不審になること必至。
考えた末、売り子さんを雇うことにしました。
社交的で営業力に長けた人です。
話し合った末、謝礼は……何にしたんだったかな……?
ご飯を食べに行ったとか、そんな感じだったと思います。
車を出して貰うこともあって、現金なら1万円くらいの予定でした。
・POP
前日に、POPがいるのでは?と思いつき、作ったのがこれ。
我ながら上手にできたと思います。
コンセプトは『ドラッグストア』です。
どう? ドラッグストアってこんなイメージじゃない?
・当日のこと
遠方から来ている出店者さんも多いようで、そういった方は荷物をキャリーバッグに入れてころころしていました。
POPスタンドとか、展示用の台とか持って来てる人も多かったです。
私は多少高低のあるレイアウトがいいのかな? と思って、書見台を二つ持って行きました。
まわりの人
おとなりは男性おひとりの方で、てきぱき準備してるので何だか話しかけにくくて……。私がメンタル低調だったせいもある。
彼は文庫をたくさん並べていました。
シリーズものを出しているということは、しっかり読者がついているということだろうし、すごいなぁ。
表紙も外注したような美麗イラストだし……。
AIかもしれないけど、じっくり見たわけじゃないから判断できません。
お向かいは謎のコピー用紙を売っていました。
ひらがなを数文字書いただけなの。しかも売れてるの。謎。
前衛芸術かもしれません。
設営の様子
適当ですが、まぁなんとか見られるものになった……つもり。
奥にいる部長を見て「あっ! りつくんだ……! かわいい!」とか叫んでいた女の子たちの幸せを祈っています。
・反省点
設営
ベロア素材の布に、梱包用の透明テープ(ガムテープみたいなサイズのやつ)を貼ったけれど、剥がしても後残りがなくて布も痛まなくて良かったです。
紙類はクリアファイルに入れて貼りました。
書見台よりPOPスタンドにして、机を広く使ったほうが見やすいのではないだろうか。
もう少し売るものを増やしたほうがいいのではないだろうか。
滞在中
ぼっち参戦だとブースを離れるのに気を遣うと思うのですが、一応売り子さんがいてくれるので、気軽にトイレに行くことも可能な環境でした。
でも、結局行かず。
30分くらい時間を貰って、見本誌コーナーを見たり、noteで知りあった方に声をかけに行ったりしました。
声をかけておいて挙動不審な私……。
「◯◯さんですか?」
「noteでコメント戴いたかなでです!」
とか言ってみたけど、そう気の利いた話題も出て来なくて、「これ買います!」と本を買って帰ってきました。情けない。
でも、私の好きなタイプの、よい本を買えました。
今は、知り合った人のところを、積極的に訪ねていくのもいいかもしれないと思ってます。
ま~、メンタル次第かな。
お客さん
知り合いがいないので、こちらめがけてガッ! と来る人はいないけど、流して見ていくひとは結構います。
作品に目を留めてくれる方もいるので、その視線を察知して「どうですか~! こちら無料になっております!」とか言って何人も誘導してくれたわ、有能すぎる売り子さん。
私ひとりならこんなふうにはならないだろうな~。
あと、手に取りたくなるような表紙を用意できないっていうのは厳しいのかもしれません。
やっぱ初めては表紙買いが多い気がするし……。
サークル誌『なぎどり』
無料配布本が豪華過ぎました。
なかなか無料だと信じて貰えなくて。詐欺でも押し売りでもないですって!
「本当にタダでいただいていいんですか~?」と恐縮っぽくなっちゃったり、心配させちゃったりしました。
短編とはいえ二人分の小説を載せているため、厚みもギリギリを攻めてて、道行く人が手に取りにくい感じでした。表紙もガチっぽかったし……。
もうちょっと気軽に手に取って貰える本にしたほうが良かったなと思います。
無料本に気合い入れすぎたな~というのが反省点。
ペーパー類
自己紹介と宣伝を兼ねたペーパーも作ったのですが、20枚くらいしか持っていきませんでした。
そんな要らんやろ、と思ったのですが……これはすぐに足りなくなりました。
あまりにも誰も立ち寄ってくれなくて暇を持て余した売り子さんが、呼び込みを始めて配りだしたんです。
「これしかないの~? もっと作ってくれば良かったのに。仕事させろ~!」と言われました。
文フリに興味ないみたいだし、本当に暇そうだったわ。
申し訳ない。
次回はもっと用意します。
文庫本
肝心の文庫本ですが、見本誌コーナーに1冊、手元に1冊見本を用意しました。
見本には透明カバーをつけ『見本』と書きました。
本は印刷所で1冊ずつOPP袋に包んでくれてるので、そのまま。
あらすじがうまく書けなくて、興味を持ってもらえない感じがありました。
これはかなり重要な課題です。あらすじ書くの苦手なんです。
カタログとか書く機会もあるので、そのへん克服したい。
目の前で見本を手に取ってくれた方がいたのですが、「気になる……欲しい……でも……」と言いつつしばらく悩んで「また来ます……」と去って行きました。
私は閉会までいなかったので、本当にまた来たのかはわかりません。
通販でだけど、すでにこの値段で買ってくれた方がいるので、値引きするわけにもいかないのよ。
何でもわりと無償で公開していることが多いから、いろんなひとに「自分の作品を安売りするな」と怒られるのですが、今後の値段設定はもうちょっと考えます。
本について
薄いモノクロコピー本でいいから、もっと手頃な本も用意しておくべきだったなと思いました。
それを読んで面白いなと思ったら、また来てくれるかもしれないんだし。
最初から、「無料!」「1100円!」じゃ攻めすぎだったかも。
300円くらいの掌編やエッセイ、詩集みたいなやつがあったら良かったかも?
気に入ってくれたら別のやつを買ってくれることもあるだろうし……。
撤収
少し早めに撤収しました。
途中で撤収する方法がわからなくて、Webページと参加案内の紙を熟読しました。
ここの会場では、机の上に店じまいしたことを書いた紙を置いておけばいいとのことでした。
「来た時よりきれいに」という日本の美学の通り、きれいに片付けて撤収しましょう~。
・感想
楽しかった。また参加したい。
二次創作が多いところはもっときゃぴきゃぴした感じだけど、文フリは落ち着いてるから、これならぼっちで行っても楽しめそう。
実際に、ぼっち参戦のひとも多かった。
ただ、ぼっちだと荷物をどうするかだなぁ……。
売り子さんが車を出してくれるのが確定するまで、リュックと手持ちバッグだけで完結するだけの量にする計画でした。
札幌だと地下鉄降りてから結構歩くと思うので、参加される方、そのへん気をつけて……。
今回は秋開催だから、去年よりは涼しいのかなぁ?
また何か本作って売りたいな~。
次こそ目の前で売れる喜びを感じたい!
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