ゼロから見る兵庫県文書問題
呪詛に覆われる真実
イチから、ではなく「ゼロから」としたのは、これまでの報道などで見た内容を一度リセットして頂いた上で、改めて兵庫県文書問題をゼロからインプットしてみると、思い込みを捨てて新しい視点で見ることが出来、気づきが多いのではないだろうかという思いでタイトルを付けた。
はじめに私の考えを述べておきたい。個人の主観を省きたい方は、読み飛ばして頂ければと思う。
兵庫県文書問題によって斎藤元彦前知事が失職し、知事選が行われようとしているなかでこの記事を書いている。
当初私は、この文書問題、特にパワハラ疑惑に関しては、日々過熱するセンセーショナルな報道を無視していた。単純に私は兵庫県民ではないし、遠くの政治家のスキャンダルに興味がわかなかったからだ。
報道の下劣さには、芸能人の不倫ニュースと同じ匂いがするなとも思っていて、無駄な情報は入れないでおこう、ぐらいの感覚でいた。
Xでは毎日のように政治に関するコミュニケーションを取らせて頂いていたが、この件に関してはずっと静観を決め込んでいた。何が真実であるのか分からないし、死者が出てしまっているという事件めいた出来事に、正しい情報で理解をしないまま下手に意思を表明することが憚られたからだ。
私のタイムラインにはかなりの頻度で斎藤元彦前知事への誹謗中傷が流れてきた。ほとんどがパワーハラスメントをしたことを前提としての人格否定だった。
9月11日。たまたま記者会見を観た。これまで数時間に及ぶ記者会見でも丁寧に受け答えをしていた斎藤元彦が、「悔しい」という言葉とともに涙を流した。
その涙に違和感を感じた。
私はその会見動画のコメント欄を開き、寄せられているコメントを確認し驚愕した。ぜひ皆さんにも見て頂きたい。
そこには誹謗中傷が呪詛のように渦を巻いていた。多数の顔も名前もわからない人々が、一人の男に呪いの言葉を唱え続けていた。
斎藤元彦はパワハラをした加害者であり、その結果職員が亡くなったことを事実であるとして信じて疑わない人々がそこにいた。
その要因のひとつにマスメディアの報道があったのではないかと考えた。連日のように全国ニュースでパワハラ知事、おねだり知事と報道され、ワイドショーでコメンテーターが最もらしく批判してみせれば、その2次情報を刷り込まれ信じてしまうのは無理もない。
問題なのは、事実が明確になっていないことだった。刑事事件でもないから、容疑者でもないのだ。裁判にすら至っていない。
間違いであったらどうするのだろうか。そういう人物に対してここまで匿名で暴力的に批判してよいのだろうか。放送法に則ったメディアが決めつけて批判して良いのだろうか。人格を否定してよいのだろうか。
私は、真実が知りたいと思った。全ての真実が明らかになるならば、もしこの斎藤元彦なる政治家がパワハラや独裁者のような政治的判断を行った者だったとしても、闘うべきだと思った。闘い、真実が明らかになった先に、罪があるならば司法の裁きを受ければよい。
この文書問題によって辞職を求める声があることも知っていたが、私は許すことが出来なかった。偏向報道めいたマスメディアと、誰ともわからない誹謗中傷の声に押しつぶされ、この問題が辞職によって有耶無耶に消え去ることを許すことが出来ないと思った。
1次情報が不明確であるにも関わらず、不確かな報道によって一人の人間の人生を否定すること、これは大げさではなく、一人の人間が「生きる」ということを否定するほどのことだ。同じ国に住む人間としてそのような暴力を許してはならない。
不信任決議案が可決され、斎藤元彦は失職を選択し、出直し選挙に出馬することを表明している。
これは単なる選挙ではない。
私たちの民主主義が誹謗中傷の声や、マスメディアの偏向報道に、あるいは既得権益にこのまま屈してしまうのかどうか、日本の政治の在り方をも左右する、大きな意味を持つ選挙になる。
調査に向けて
この問題を調査した結果をここに記す。
私がまずこの件に関して取り組んだのは、1次情報を収集することだった。都知事選でボランティア参加した石丸伸二のこの言葉を念頭に、実態を客観的に見ることからはじめた。何か判断をする、意思を決めるのはその後だ。
ここでひとつ断りを入れておくと、肝心の真実に関わる核心の部分は明らかになっていない。
この問題は非常に複雑だ。全ての内容を把握することがまず難しく、核心の部分が明らかになっていないことで解釈が揺らいでしまう。パワハラや人の死が関わるため難しいことだが、どうか感情的にならず冷静に読み進めてほしい。
そしていくつもの「問い」が生じることだろう。私がポイントでいくつか記載する以外にも「本当だろうか」という疑念をもって読んで頂きたい。
ぜひ「健全な猜疑心」をもって読み進めて頂くようお願いしたい。
問題の文書
こちらが3/12に元局長から各所へ配布された文書である。実名、企業名等はマスクしてある。「怪文書」などと呼ばれる。
尚、この文書の送付先は下記である。
・兵庫県警捜査二課
・産経新聞
・神戸新聞
・NHK
・朝日新聞
・(県民連合)竹内英明 県議
・(自民党)末松信介 国会議員
・(自民党)山口晋平 県議
・(自民党)黒川治 県議
・(自民党)原テツアキ 県議
※維新増山県議の百条質疑にて
文書問題の時系列 概要
文書問題の時系列は下記のとおりである。
ポイントの一つとして、亡くなった元局長は3/12に文書を報道機関や議員らに配布したが、公益通報に該当しないという弁護士らの判断があったということだ。
4/4に初めて公益通報窓口に通報したが、その間に知事の指示によって副知事らによる「犯人捜し」が行われ、元県民局長が自分が配布したことを自白した。
もう一つのポイントは、元局長は5/7に懲戒処分を受け、7/7に亡くなられた。7/19の百条委員会に出頭する意欲があったとされることが不可解である。
文書問題の1次情報と問い
詳しく時系列に沿って、1次情報を整理していく。
元県民局長が3/12の文書を配布した先は、マスコミ、議員、兵庫県警であったが、前知事は一般人からその文書を入手したという。県の通報窓口宛ではなかったことに注意したい。
当時、前知事は、企業名や職員の実名が書かれているこの文書が一般人にも多く広まっていることから、3/21に告発者を探すよう調査を指示したということだった。
3/25には調査の結果として、元県民局長が文書の配布元であると言う事が分かった。
この時の元県民局長と副知事のやりとりでは当初シラを切ったが、その後別の担当者が調査している"容疑者"に元局長が電話をかけ、電話を聞かれているとは知らずに「自分が配布した」と自白したというのが経緯だ。
元局長の公用PCは押収された。公用PCを調査した結果、メールに「革命」や「クーデター」「逃げ切る」という言葉が見つかったという。片山副知事は、これらの言葉から「選挙で選ばれた知事を公務員が排除しようとしている、不正な行為になると考えた」とのことだ。
この「犯人捜し」の経緯はこちらの記事が詳しい。
3/27 前知事の記者会見で、調査した結果についてこのように語られた。
【問1】
・3/12の文書の犯人捜しは違法なのか?
元局長は4月に姫路女学院の校長に就任予定だったが、本件で退職が延期となったことで取り消しとなった。この件に関しては既にニュース記事は削除されたがこのように証言されていたという。
4/1 元局長が報道機関宛てに反論文書を送付した。会見にて事実無根と評されたことに対し、文書に関する意図を説明されている。
同4/1 特別弁護士・藤原正広氏(兵庫県弁護士会)に県人事課から3/12の文書について相談があったという。(百条委員会の証言より)
藤原氏はこの文書については噂話をもとにされており、真実相当性に欠き公益通報にあたらないという見解となったと述べた。
【問2】
・3/12の文書は本当に公益通報にあたらないのだろうか?
4/4に元局長は、公益通報窓口に通報した。この内容は公開されていない。
前知事は県の人事当局に「公益通報の調査結果を待たずに処分できないか」と相談したと言い、藤原弁護士は法的には可能と回答した。その後5月に元局長は懲戒処分となったが、懲戒事由は3月の文書の配布行為であり、4/4の公益通報は影響しないとしている。
5/7に停職3か月の懲戒処分を元局長に下した。内容は下記のとおりである。3/12の文書配布以外にも、公用PC不正利用、200時間程度の私的文書作成、特定の人物へのハラスメント文書送付が処分理由となっていることに注意したい。
そして、この件に関して元局長はマスコミの取材に回答している。
【問3】
・元局長の懲戒処分は妥当といえるだろうか?法的に問題はないのか?
図にはないが、第三者委員会の設置は前知事が5/21に決定した。5/8の記者会見では設置しない方向であったが一転した。
6/14 兵庫県議会によって、百条委員会の設定が可決した。尚、公明党と維新の会は職員の負担が増えるとしてこれに反対した。
6/27 百条委員会は、元局長に証人として出頭を求めることを決定した。7/19の第3回会合で証言を求める予定であった。
同日6/27、元局長は懲戒処分に対して不服申し立てをしなかったことに関して文書を百条委員会宛てに送付している。
7/2、元局長の代理人が、百条委員会の奥谷委員長宛に内容証明郵便で下記書面を送付した。県の人事課の調査の結果、元局長が使用された公用PCにはプライバシーにかかわる資料が含まれるとのことで、それらを百条委員会へ開示されないよう要請した。
【問4】
・公用PCに含まれるプライバシーに関わる資料とは何か?
7/7に元局長が亡くなった。遺書と百条委員会宛ての陳述書が残されていたという。7/12、奥様からは下記のメールが資料とともに送付された。遺書には「死をもって抗議する」という旨のメッセージと、百条委員会は最後までやり通してほしいとの旨が記されていたという。
尚、陳述書の内容は11ページあり、下記の通り。
【問5】
・元局長は証言する予定の百条委員会に出頭せず、なぜ亡くなられたのか?
7/12 片山元副知事が7月末で辞職する意向を表明した。前知事にも辞職を申し入れたが聞き入れなかったという。
文書問題の7つの疑惑に関するアンケート調査が7/31~8/14に兵庫県職員向けに実施された。アンケートの最終結果は10/11に公表され、下記のとおりである。パワハラがあった、と回答したのは140名だった。
9/11 兵庫県のすべての県議が前知事へ辞職を要求。3年前の知事選で推薦を受けた自民党や維新の会からも辞職を求められる形式となった。しかし、前知事はこれを重く受け止めるが辞職には応じないとした。
9/19 前知事への不信任決議案が提出された。全県議から賛成により、不信任決議案が可決。
斎藤元彦前知事は、9/30に失職し、出直し選挙に臨む意向を表明した。不信任決議案を受けて、議会を解散することもできたが、議会解散は選択肢にはなかったという。
10月に入って、それまで前知事に厳しい批判を行っていた週刊誌はいくつか客観的な記事を掲載するようになった。例えば週刊現代の記事は経緯にも詳しい。
問いへのアプローチ
ここからは、各時系列の中で浮上した5つの問いについて考えていく。真実が明らかになっていない、司法の見解が出ていない以上、結論が出ないことを了承いただきたく、素人意見であるのでこれが正しいというわけでもない。
ぜひ批判は各々行って頂きたいが、ご自身の考えにバイアスをかけてしまわないようここで読み終わって頂いても結構かと思う。思考の参考になればと思って書いていくが、解釈の間違いは大いにあると思われる。鵜呑みにされないよう疑って読んで頂きたい。
【問1】
3/12の文書の犯人捜しは違法なのか?
この問いを解くに当たって登場する法律は、公益通報者保護法である。改正法が令和4年6月1日に施行されていることにも注意したい。
犯人捜しをしていけないとの主張の根拠は、この法律内で「通報者の探索」を禁止していることが理由だ。
2段階で理解することができ、まず公益通報の体制を整備する義務づけられた事業者(行政機関含む)に該当するということが1段階目だ。兵庫県という行政組織は百条委員会資料に基づくと該当するとのことであり、体制を整備しておかなければならない。
2段階目は、この整備した体制において、公益通報対応業務の従事者は通報者の探索を行ってはならないとされていると言う事である。
公益通報者を探索し、特定した上で懲戒処分を公表したという結果がそもそも違法ではないかという考えに至ることが出来る。公益通報者を保護する体制を整備した状況と言えるのか、また、違法であれば法的に処さなければならないのではないかというのがこの点の主張なのだと考える。
私としてはまず前提が誤っているのではないかという考えを持っている。通報者について、実際の法案ではこのように定義されているからだ。
まず、3/12の文書について、公益通報であるという結論が出ていないにもかかわらずに公益通報者として扱うことはできない。
犯人捜しが違法かどうかは、3/12が公益通報であるかどうかに掛かっていると考え、結論付けるには他の根拠がない限りは現段階で違法性を認めることは難しいと考えている。
では3/12の文書は本当に公益通報に該当しないのか、問2で考えていきたい。
【問2】
3/12の文書は本当に公益通報にあたらないのだろうか?
公益通報であるかどうかの要件は、公益通報ハンドブックによれば以下4つであると定義される。
①労働者等が、
②役務提供先の不正行為を、
③不正の 目的でなく、
④一定の通報先に通報すること
公務員も含まれるため、「①労働者等が、」こちらは該当する。
自らが務める組織のトップ、知事らの不正行為についてリークする文書であるため、「②役務提供先の不正行為を、」も該当する。
ひとつ飛ばして、「④一定の通報先に通報すること」に関して、「その他の事業者外部」に該当する。
問題は「③不正の 目的でなく、」とは該当するのだろうか。
3/12の文書を振り返ると、不正の利益を得るかと言われれば、はっきりしないが、他人に損害は確実に加えることになる。なぜならば、職員や企業名が含まれており、名誉棄損等の実害を被る可能性が高い内容だからだ。
前知事はこの件で調査を命じた根拠でもあるというから、この項目とも見解としては一致していそうだ。
担当弁護士の結論、文書送付先の兵庫県警でも公益通報とはみなさないと当時していたことからも、「公益通報だった」と結論を覆すには何が必要なのだろうか?
私にはその材料は見つかっていない。
【問3】
元局長の懲戒処分は妥当といえるだろうか?法的に問題はないのか?
保護される内容と、合わせて「公益通報者が保護される要件」が定められており、それに該当するかどうかということになる。
こちらは私が公益通報者保護法を読み取って表にしたものである。
3/12の文書の場合は、3号通報(外部通報)に当たるだろう。(仮に公益通報とするならば。)
その場合、通報者が保護を受けるためには、以下の2点を両方満たす必要がある。
(1)通報内容に、真実相当性があること
に加えて、
(2)特定の事由があること(以下に引用する6点のいずれか)
まず、特定事由に関しても6点のどちらに該当する考えであるのかは、私は情報を得ていない。
「公益通報者として保護されるためには氏名が必要か不要か」という疑念に関しては、上記表のとおり2号通報(行政機関への通報)の場合において真実相当性を満たさない場合に必須である。3号通報(外部通報)であれば氏名は不要だが、その代わり真実相当性は必須だ。
また、これはあくまで保護されるための要件であり、公益通報に該当するかどうかの要件ではないことにも注意する必要がある。
主な焦点は(1)真実相当性の有無だが、3/12の文書には一部真実を含むことが百条委員会で分かっている。例えば、「贈答品を受け取った」「施設のエントランス20m手前で職員に注意をした」などである。
しかし、その意図や背景などは記載の内容とは異なると百条委員会で前知事が証言されている。また、パワーハラスメントに関してこれまでの証人喚問で、パワハラを直接受けたという証言は得られていない。
あくまで「一部、真実を含む」ということになる。
さらに言えば、「一部、真実を含むが、その大半は真実ではない」ということになる。
文書に記載されていた7つの疑惑に関して、当初の情報から下記のような答弁が前知事より説明された。いずれも否定された。
実際にデマであるとする内容も、関連企業からの情報提供等されている。
下記はスキーウェアのおねだり疑惑、ワインのおねだり疑惑、ゆかた祭りの企業出禁の疑惑について、企業側の否定内容だ。
また、中小企業経営改善・成長力強化支援事業補助金が1億円から4億円増額したが、これは金融機関が優勝パレードに寄付をしたことによるキックバックなのではないかという告発内容があったが、これも金融機関は否定。
そもそも、この補助金は、実績に応じて払われるため、キックバックになり得ない。また、予算を審査する議員が何より根拠を以て承認しなければこの予算案が通らないので、知事だけの責任にもなり得ない理屈となる。
現行の公益通報者保護法では、このように「一部のみ真実が含むが、一部は真実ではない」という場合の位置づけが明確に定義されていないことが問題なのではないだろうか。
百条委員会で説明に当たった山口弁護士の論では、その場合でも通報者を守ることはある、事例がある、ということだった。労働契約等で守られるケースもあるだろう。公務員の場合には、どこまで守られるべきかは私も厳密に把握できていない。
この「真実相当性」について、厳密に、改正法における3号通報に関する条文の該当箇所を見てみると以下の通りだ。
果たして、3/12の文書は「まさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある」のだろうか。
百条委員会、第三者委員会の結論は未だ出ていない。
【問4】
公用PCに含まれるプライバシーに関わる資料とは何か?
人事課の調査では、元局長のプライバシーに関わる情報が含まれており、その情報は公開されていない。
前知事も「知らない方がよい」と人事課に言われたため、目を通していないとのことをインタビューで語っている。百条委員会も把握されていないとのことだった。
この件に関しては、重複になるが、7/2に元局長の代理で百条委員会宛てに送付された文書がヒントになる。
この文書によれば、「著しく元局長のプライバシーを侵害される結果を生じる」のだという。文面からするに、他の事由も含む懲戒処分のための調査の過程でそれらの情報を用いたのだというが、それらは3/12の告発内容とは関連がないとの事だ。
この文書、百条委員会の証人喚問の前の時節である。百条委員会にプライバシーに関わる資料を公開しないでほしいという一点だけで文書を代理送付されていることから、何らかの強い意志を感じる。
処分理由のためそれらのプライバシーを侵害するほどの情報を調査していた人事課だが、処分の責任者であった前知事には「倫理的に大変問題のある文章だったため、見ない方がよい」と伝えられ、具体的な内容は見ないと判断したのだという。
※該当のインタビューは下記動画の55:30~
様々な憶測を呼ぶこの内容については、これ以上の事実と言える情報はない。但し、これだけの内容であっても元局長の人物像が揺らぐ。
このインタビューでも話されていたが、前知事と元局長の関係性からも不自然だ。西播磨に伺い、会った際にはよく話をしていたり、各地を案内されていたりと表面的に仲は悪くなかったようだ。知事に就任する前からの付き合いだといい、実際に斎藤前知事はお世話になっていたような印象を受けた。
動画: 元県民局長との関係について語る斎藤前知事
大変な読書家で、西播磨県民局の局長メッセージではそれらの引用も多く、人格者のようにも伺えた。組織を思う気持ちも強く、正しい組織運営を望まれていたことや、職員からも局長メッセージに感想を寄せられたりと慕われていたように見えた。
妹さんがゼクシィの創立メンバーであり、兄として尊敬もされていたように彼女のFacebookでも語られていた。
元局長の人物像が非常に揺らぐのである。誰かを陥れるハラスメントや、そのような誹謗中傷めいた文章を安易に書くような、短絡的な人物像とは乖離しているように、あくまで個人の感想であるが、私は感じた。
今、読める最後の元局長のメッセージは下記である。なぜかその次に投稿された文章は今は削除されている。
この文章も削除される恐れがあるため一部を少し長めに引用しておく。
【問5】
元局長は証言する予定の百条委員会に出頭せず、なぜ亡くなられたのか?
2024/7/7に元局長は亡くなられた。
奥様からのメールによれば遺書に「死をもって抗議する」という旨のメッセージと、百条委員会は最後までやり通してほしいとの旨が記されていたという。
ここまで告発文が表に出ることで堂々と自身の主張をする舞台が整った矢先だった。百条委員会に出ることも予定し、各メディアに伝えるなど複数の「抗議する」手段を手に入れたはずだった。
私はまだ自信をもって言えない。
一体、何に対して死をもって抗議されたかったのか。
20年間長らく続いた井戸県政によって政治腐敗があったのだろうか。人事も経験され、定年まで職員たちを見守り続けた元局長には、県庁組織に対する強い理想があったのだろうか。それとも何か別の思うことがあったのだろうか。
生きて、ぜひその声を届けていただきたかったと大変に残念に思う。
心からご冥福をお祈りいたします。
終わりに
どこまで書いたものか悩み、まとめ終わるまで10日間を要した。亡くなられた方がいる以上、その方を悪く言いたくはないが、謎がある以上、暗にそのような受け取られ方をするかもしれないと、手が動かないこともあった。
兵庫県知事選が行われようとしている。どのような結果になるか分からない。でも、
これは単なる選挙ではない。
私たちの民主主義が誹謗中傷の声や、マスメディアの偏向報道に、あるいは既得権益にこのまま屈してしまうのかどうか、日本の政治の在り方をも左右する、大きな意味を持つ選挙になる。
そう信じて、長くなったこの文章を投稿します。
ありがとうございました。
追記 2024.11.4
非公開で開催された百条委員会の音声データ等が流出し、問4、問5の核心に迫る内容が立花孝志候補によって街頭演説で流布されている。
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