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kanay
2016年7月26日 11:33
朝目が覚めると、2階の開いたベランダの窓から、バジルの匂いが漂ってきた。どうしてこんなに香るのだろう、とわたしは不思議に思う。1階のテレビが何人が死亡、と伝える声がわたしの耳に届く。聞き慣れた、うんざりした、諦めのような気持ちが一瞬わたしの横を通りすぎる。わたしは自分の部屋の扉を閉めて、少しの間瞑想をする。わたしは何者でもなく、この世界の一部でもなく、‘わたし’というちっぽけな枠が取り払