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#15 新店舗でいきなりのBAD客②


新しいお店に初出勤。
その日いきなり、お店出禁スレスレのお客様の対応をお願いされました。



すでに2人の女の子からNGを出されているというお客様。
これで私がNGを出せば、もうその方はお店を利用できなくなってしまいます。


応対した女の子みんながNGを出しているわけではないとはいえ、不安な気持ちは止められません。


しかし、自分で受けると決めた以上もう逃げられない。
行くしかない。と、覚悟を決めて、私は支度を済ませて待機室を出ました。


待機室はビルの上階にあり、支度を済ませたら階下の受付に行く流れです。
受付でスタッフさんが待っており、ホテルとコースを書いた紙と、ホテル代が渡されてお客様が呼ばれ、そこから一緒にホテルに向かいます。
今回は75分コースをいただきました。


そして、お客様とご対面。
40代くらいの方で、体は大きく迫力がありました。
私は、


(この体で無理強いされたら、抗えないな…)


と思いました。
「こんにちは」と笑顔で挨拶しながら、なるべくスマホの入ったカバンをそばに置いておこうとか、ホテルの電話がある近くにいようとか、防御策を考えながらホテルに向かいました。


体格は大きな方ですが、話し方は穏やかでそう威圧感は感じませんでした。
ホテルの部屋に入りシャワーを浴びるまで、特に怖いと思うこともNGが出されている理由も見当たりませんでした。
(前シャワーを浴びず即プレイをしたがる方もいますがそんなこともなく、大人しく洗わせてくれました)


お客様の体を洗って先に出てもらい、私も自分の体を洗って後からベッドに向かいます。


お客様はすでに裸でベッドに寝転がっていました。


明かりを落として私もベッドに入ると、お客様の態度が豹変しました。
私の腕を掴み、ベッドに押し付けて上から覆い被さり言いました。


「お姉さんは、本番させてくれる人?」


なるほど、これかと私は思いました。
プレイが始まる前からNG行為の要求。私をベッドに押し付けて見下ろす態度。そりゃあ嫌われて当然です。


私は言いました。


「そういうことはしてないです」


努めて明るく、お客様の機嫌を逆撫でしないように。


「なんで?他の子はしてくれたよ?」


出ました常套句。
ネットで見たセリフをこの時初めて実際に聞くことになりました。


「お店に禁止されてるので、私はできないです」


とはっきりお断りしました。
実際にお店から「断っていい」と言われていたことで、躊躇いなく言うことができました。
それでもお客様はしばらく渋っていましたが、そのうちに「じゃあ好きにして」と不貞腐れたように言い放って、再びベッドに寝転がりました。


もっと強引に迫ってくるのではと悪い方に想像していたので、私は少し安心しました。
広げられた体躯を私は精一杯攻めました。舐めたり扱いたり、今でも攻めの方はあまり自信がないのですが、この時はもっと拙かったと思います。


不貞腐れた態度とは裏腹に、お客様の体は反応していました。
自身が昂まると私の体にも手を伸ばしてきました。
触られることはお仕事のうちなので、私は抗わず触られながらプレイを続けました。


私の体が反応し始めると、「濡れてるじゃん。入れて欲しいの?」と言われましたが、私は笑って「違います」と言いました。


そんな私の様子に、お客様も諦めたのでしょう。手を引っ込め与えられる刺激に集中し始めました。
機嫌を損ねて萎えてしまうかと思いましたが、出すものはしっかり出してプレイを終えました。


時間より早く部屋を出て、別れ際「ありがとうございました」と告げるとお客様は軽い会釈だけ返して去って行きました。
きっともう、私を指名することはないでしょう。


お店に戻るとスタッフさんが心配した様子で「どうだった⁈」と駆け寄ってくれました。


私はありのままを報告しました。
最初から本番交渉をするつもりであったこと、高圧的な態度、でも乱暴にされることはなく最後は大人しく果たせられたこと。
私はそう躱すことができたけれど、あの体で覆い被されたらやっぱり怖い。従ってしまう女の子もいるかもしれない。きっと私をまた呼ぶことはないと思うけど、もう会いたくない、と。


そう言うとスタッフさんは、


「そっか、ありがとう。じゃあやっぱりあのお客様は出禁にするよ。本当にありがとう!」


私で3人目のNGになったので、その方は店舗を出禁になりました。



…正直、本番行為を交渉しただけその方はマシだったのかもしれません。
私の初めてのお客様は、こちらが反応できないうちにことに及びましたから。


今思えばこちらの方がよっぽど悪意があると思います。
けれどその人の人となりとか、態度とか、そういったところで私たちキャストが"選ぶ"ことはあります。


この後いくらでもそういうお客様と応対します。
私は私なりの基準でお客様を選んでいます。


私も人であり女ですから、そういうこともあると思うのです。


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